シュレディンガーの彼(脚本)
〇魔法陣のある研究室
未来(ミク)「時(トキ)せんぱーい」
未来(ミク)「また変な実験を・・・」
???「ぬおーーっっ!! 成功!?成功ですよ!!」
未来(ミク)「先輩、また研究室半壊させたんですか? そろそろ退学になりますよ」
時(トキ)「おや!未来くん! 今日もお美しいですね結婚しましょう」
未来(ミク)「イヤです 呼吸するように求婚しないでください」
時(トキ)「またフラれてしまいましたね でも諦めませんよ。諦めが悪いのが科学者ですから」
未来(ミク)「はあ、もう・・・ で、今日は何の実験ですか?」
時(トキ)「おお!興味ありますか未来くん! ではご説明しましょう!」
未来(ミク)(だって聞かないとずっと子犬みたいな目で見てくるんだもん)
時(トキ)「これは僕の技術の粋を集めた新発明! なんとカップ麺の待ち時間を58秒短縮可能!」
未来(ミク)「研究室ぶっ壊した成果がビミョーな家電!?」
時(トキ)「使ってみたいですか???みたいですよね!?」
未来(ミク)「いえ全然・・・ じゃなくて!!今日は先輩に用事があって来たんです!」
時(トキ)「おや、やっぱり僕のプロポーズを・・・」
未来(ミク)「まだ言うか・・・」
未来(ミク)「真面目に聞いてください! まあ、それと関係なくはないんですが」
未来(ミク)「・・・あの、前にも話しましたよね 私の「初恋」の話」
時(トキ)「・・・その話ですか 出来れば耳にしたくはないのですが」
未来(ミク)「いえ、改めてお話させてください」
〇雪洞
10年前、私が小学生のころ・・・
家族でスキーに来てた私は、不注意で崖の下に滑り落ちてしまいました
足首を捻挫していたので痛みをこらえながら助けを待っていましたが・・・
〇雪洞
次第に吹雪いてきて、いくら叫んでも声がかき消されて・・・
真っ暗闇の中で、寒くて、泣き続けました
もう死ぬんだと思いました
〇水玉2
泣き疲れていつのまにか気を失っていました
気づくと、体が温かかったんです
誰かにおんぶされてるようでした
???「大丈夫だよ、未来 ずいぶん遅くなったけど、ちゃんと迎えに来たよ」
とても優しい声と温かい背中だったのを、遠のく意識の中でもちゃんと覚えています
〇警察署の医務室
その「おじ様」は私をふもとまで送り届けた後に姿を消したそうです
安心して眠る私の手にこのキーホルダーを握らせて・・・
〇女の子の一人部屋
それからずっと、あのおじ様に会ってお礼を言いたいと思っていました
あのキーホルダーがこの大学のマスコットキャラだと知ったときは驚きました
〇魔法陣のある研究室
未来(ミク)「この大学にくればまた会えるかもしれない・・・ そう思って必死に勉強してここに来ました」
未来(ミク)「まだ見つからないけど、いまでも私はおじ様のことが・・・」
未来(ミク)「だから、改めて言います! 私が先輩のこと好きになることはありません!」
時(トキ)「・・・」
未来(ミク)「時先輩みたいに頭も良くてカッコいい人に好きになってもらえて嬉しかったです! 変人だけど!」
未来(ミク)「でもやっぱり私が好きなのは、あの日のあの背中だけ、なんです」
時(トキ)「そうですか・・・ 話してくれてありがとう、未来くん」
時(トキ)「僕の通算512回のプロポーズにも折れなかったきみのことですから、きっとまたその人に出会えるでしょう」
未来(ミク)(数えてたんかい)
時(トキ)「きみなら大丈夫ですよ 諦めが悪いのが・・・」
未来(ミク)「科学者!ですよね?」
時(トキ)「そのとおり」
未来(ミク)「じゃ・・・もうここへは来ませんね」
時(トキ)「ええ」
未来(ミク)「先輩みたいな人を好きになればよかったのにな」
時(トキ)「え?」
未来(ミク)「さよなら、優しい時先輩!」
未来(ミク)「痛っ!! なんなの!?いまそういうとこ!?」
時(トキ)「おやおや、盛大に転びましたね」
未来(ミク)「ちゃんと掃除してくださいよ! この紙切れで滑って・・・」
時(トキ)「それより頭を打ったりしていたら大変だ ちょっと失敬、向こうまで運ばせてもらいます」
時(トキ)「よっと」
未来(ミク)「あ、ちょっと!! 別におんぶなんかしなくても・・・」
未来(ミク)(・・・時先輩って細いのに意外と力強いんだ)
未来(ミク)(背中もこんなにおっきい・・・)
未来(ミク)(なんだか・・・)
〇魔法陣のある研究室
時(トキ)「おや? もしかして泣いてますか?」
未来(ミク)「え!?や、な、泣いてないし!!」
未来(ミク)「わ、私は大丈夫ですから!!降ろして! それじゃ!!」
時(トキ)「わっとと・・・ まあ、それだけ走れれば大丈夫ですかね」
〇明るい廊下
未来(ミク)「はぁはぁ・・・」
未来(ミク)「もう、フラれた直後におんぶとかなんなの!?」
未来(ミク)「ていうか、こんな紙切れが床に落ちてるから! ホントに研究以外はズボラなんだから!!」
未来(ミク)「・・・ん?」
祝!!当学マスコットキャラうっぴ〜ちゃん生誕5周年!
記念ぬいぐるみキーホルダー鋭意制作中!
購買にて来月販売予定!
未来(ミク)「え・・・?」
未来(ミク)「この子って10年前にはなかった・・・ってこと? キーホルダーもまだこの世にない・・・?」
未来(ミク)「どうゆうこと?」
未来(ミク)「まさか・・・」
〇水玉2
???「大丈夫だよ、未来 ずいぶん遅くなったけど、ちゃんと迎えに来たよ」
〇明るい廊下
未来(ミク)「おじ様って、なんで私の名前知ってたんだろ・・・」
未来(ミク)「・・・いやいやいや!!」
未来(ミク)「まさか、ね」
〇魔法陣のある研究室
時(トキ)「「好きなのは、あの日のあの背中だけ」ですか・・・」
時(トキ)「さて、と・・・」
時(トキ)「気を取り直して 『時空転移装置ver1.02』の改良に取りかかりましょうか」
時(トキ)「現状はカップ麺のような小型の物体を「58秒前の過去に転移させる」までは成功・・・」
時(トキ)「まあ、観測者からすれば「カップ麺が58秒早く出来た」だけに見えますがね」
時(トキ)「あとはいかにして「人間」を「数十年」前の過去に転移させるか・・・」
時(トキ)「一体何年かかることやら」
時(トキ)「未来くん・・・」
時(トキ)「「彼」の正体が確定していない以上、それが「僕である可能性」も存在していますからね」
時(トキ)「待っててください いつかきっと、きみの初恋を奪いに行きますから」
時(トキ)「残念ながら、科学者は諦めが悪いんですよ」
エルナさんこんばんは〜!
過去作品読ませて頂いています!
時先輩、かっこよかったです🤗
いいなあ プロポーズされたいですね💕キュンときました!
面白かった
500回を越える求婚を袖にする彼女と結ばれるにはタイムマシンを造るしかないなんて……でも500回振られても折れないハートがあるから案外大丈夫そうですね。
私もこんなに求婚されてみたいです。