Ep.7 ハナレ村の殺人②(脚本)
〇寂れた村
カシューナッツ「それって・・・ ここはもう安全じゃないってコト!?」
綾瀬天紀「うーむ・・・」
綾瀬天紀「化け物の行動パターンは決まっていると思ったのですがね・・・」
鶴見健太郎「・・・例えば」
鶴見健太郎「繰り返すうちにちょっとずつ化け物の数が増えている・・・なんてことがあったら」
鶴見健太郎「段々とここも安全じゃなくなりますね」
マカロン「・・・」
マカロン「サバイバルゲームで言う・・・ 禁止エリア・・・」
武田剛健「一ついいか」
武田剛健「あそこは集落から少し離れた場所だから気付かなかっただけで、毎回あの時間あの場所には化け物が現れていたんじゃないか?」
武田剛健「俺たちはループにおける化け物の挙動を全て把握してるわけじゃないだろう」
アリス「えー!それはないよ!」
アリス「前の前の前の?時にね 幹哉くんと龍弥くん、同じようにアイテム探してたもん!」
アリス「もし化け物が現れるのなら その時に襲われてるはずだもん!」
武田剛健「そうなのか?」
澤井龍弥「あぁ、確か・・・」
澤井龍弥「あの辺は前も探索したよ・・・ その時には化け物の気配は一切なかった」
澤井龍弥「今回だって特に気配は感じなかったんだよな・・・」
アリス「きゅいーーーーんってやつ?」
澤井龍弥「そうそれ それがなかった」
武田剛健「でもあの遺体は明らかに化け物にやられたものだったしな・・・」
倉木響「・・・」
綾瀬天紀「ごめんなさいね 急に巻き込む形になってしまって」
綾瀬天紀「本来ならここは安全なんですが」
倉木響「いえ・・・」
倉木響(もし化け物を操る人間・・・ 「襲う側」の人間がこの中に紛れているなら)
倉木響(相当危ない状況かもな・・・)
倉木響「綾瀬さん、あんたたちは何周目からここにいるんだ?」
綾瀬天紀「最初からです」
綾瀬天紀「ワタクシが最初の周にここを見つけ、それ以降繰り返すたびに仲間を集め、皆で避難しています」
倉木響(化け物が現れない・・・ それは裏を返せば、化け物に襲われる人間とそうでない人間の区別がつかないことを意味する)
倉木響(誰が「襲う側」か知る術がない)
倉木響(それに対して、「襲う側」の人間はここに来る以前から、自分がそうであるという自覚を得ていてもおかしくない)
倉木響(他人の目があるのはあくまでこの集落の中のみ・・・ 陽の言葉を借りれば「襲う側」に有利なフィールドってわけだ)
倉木響「なるほどな・・・」
綾瀬天紀「?」
倉木響(少なくとも一番最初の綾瀬さんは「化け物から逃げて」ここに来ている)
倉木響(とりあえずこの中なら綾瀬さんが一番信用できる・・・か)
綾瀬天紀「ところで皆さん武器はお持ちですか?」
アリス「持ってるよ〜」
武田剛健「まぁ・・・一応」
武田剛健「でも精々ライフルとかナイフとか・・・ 化け物を倒せるほどのものはないぜ・・・」
綾瀬天紀「足止めができれば十分ですよ」
綾瀬天紀「では、こうしましょう」
綾瀬天紀「ここにいる全員で村の外に出て、同じように繰り返している仲間を探しにいく」
綾瀬天紀「ある程度仲間を集めたら本格的に「敵の殲滅」に動く」
カシューナッツ「だからそんな危険なことあんた以外にやらないって言ってるでしょ!」
カシューナッツ「私は残るわよ! 死人が出たとはいえ外よりは安全だわ!」
綾瀬天紀「ですが、このままずっとここに留まっていても何も解決しないですよ」
綾瀬天紀「それに死んでも時間が来ればまた生き返るんです」
カシューナッツ「生き返るってあんたねぇ・・・ 一度死んだ人たち見たことあるの?」
