ヒカリのリバージャーニー(脚本)
〇山中の川
ヒカリ「キャーーーーー!!」
家の近所の川辺で遊んでいたヒカリは、足をすべらせて川に落ちてしまった。
〇水中
ヒカリ「あっ。ぷわ、ぷわ・・・」
泳げないヒカリは、水面に向かって手を伸ばす。
ヒカリ「た・・・たすけてぇ〜〜〜!!」
〇黒
ヒカリ「えっ、ここ、どこ? 真っ暗で何も見えない・・・」
浅瀬で目を覚ましたヒカリは、真っ暗闇の中で恐怖と孤独にさいなまれていた。
ヒカリ「ど・・・どうしよ・・・」
ミヤ「ハロー! どうしたの?」
突然声が聞こえたので、振り返ってみる。
暗闇の中、ニョロニョロという音が聞こえた。目をこらしてみると、ヘビだ!!
ヒカリ「キャーーーーー!!!!!!」
ヒカリは飛んで逃げようとしたけど、羽が濡れてて飛べない・・・。
どっちに逃げればいいのかわからないけど、とりあえず走った。
ミヤ「もう! なんで逃げちゃうの・・・せっかく話し相手ができたと思ったのに・・・」
ヒカリは泣きながら全力で走った。
するとヒカリの目に、明るい日差しが見えてきた!!
ヒカリ「あっ!! もしかして私、家の方向へ走ってた? やった! もう少しだ!」
〇睡蓮の花園
ヒカリ「えっ、ここ、どこ?」
ヒカリの目に映ったのは、見たこともない風景だった。目も口も大きく開けたまま、途方に暮れる。
ヒカリ「そっか・・・走った方向、逆だったんだ・・・きっと・・・。戻るしかないよね・・・でもヘビが・・・どうしよ・・・」
タカ「なんだ、見たことないヤツだな・・・。 おい!! 何してんだ!?」
ヒカリ「あっ、えっと・・・ごめんなさい・・・。あの・・・その・・・迷子になっちゃって・・・」
ヒカリは今までのことをタカに説明した。
タカ「きっとお前は、新宿御苑から来たんだな!!」
ヒカリ「えっ、知ってるの?」
タカ「あぁ!! 俺は空を飛べるから、いろいろな場所を知ってる。お前だって羽があるなら、飛び回れるだろ」
ヒカリ「そうなんだけど、ママが外に行っちゃダメって厳しくて・・・。それに今は羽が濡れちゃって飛べないの・・・」
タカ「じゃ、羽が乾いたら、俺が案内してやるか」
ヒカリ「えっ、本当!? やったーーー!!」
タカ「ひとつ言っておくと、お前が会ったヘビは、たぶんミヤだ。あいつはきっとお前と友達になりたかったんだろう」
ヒカリ「えっ、そうなの!? 私、恐くって逃げちゃった・・・」
タカ「まっ、今度会ったときに、俺から話しとくとするか・・・。ちなみに俺はタカ」
ヒカリ「あっ、私はヒカリ」
〇雷
急に薄暗くなったと思っていたら、雷が鳴った。
ヒカリ「キャーーーーー!!!!!!」
雷の音に驚いたヒカリは、足を滑らせてまた川に落ちてしまった。
タカ「ヒ・・・ヒカリ!!!!!!」
〇水中
ヒカリ「や・・・やだ・・・また・・・。た・・・助けて──!!」
再び水の中に吸い込まれたヒカリは、水面にあがろうと、手足をばたつかせた。
〇黒
浅瀬にたどり着いたヒカリは、また真っ暗闇の中にいた。四つん這いの姿勢で息を整える。
ルカ「こんなところで何してるのだ!?」
ヒカリ「えっ!?!?!?」
目の前には、大きなネズミがいた。少し怖かったけど、ヘビのミヤさんのことを思い出し、恐る恐る話し始めた。
ヒカリ「川に流されて、ここまで来ちゃって・・・」
ルカ「お前、どっからきたのだ!?」
ヒカリ「さっき、向こうの池で会った青い鳥のタカさんによると、私は新宿御苑にいたらしいの・・・!!」
ルカ「ん・・・いたらしい!?」
ヒカリ「外に出たことなかったから、自分が住んでるところがどんな名前なのか、全然知らなくて・・・」
ルカ「そ・・・そうなのか・・・」
ヒカリ「羽が乾いたら、タカさんが案内してくれるって言ってくれたのに、雷が鳴って驚いちゃって、また川に落ちちゃって・・・」
ルカ「それはかわいそう・・・なのだ」
ルカ「戻るよりこの先行った方が、早く外に出られるのだ。そこで羽が乾くのを待てばいいのだ。ボクがタカに知らせてあげるのだ」
ヒカリ「本当に!? やったぁ〜!!」
ルカ「こっちなのだ!!」
ヒカリ「ありがとう!! 私はヒカリ」
ルカ「ボクはルカ。さっ、ついてくるのだ!!」
〇川に架かる橋
ヒカリ「えっ!?」
ヒカリの目には、川辺とは思えないコンクリートの壁、そしてたくさんのビルと人々が映った。
ルカ「ここは渋谷なのだ。新宿御苑からつながるこの川は渋谷川っていうらしいのだ。さぁ、橋の下で羽を乾かすのだ!!」
タカ「おい!!」
ヒカリ「あっ、タカさん!!」
タカは、この川がここで地上に出ることを知っていて、飛んで探しに来てくれてた。
タカ「お前、本当にドジだな、ヒカリ。 ルカ、ありがとうな!!」
ヒカリ「えっ、ふたりとも知り合いだったの!?」
ルカ「この川の仲間のことは、だいたいみんな知ってるのだ」
タカ「まぁ、川の上に道路ができて洞窟みたいなところばっかになって、川なのかどうかもわからない場所になっちまったけどな」
ヒカリ「私が住んでるとこは、緑がいっぱいでとっても気持ちいいのに・・・」
ルカ「代々伝わってる話だけど、この川は昔、緑に囲まれた自然豊かな川だったらしいのだ」
ヒカリ「そうなんだ・・・ちょっとさみしいね・・・」
タカ「ヒカリ、そろそろ羽は乾いたか!?」
ヒカリ「うん!! 飛べそう!!!!!!」
タカ「じゃ、行くか!! ルカ、またな!!」
ルカ「なんか寂しいのだ」
ヒカリ「次は遊びに来るね!!」
〇山中の川
タカ「さぁ、あそこが新宿御苑だ」
ヒカリ「あっ、そうそう!! 私の家、あそこ!!」
見慣れた新宿御苑にたどり着いて安心したヒカリだったが、ママのことを思い出してゾッとする。
ヒカリ「絶対ママに叱られる・・・」
主役のヒカリちゃん可愛い過ぎる❤️😍💕
あと、ネズミのルカさんも良いですね❤️
喋り方はハ○太郎‥🤣ノシ⭐︎⭐︎
これ、夏のちょっとした大冒険を描いてるみたいですね
生き物がみんなかわいいです。ヒカリちゃんも!どこかの世界のお話かな?と思ったらちゃんと渋谷のお話なんですね。いつの間にか街は人間だけのものだと勘違いしていたな…と反省しました。こんな風に色々な出会いをして、ちょっとずつ助け合って生きていけたら楽しいですね。