会えて会いたくて奇跡だったのに…(脚本)
〇店の入口
ありさ「たっちゃん、いい時計合ったね。 よかったね。 格好いい!!」
その映画の日から少し経った。
ふたりはカフェにいた。
達哉の時計を買いに行った帰りだ。
明るい日曜の夕方。
〇店の入口
ありさ「・・・あれ??たっちゃん、どうしたの。 なんか元気・・・ない??」
ありさは、ケーキを食べ終わった達哉が暗い表情をしたことに気づいた。
達哉「・・・うん・・・あのさ・・・ありさ」
〇店の入口
達哉「・・・ごめん・・・。 あの・・・さ。 俺、ホテルの教育の担当で・・・ 2年間、四国に行かなきゃいけなくなった」
達哉が、すまなそうに口を開いた。
ありさ「えっ・・・。四国???!」
〇銀座
達哉が、カフェを出てから話し出した。
手を握りながら。
「ホテルの教育係として2年、四国にいかなあいけなんだ」
ありさ「行かなきゃいけないんだよね。 帰ってくるんでしょ」
達哉「ちゃんと帰ってくるよ。 でも2年行かなきゃいけないんだ、 ごめん・・・。 普段でもあまり休みとれないのに」
〇一人部屋
ありさ「落ち着かなきゃ。 ・・・たっちゃん、だって大変なんだもん。 スカイプあるし・・・会えるよ・・・」
〇空港の滑走路
達哉が飛び立つ日、ありさは見送りに来た。
達哉が、小さなブレスレットを渡す。
ありさ「たっちゃん、スカイプしようね。 わたしは大丈夫だからね。 わたしも仕事頑張るよ」
達哉「ありさ、これ・・・」
〇店の入口
その日の夜、ありさは達哉と腕時計を買ったときのカフェにいた。
〇オフィスのフロア
ありさは達哉が飛び立ってから
忙しくしていた。
帰りには、道に咲いている花や景色を一眼レフで撮影したりするのが趣味だ。
ありさ「たっちゃんに、この写真見せよう」
〇カフェのレジ
カフェのケーキを撮影して、達也にそれを送る。
前は、こういうのもふたりで一緒に写真を見て楽しんでいたのだ。
ありさ「たっちゃん・・・。 おとといスカイプ出来たし元気そう」
〇桜並木(提灯あり)
スカイプでしか会えない日が続いた。
ありさも忙しく、達也との時間は夜しかなかった。
夜に30分ほどスカイプをする。
ありさ「たっちゃん・・・疲れてたな・・・。 前は色々悩み聞いてあげられたのに」
〇桜並木(提灯あり)
何か月もたち、またあの桜の季節が来た。
ありさは桜並木に立ち止まった。
ありさ「ここ・・・たっちゃん、と来たな・・・。 たっちゃん、どうしてるかな、向こうの桜・・・」
〇一人部屋
その日から、達哉はスカイプに出なくなった。
一日が過ぎて、二日が過ぎた。
ありさ「たっちゃん、どうしたんだろう・・・。出ない・・・。 約束の時間なのに・・・。もう三日だよ・・・」
〇一人部屋
5日たっても達哉は出なかった。
LINEも来ない。
既読にもならない。
ありさは、仕事から帰ってベッドに寝転んだ。
ありさ「私のこと忘れちゃったのかな・・・」
〇桜並木(提灯あり)
ありさは、一週間後、またあの桜並木にきた。
一年たったんだと、ふっと上を見上げる。
ありさ「もう帰ってくるなーーーーーーーーーー」
〇桜並木(提灯あり)
土を蹴れば、砂が舞い踊る。
むしゃくしゃして、ありさはもう一回土を蹴った。
ありさ「連絡くれないなら 帰ってくるなあ―――――!」
〇桜並木(提灯あり)
ありさ「わたしのこと忘れたなら帰ってくるなーーーーーーー!! 桜なんか散っちゃえーーーー」
広い公園の中でありさが苛立ったように叫んだ。
誰も聞いてないから、いまは出来た。
〇桜並木(提灯あり)
喚き散らすと、
ありさは流れる雫を拭った。
ありさ「忘れちゃったのかな・・・」
〇桜並木(提灯あり)
砂が舞うと、肩に、何かが触れた。
ありさ「きゃっ!!! (誰!!?不審者!!?)」
〇華やかな広場
ありさが振り返ると、
その瞳に
桜並木の奥の噴水が見えた。
それから、声がした。
「忘れてねえよ」
〇華やかな広場
達哉の声だった。
目の前に、達哉がいた。
ふふ、っと達哉が笑った。
〇桜並木(提灯あり)
達哉「すっげー頑張って、教育プログラム 早く進めて・・・帰ってきたんだ」
〇桜並木(提灯あり)
ありさが、顔をこわばらせた。
時が止まったように。
ありさ「うそ・・・」
達哉「うそじゃねえよ」
〇桜並木(提灯あり)
達哉が、ありさに笑いかけた。
達哉「ありさに会いたくて帰ってきたんだぜ。 もっと褒めてくれよ」
〇桜並木(提灯あり)
達哉が、ありさの肩を抱いた。
「あの時と同じ桜だ。 ・・・花見、しよう」
予定よりも大分はやく再会できてよかったです!連絡が無いのは、めちゃくちゃ不安になりますね~。待つというのも辛いものがありますが、この二人が幸せになれそうでよかったです!
素敵な物語ありがとうございました!
ヒヤヒヤしながら「大丈夫?」と思いながら読ませて頂きましたが、最後は胸が温かくなる感じで終わってホッとしました。これからも続きますように。
どうなっちゃうんだろう?とハラハラしながら読んでましたが、最後すごく良かったです!
がんばって早く帰ってきてくれるなんて、すごく嬉しいですよね!
キュンキュンしました!