カシューナッツ「あんなの生きてるうちに入らないわよ!」
倉木響「すまんが、敵の殲滅って何だ?」
綾瀬天紀「そのままの意味ですが?」
倉木響「いや、敵って何を指してるのかって」
綾瀬天紀「あの化け物が敵ではないのですか?」
倉木響「あぁ・・・まあ・・・そうか」
綾瀬天紀「?」
綾瀬天紀「うーむ・・・では ワタクシと一緒に村の外まで来てくれる方はいますか?」
カシューナッツ「・・・」
「・・・」
鶴見健太郎「僕は残る」
マカロン「・・・じゃあ私が行こうかな」
綾瀬天紀「倉木さんはどうします?」
倉木響「そうだな・・・ じゃあ俺も同行するぜ」
倉木響(この中に「襲う側」がいるのならそいつは残るに違いない だって、ここにいる間は正体がバレることがないんだから)
倉木響(そして隙を見て一人ずつ殺していくこともできる ・・・つまりここに残る方がむしろ、俺たちにとっては危険なんだ)
綾瀬天紀「ではこの3名で行きましょうか」
マカロン「・・・うん」
〇村の眺望
あの後俺たちを止める声もあったが、結局綾瀬さんの意思は変わらず、俺、綾瀬さん、マカロンさんの3人は集落を後にした
集落の外は田畑が広がっていて、住宅街などと比べると見晴らしが良いぶん、いきなり化け物と遭遇・・・なんてことはないだろう
人の気配もないから、綾瀬さんの言う仲間探しは達成されそうにないが・・・
綾瀬天紀「やはり街に出ないと人はいませんね」
マカロン「いたとしても・・・ その人が生きてるとは限らない」
綾瀬天紀「そう都合良くワタクシたちの仲間は見つかりませんか」
倉木響(・・・)
倉木響「2人を信用して話したいことがある」
綾瀬天紀「なんでしょう?」
倉木響「俺はここに来るまでに色々な人間を見てきたが、その中に化け物に襲われない人間がいたんだ」
倉木響「そして・・・これは聞いた話だが 化け物を操る人間もいるらしい」
マカロン「・・・」
マカロン「面白い・・・」
倉木響「だからもしかしたら、俺たちの中には「襲う側」と「襲われる側」がいて」
倉木響「化け物に襲われない人たちは「襲う側」だから襲われないんじゃないかと」
綾瀬天紀「なるほど だから先程「敵」というワードに反応していたんですね」
マカロン「鬼ごっこ・・・いや・・・人狼ゲーム?」
綾瀬天紀「ワタクシたちの敵は化け物ではなく、化け物を操る人間の方・・・と」
綾瀬天紀「その人たちを「鬼」としましょう」
綾瀬天紀「鬼を見分ける方法は化け物に襲われるかどうか・・・」
倉木響「あぁ・・・だから」
マカロン「集落の中じゃ誰が鬼か分からない・・・」
マカロン「私たちの中に・・・ 鬼が紛れていてもおかしくないってわけね」
綾瀬天紀「・・・」
綾瀬天紀「幹哉さんも鬼に殺された可能性が高いというわけですか」
倉木響「あぁ」
きゅいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
倉木響「いる!」
マカロン「でも・・・遠い・・・」
綾瀬天紀「村の方角から聞こえたんですが、ワタクシの気のせいでしょうか?」
マカロン「・・・」
マカロン「あはっ・・・」
マカロン「気のせいじゃない?」
倉木響「え?」
ミッション「敵を殲滅せよ」
現在11周目
生存者300名
いいですねぇ!クローズドサークルに近い状況で、誰が殺人者かわからない状態…寒村という舞台も好みど真ん中で堪らないっす😍
成程。ループもの+人狼。まさしくゲーム小説だった。
キャラを変えれば何回でも作れるし、結末も変えられる。そして予測がつかない。その手があったか……
旨いですm(_ _)m