ブルックナー:第九(脚本)
〇店の休憩室
──コンサートホール 控室──
マーサさん「・・・・・・」
マーサさん「あ、おかえり!」
マーサさん「今日の調子はどう?」
マーサさん「はい、お水」
マーサさん「大丈夫? 今日は顔怖いって泣かれてない?」
スヴェンさん「ありがとう、大丈夫」
スヴェンさん「特に、そこまで怖い顔をしてる気は ないんだけどね・・・」
マーサさん「前一回あったじゃない、泣かせたこと!」
マーサさん「あれは驚いたけど、納得もしたなー・・・」
マーサさん「スヴェンほんとに 黙ってると目が険しいんだよね」
マーサさん「特に笑うと致命的! 普通に子供とか泣くよね?」
マーサさん「まぁ、私はスヴェンの怖い笑顔は好きだけど」
スヴェンさん「・・・まぁ、そこは慣れてもらうしかないな」
スヴェンさん「いい加減、本番になって まだ私の表情に驚く団員は 居ないと願っているよ」
スヴェンさん「もう四日も連続で 顔を合わせてはいるんだし・・・」
マーサさん「いやでもさぁ、 それでも顔を合わせたり注意受けたら 今だってきっと怖いってー」
マーサさん「私も時々無意味に謝りたくなる時 あるくらいだし・・・」
ーーご来場のお客様へお伝えします──
まもなく、公演を開始致します
ーー演奏中は、携帯電話の電源をお切りになって・・・
マーサさん「・・・そろそろ時間かな、 行ってらっしゃい!」
マーサさん「良い音聞かせてねー、 まぁ多分私はわかんないけど!」
スヴェンさん「・・・」
マーサさん「(やっぱり、こわ・・・)」
〇劇場の舞台
スヴェンさん「────」
〇大ホールの廊下
マーサさん「良い演奏になるかな・・・」
マーサさん「──全力出せるようには、 願ってるからね・・・」
演奏にむけての真剣な顔、もしくはそれがスヴェンさんの通常の顔なのかもしれませんが恐いといわれちゃうんですね。でも、それだけ作り上げる世界観に迫力があるっていうプラスの意味でも受け取れました。
タイトルの音楽は聴いたことがありませんが短いストーリーの中にお話しがうまく展開されていて最後まで一気に読ませて頂きました。会話のリズムもテンポがよくて楽しかったです。
ブルックナーの第9番ですか。。そもそもブルックナーの作品は長く体力勝負になるものも多いですし、しかも未完の第9番だとスヴェンさんの顔も怖くなりますよね。物語の背景が色々見えてきて楽しいです。