ブth?

gaia

ブth?(脚本)

ブth?

gaia

今すぐ読む

ブth?
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇学校の屋上
毒島花子「どうして誰もあたしのことわかってくれないの......?」
毒島花子「もういい!」
  死んでやる
「やめるんだ!!」
  屋上のフェンスに手をかけたあたしの背後から聞こえたのは
  聞いたことないくらいのイケボだった。
刃矢島隼人(真)「やめろ!」

〇学校の屋上
刃矢島隼人(真)「俺、刃矢島隼人(はやじまはやと)だけど、やめろ!」
  振り返ると
  名前と声だけイケメンの男が立っていた。
毒島花子「止めないでよ!」
毒島花子「あたしもう決めたんだから!」
刃矢島隼人(真)「止めるさ」
刃矢島隼人(真)「俺、毒島(ぶすじま)さんのことずっと気になってたんだ」
毒島花子「......」
  あんたみたいなブスに気に入られたってあたし......

〇学校の屋上
  あたしは、冷たいコンクリートに膝をついた。
  刃矢島は、どすこいどんどこあたしのところに駆けてきて
  生暖かい自分の制服をふわりとあたしの背中にかけてきた。
刃矢島隼人(真)「毒島さん......」
羽矢島(イケメン)「話、聞くよ......(イケボ)」
毒島花子「え!?」
刃矢島隼人(真)「どうしたの?」
毒島花子「な、なんでもない」
  え?今、すごいイケメンが見えた気がしたけど
  守護霊......?
刃矢島隼人(真)「それより、どうして毒島さんは死のうとしていたの?」
  気のせい......よね?
  いつのまにかあたしと刃矢島は、フェンスを背に座り込んでいた。

〇学校の屋上
毒島花子「あたし、橋本キャン奈似の美少女でしょ」
毒島花子「それなのに、毒島花子(ぶすじまはなこ)って名前だけでブスだとか、ブタゴリラとか言われてるの」
羽矢島(イケメン)「ブth?」
  嘘でしょ!?
  今のブスの発音......よすぎ?
  とくんっ......
  え?何今の胸の高鳴り
  違うから!全然違うんだから!イケボで英語の発音もいいっていうスペックに騙されてるだけなんだから!
  生暖かい上着からいい匂いがするだなんて
  全然......思ってないし
羽矢島(イケメン)「それはひどいな、女の子に対して」
刃矢島隼人(真)「俺もブthって言われてるけど、それは自覚してるからいいんだけど」
  戻るとブスが際立つわ。
  彼、身の程を知ってるブスなのね
  でもおかしいな
  彼が話すたびに
  声からのイメージかしら
  イケメンのビジョンが見える......!
  あたしは、いつのまにか彼への見方が変わってきていた。

〇学校の屋上
毒島花子「あ、あたしのこと気になったって嘘ついて自殺するところ止めてくれありがとね」
羽矢島(イケメン)「いや、それは本当」
毒島花子「え!?」
羽矢島(イケメン)「放送部の毒島さんだよね」
羽矢島(イケメン)「放送でいつも声、可愛いなって思ってたんだ。声優みたいな声してるよね」
  とくんっ......
  ばかばか!毒島花子!
  将来は山崎けんてゅ似のイケメンと結婚して、ハネムーンでヨーロッパからアフリカを横断するって決めてるじゃない!
  で、でも刃矢島くんの声から出るイケメンビジョンに見つめられるとなんだか心臓がうるさいの
  あたし......もしかして彼に
毒島花子「ごめんなさい」
毒島花子「あたし、あなたを一目見た時見た目で判断しちゃってた」
毒島花子「それ、あたしが一番嫌なことなのに」
羽矢島(イケメン)「泣かないで、ごめんね」
  刃矢島くんはすらっと長い人差し指であたしの涙を優しく拭ってくれた
羽矢島(イケメン)「俺がブthなのは、わかってるから 気にしてないよ」
毒島花子「そんなことない!」
羽矢島(イケメン)「え?」
毒島花子「あなたはカッコいいよ!」
毒島花子「そのイケメンボイスのビジョンのせいかもしれないけど......」
羽矢島(イケメン)「俺のVoithがカッコいい......?」
  耳元で吐息混じりに囁かれて、あたしは発音とかもう全部どうでもよくなった
羽矢島(イケメン)「嬉しいな、俺声優目指してるんだ」
毒島花子「絶対なれるよ!」
羽矢島(イケメン)「本当?」
毒島花子「どうしたの?」
羽矢島(イケメン)「今声優業界って、顔も大事だっていうからさ。俺自信なくして、お前なんかなれるわけないって言われたりもして」
羽矢島(イケメン)「最近それで、ずっと悩んでいたんだ」
毒島花子「そんなのおかしいよ!」
毒島花子「そんなに声かっこいいのに、なれないわけないよ!」
毒島花子「あたしは美少女なのにブスって言われて絶望して死のうと思ったの、他人は変えられないと思ったから」
毒島花子「でも、あたし刃矢島くんに出会って気づいたの」
毒島花子「あたしのことちゃんと見てくれてる人もいるって」
毒島花子「誰に何言われてもあたしは自分のことを美少女だと思っていればいいんだって思えた」
  あなたも、自信持ってよ!

〇学校の屋上
刃矢島隼人(真)「そういうところなんだよね」
毒島花子「え?」
刃矢島隼人(真)「俺こんなだから自分に自信ないんだ ネガティブなんだ」
刃矢島隼人(真)「でも、毒島さんはいじめられていても自分を肯定してた」
刃矢島隼人(真)「放送でも声だけは可愛いっていじられていた時、顔もなんだけど?って半ギレだったよね」
  そういうところなんだよね
羽矢島(イケメン)「俺、それでずっと毒島さんのこと気になっててさ 話してみたかったんだ」
羽矢島(イケメン)「気になって廊下で目で追うようになって、いつの間にか、好きになってたのかも」

〇学校の屋上
毒島花子「あたしのことが好き?」
  初めて言われた
  あたしのこと、顔だけじゃなくて内面も好きだって言ってくれる
羽矢島(イケメン)「最近の俺は自分なんてどうせってずっと自分を責めてきたから、こうして話せてよかった」
毒島花子「あたしも」

〇学校の屋上
羽矢島(イケメン)「君は俺の目の前に現れた天使なのかもしれないな」
  きゅんっ......!
  ドキドキで、ヨーロッパとアフリカを横断しちゃう
毒島花子「てか、刃矢島くんはなんで屋上に来たの?」
刃矢島隼人(真)「もういいんだ」
羽矢島(イケメン)「晴れてよかった」

コメント

  • 外見ではなく中身を知ってもらえたら幸せですよね、好みはそれぞれなので外見で判断することの良し悪しはわかりませんが、それだけではない違うところを認めてもらえると嬉しいですね。

  • 自分のことをかわいいって思う肯定感って大切な気がするんですよね。
    ブスだと思ってたら、笑顔もなくなるし、かわいくなくなっちゃいます。
    イケボの彼と幸せになれるといいなぁってキュンしました!

  • たとえブスだとしても、自分のこと可愛いって思ってたら可愛くなれそうだし、言霊って大切だなあと思いました。
    自信のある人って、それだけで魅力的ですよね。

コメントをもっと見る(5件)

ページTOPへ