蟻地獄に咲く薔薇のよう

戸羽らい

Ep.5 田井中コルネリアの検証(脚本)

蟻地獄に咲く薔薇のよう

戸羽らい

今すぐ読む

蟻地獄に咲く薔薇のよう
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇スーパーの店内
「電力系統は全て麻痺してる」
田井中コルネリア「ループの特性か、食事も睡眠も・・・排泄も必要ないみたいだから特に不便はないけれど」
田井中コルネリア「なんだか本当に自分が人間ではない何かのように感じられてしまうね」
田井中コルネリア「ここに来てから不思議なことばかり起きて」
田井中コルネリア「・・・なんだかちょっと、楽しいかも」
  きゅいーーーーーーん
田井中コルネリア「?」
田井中コルネリア(遠くから鳴き声が)
田井中コルネリア(私を襲いに来たわけじゃないだろうし 誰か他にいるのかな?)
化け物「きゅいーん」
田井中コルネリア「どうしたの? 私は呼んでないけれど」
化け物「きゅいーん」
化け物「きゅ・・・」
田井中コルネリア「危ない 護衛を一体付けといて良かった」
田井中コルネリア「うーん、何だろ? どうして私を襲うのかな?」
田井中コルネリア「あなたは私の敵?」
化け物「きゅいーん」
中年男性「・・・」
中年男性「私と同じ・・・」
田井中コルネリア「!」
中年男性「あなた、私と同じで・・・ 化け物を操れる人ですよね」
中年男性「怖いなぁ・・・」
田井中コルネリア「怖い・・・?」
田井中コルネリア「私たちは「敵」じゃないと思うけど」
中年男性「敵ですよ」
中年男性「自分以外は全員敵です」
田井中コルネリア「んー?何でかな?」
田井中コルネリア「敵の対義語は味方であり、対となる存在がない場合はそもそも敵という表現が使われない以上、味方の存在は保証されていて」
田井中コルネリア「さらに自分自身を味方と定義することはできないから、自分以外全員敵という発想はそもそも論理的に破綻しているのだけど」
田井中コルネリア「・・・」
田井中コルネリア「とりあえず一旦話し合おう?」
田井中コルネリア「ね?」
化け物「きゅいーん!」
田井中コルネリア「きゃっ」
中年男性「やってしまいなさい」
化け物「きゅいーん」
田井中コルネリア「これはまずいわ〜 話の通じない相手ほど怖いものはないからね〜」
中年男性「追いなさい」
化け物「きゅいーん」

〇スーパーの店内
「はぁ・・・はぁ・・・」
  とりあえず外に・・・
  あの子たちを呼べる場所まで逃げないと・・・
  仲間同士で争うのは合理的じゃないし気がひけるけど・・・
  そうも言ってられないよね・・・
  きゅいーーん
田井中コルネリア「はぁ・・・はぁ・・・」
田井中コルネリア「もう・・・なんでよ・・・」
化け物「きゅいーん」
中年男性「逃げても無駄ですよ 人間の脚力じゃ化け物には敵いません」
田井中コルネリア「はぁ・・・はぁ・・・」
田井中コルネリア「化け物、化け物ってさぁ・・・」
田井中コルネリア「この子たちは私たちの仲間なんだから・・・」
田井中コルネリア「もっと何か適切な呼び方が・・・」
化け物「きゅいーん」
田井中コルネリア「はぁ・・・はぁ・・・」
田井中コルネリア「後で考えるわ・・・」
中年男性「やりなさい」
田井中コルネリア「待って!本当に待って!」
田井中コルネリア「話せば分かると思うの! 私たちは争うべきじゃないって!」
中年男性「・・・」
中年男性「やりなさい」
田井中コルネリア「待ってよぅ・・・ 話だけでも聞いてよぅ・・・」
中年男性「・・・」
化け物「・・・」
中年男性「やりなさい」
化け物「きゅいーん」
田井中コルネリア「あぁもう!仕方ない! 「アレ」を使う時が来たようね!」
  【バーニング・ライト】
  
  対象に炎の光を照射する
  
  対象:人間以外
  使用可能回数:2/5回
田井中コルネリア「『対象:人間以外』の時点でもう使うことはないと思っていたけど・・・」
田井中コルネリア「念のため取っておいて良かった」
化け物「きゅいーん!」
田井中コルネリア「可哀想だけど・・・」
田井中コルネリア「えいっ!」
化け物「きゅ」
田井中コルネリア「嗚呼・・・」
中年男性「何やら物騒なものを使いますね」
中年男性「これが・・・ あの人が探していた「アイテム」か」
中年男性「それを私にください」
田井中コルネリア「あげるかバカ!」
「!」

〇スーパーの店内
田井中コルネリア「火が燃え移って・・・」
田井中コルネリア「あぁ!もう・・・!」
中年男性「わ・・・」
中年男性「私も逃げなくては・・・」

〇スーパーの店内
  ゴオオオオオォ

〇スーパーマーケット
  はぁ・・・はぁ・・・
田井中コルネリア「はぁ・・・」
中年男性「・・・」
田井中コルネリア「ちょっと・・・」
田井中コルネリア「ついてこないでよ・・・」
中年男性「・・・」
  きゅいーーーん
中年男性「やってしまいなさい」
「きゅいーん!」
田井中コルネリア「全く・・・キリがない・・・」
田井中コルネリア「もう・・・何なの?」
田井中コルネリア「私もこの子たちを呼び出して戦わせろっての?」
田井中コルネリア「あ」

〇洞窟の入口(看板無し)
田井中コルネリア「私が導き出した仮説はね・・・」
田井中コルネリア「私の方が人間の皮を被った宇宙人」

〇スーパーの店内
田井中コルネリア「なんだか本当に自分が人間ではない何かのように感じられてしまうね」

〇スーパーマーケット
田井中コルネリア「・・・ちょっと試したいことができた」
「きゅいーん」
田井中コルネリア(『対象:人間以外』はこの子たちを倒すための道具だと思ってた・・・でも)
田井中コルネリア(私たちがこの子たちと・・・ 本当の意味で同類なら・・・)
田井中コルネリア「ふふっ」
田井中コルネリア「ねぇ、あなたは人間以外?」
中年男性「?」
中年男性「あああああぁ!」
田井中コルネリア「ひゃっ・・・ははっ」
田井中コルネリア「やっぱり私たちは人間じゃないんだ」
黒焦げの死体「ゔ・・・」
田井中コルネリア「これでハッキリした」
田井中コルネリア「この場において、いや、元からなのかもしれないけど・・・ 私や、私と同じ属性を持つ者は「人間」に分類されない」
「きゅいーん」
田井中コルネリア「この子たち・・・きゅーちゃんでいいか」
田井中コルネリア「きゅーちゃんを宇宙人だと仮定すると、その同胞である私も同じように宇宙人で、私たちにとっての「敵」は「人間」だと言える」
田井中コルネリア「敵・・・人間を殲滅せよ・・・」
田井中コルネリア「・・・」
「・・・」
田井中コルネリア「・・・」
田井中コルネリア「そうか!なるほど!」
田井中コルネリア「私たちは侵略者なんだ!」
「きゅいーん♪」
  ミッション「敵を殲滅せよ」
  
  現在11周目
  生存者303名

次のエピソード:Ep.6 ハナレ村の殺人

コメント

  • なるほど、「人間以外」!まさかの叙述トリックですね!とすると、今まで出てきたアイテムも脅威度が上がりますねぇ
    アイテムまわりの設定がユニークで面白い!😆

成分キーワード

ページTOPへ