ヒナタくん!キュンってなあに?

堂仁カナル

ヒナタくん!キュンってなあに?(脚本)

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堂仁カナル

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〇オフィスのフロア
(神様お願いします。教えてください)
「”キュン”ってなに!?」
ヒナタ「うわっ、びびったぁ」
ヒナタ「どうしたんですか、急にデカイ声出して」
「ご、ごめんヒナタくん・・・」
ヒナタ「別にいいですけど、どうしたんです?」
「あのね、仕事サボって 自分の小説サイト見てたら──」
ヒナタ「サボるなよ」
「今はそこはどうでもいいの!」
ヒナタ「先輩がそれでいいのか・・・」
「「キュンが足りないです」 ってコメントが来てたの!」
ヒナタ「はぁ?」
「ねえ!そうなるよね!? 「はぁ?」だよね!?」
ヒナタ「いや、そこに対してのハァ?ではな──」
「ヒナタくんさ」
ヒナタ「全然聞いてねぇな」
「モテるよね?」
ヒナタ「は?」
「先週も社内の女子に 連絡先聞かれてたよね?」
ヒナタ「そうでしたっけ?」
「なんで本人が覚えてないの!」
ヒナタ「俺、どーでもいいことは すぐ忘れるんですよね」
「ひど! とにかく、ヒナタくんはモテるので」
ヒナタ「強引になってきたな」
「もういいからそこは!話進まないから!」
ヒナタ「まあ、じゃあ、はい。モテます」
「モテ男のヒナタくん ・・・ヒナタさん」
「私に「キュン」を教えてください!」
ヒナタ「・・・・・・」
「あ、あれ 「はぁ?」を予想してたんだけど」
ヒナタ「いいですよ」
「え」
ヒナタ「先輩に、「キュン」とやら、 教えてあげます」

〇ハチ公前
ヒナタ「・・・・・・」
ヒナタ「・・・・・・」
(うわ!電話!)
「は、はい、どちら様でしょうか・・・」
ヒナタ「はぁ?なに寝ぼけたこと言ってんですか」
ヒナタ「いい加減こっち来てください」
ヒナタ「さっきからずっと見えてんですよ」
(どうして・・・)
(どうしてこうなった?)
「遅れて、スミマセン」
ヒナタ「遅れてはないでしょ」
ヒナタ「時間通りに来たのに 何故か5m先から俺を観察し続けてましたよね」
ヒナタ「なんで?」
「いや、特に理由は・・・」
ヒナタ「ふうん?」
「あ、そのニヤニヤ!」
ヒナタ「なに?」
「何でもないです・・・」
ヒナタ「そこで引くんですか? 調子狂うなあ」
ヒナタ「まあいいや」
ヒナタ「ほら、間に合わなくなるんで、行きますよ」
「・・・その手は、なに」
ヒナタ「ん?」
ヒナタ「「キュン」って、したでしょ?」

〇レストランの個室
(どうしてこうなったんだ?)
  私は昨日、会社の後輩のヒナタくんに
  「キュン」とは何かと聞きました。
  それはもうカジュアルなノリで聞きました。
  「ああ、キュンっていうのはですね・・・」
  と、一問一答で終わるくらいのテンションで聞きました。
(それなのに・・・)
ヒナタ「美味しい?」
「美味しい・・・」
  なぜ、今、私は
  ずっと行きたいと思っていたレストランに
  ヒナタくんと来ているんでしょうか。
ヒナタ「ねえ、緊張してます?」
「イエ、ベツニ・・・」
ヒナタ「ぶっ・・・おもしろい顔」
「あ!悪口!」
ヒナタ「褒めてます。くくっ・・・声デカ」
「また悪口・・・」
ヒナタ「褒めて、ます・・・?」
「疑問形・・・」
ヒナタ「まあまあ ほら、ちゃんと味わいましょうよ」
ヒナタ「ずっと来たかったんでしょ?」
  ・・・・・・
「ねえ、なんで私がここに来たがってたこと、知ってるの?」
  店に入ってからずっと気になっていたことを聞いてみた。
  最初は単なる偶然かと思ってたけど、
  彼の言葉でそうじゃないことが証明されてしまったので、
  理由を追及しなければならなくなったのだ。
  だって、怖いじゃん!
  もしかしたら、実はヒナタくんは私の思考を読む力を持ったエイリアンだった・・・とかかもしれない。
  今だってほら、今日初めての気まずそうな顔を──
ヒナタ「仕事サボってるとき、よく見てるでしょ」
「な、なにを?」
ヒナタ「レストランとか、カフェのサイト」
「は、はあ!? サボってません!」
ヒナタ「ワンテンポ遅い」
ヒナタ「で、このレストランのサイトだけ何度も開いてたから 来たいのかなと思っただけです」
ヒナタ「もしかして・・・違った?」
  ちがくない
  ちがくないので、困るのだ
  ていうか、何?
  私のPC画面をそんな頻繁に気にしてるってこと?
  いくら後輩だからって
  いくら隣の席だからって
  そんなの、プライバシーの侵害だ!
「ちがく、ないです」
ヒナタ「・・・・・・」
ヒナタ「よかった」
  おかしい
  いつもの私なら、心の声をそのままぶつけているのに
  調子狂うなあ・・・

〇開けた交差点
「はぁ、美味しかった~ 大満足」
ヒナタ「よかったですね」
「あ、他人事っぽーい 美味しくなかった?」
ヒナタ「美味しかったですよ 面白かったし」
「なにが?」
ヒナタ「先輩が」
「先輩はねえ、おもちゃじゃないんですよ」
  レストランからの帰り道。
  いつも通りのテンションで会話をしながら駅まで向かう。
ヒナタ「ねぇ、先輩?」
  ふと、ヒナタくんが足を止めた。
ヒナタ「・・・・・・」
ヒナタ「「キュン」が何か、分かりました?」
(・・・・・・)
  正直、分かった。
  いやというくらい、分かってしまった。
  でも──
「全然分かんなかった!」
ヒナタ「あれ? ほんとに? 結構自信あったんですけど」
「・・・分かんなかったから、」
ヒナタ「?」
「も、もっかい チャンスあげてもいっかな~」
「なーんて・・・」
ヒナタ「ぶはっ、なんだよそれ」
「こ、答えは・・・」
ヒナタ「くく、ほんと、面白い」
「笑いすぎ!」
ヒナタ「いいですよ」
「!!」
ヒナタ「今度こそ、「キュン」とやら、 教えてあげます」

コメント

  • ヒナタくんのデートのエスコートが上手すぎますね。そして先輩をからかう小悪魔チックなところは反則ですね。こんな2人の関係はずっと見ていていたくなります!

  • ヒナタくんの小悪魔的やり方に、百面相しながら翻弄されつつも挑むヒロインが可愛かったです!
    ヒナタくんのモテ男の余裕(?)がなんか憎いなぁって(可愛いです好きです)
    きっとヒロインが好きだから虐めたくなっちゃうんでしょうね!でも実はラストのヒロインの言葉にドキッとしてたりしないかなぁ、なんて勝手にヒナタくんの気持ちを想像して二度キュンキュンさせていただきました~(笑)ありがとうございました!

  • 「キュンって何?」って聞かれると…言葉で教えるのはたしかに難しいかもです。笑
    でも、そんな二人を見てる私はキュンキュンしました。
    彼もリードうまいですよね。

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