【第31話】とにかくまずはアプローチ。です。(脚本)
〇シックなカフェ
ここまでのあらすじ
エモーショスの結成理由、そしてゾウオについて知った2人。
気難しい男であるゾウオの悩みを、2人はどう解決するのだろうか。
コレール「それじゃあ僕はこれで失礼するよ、ゾウオの趣味嗜好は前にあげたノートに書いてあるよ」
コレール「僕にはまだやるべきことが残っているんだ」
甘咲 結葉「え・・・手伝ってくれるんじゃ」
コレール「手伝いたいのは山々だけどね 正直僕がいるときっと逆効果だよ」
コレール「前も言った通り、ゾウオは僕に弱みを見せないからね」
四島 修「確かに・・・そう言ってましたね」
コレール「それじゃあ後は任せるよ」
甘咲 結葉「・・・行っちゃった」
甘咲 結葉「ま、立ち止まっても何もありません! とりあえずまずはアプローチをしてみましょう!」
四島 修「いつも思うけど切り替え早いね!?」
〇洋館の廊下
甘咲 結葉「作戦その1!」
甘咲 結葉「普通に呼んでみる!」
四島 修「ゾウオさーん、いますかー」
〇古めかしい和室
ゾウオ「・・・・・・」
「ゾウオさーん」
ゾウオ「・・・・・・」
「いますかー」
〇洋館の廊下
四島 修「返事・・・ないね」
甘咲 結葉「いないんでしょうか」
アーロゲント「あれ、2人がこんなところにいるなんて珍しいね」
甘咲 結葉「アーロゲントさん!!」
四島 修「実は今かくかくしかじかで」
アーロゲント「ふーん」
アーロゲント「じゃあ高貴な僕が、特別にゾウオが部屋にいるか確かめてあげよう」
そう言うとアーロゲントはおもむろに土人形を召喚した。
アーロゲント「ちょっと2人とも、そこどいてて」
アーロゲント「さーてと! クーデターでも起こそうかなー!」
ゾウオ「どういう了見だアーロゲント!!!!!!」
アーロゲント「ほーらいた」
甘咲 結葉「居留守使われたってことですか!?」
アーロゲント「そーいうこと あ、クーデターは冗談だから安心してね」
ゾウオ「・・・くっ」
四島 修「そしてすぐ閉められちゃいましたね」
アーロゲント「鍵も閉められたね」
アーロゲント「何したらそんなに嫌われるの?」
甘咲 結葉「私達の方が知りたいです」
〇洋館の廊下
甘咲 結葉「作戦その2!!」
甘咲 結葉「アングストさんを外に出したことでおなじみの アマテラス大作戦!!」
甘咲 結葉「ってことでここで騒ぎ立てましょう」
アーロゲント「え・・・なにそれ」
甘咲 結葉「ここでとにかく騒ぐんです!! そしたら何事かと気になって外に出てくるので」
甘咲 結葉「無理やり引っ張り出す!!というものです」
アーロゲント「聞いても分からない・・・」
甘咲 結葉「とにかく騒ぎまくr・・・」
ゾウオ「全部聞こえている!! この時点で既にうるさい!!」
四島 修「うわっ!?」
甘咲 結葉「あっ今です!!引っ張り出しましょう!!」
アーロゲント「間に合わなかったみたいだね」
甘咲 結葉「心做しかさっきより手際よく鍵かけられたような・・・」
四島 修「やっぱりすごく嫌われているよね・・・」
アーロゲント「・・・・・・」
アーロゲント「2人とも、今日は帰っていいよ 僕がなんとかしておくから」
「え・・・!?」
アーロゲント「大丈夫、絶対うまくいくから 明日をお楽しみにね」
〇古めかしい和室
その日の夜。
ゾウオは一人瞑想をしていた。
ゾウオ「・・・・・・」
「やあ、アーロゲントだよ 作戦について話をしたくて。 入ってもいいかな」
ゾウオ「・・・・・・」
ゾウオ「入れ」
アーロゲント「わあ、入れてくれるんだ ありがとう」
ゾウオ「手短に話せ、我は暇ではないのだ」
アーロゲント「うん、手短に話すね まず作戦の相談がしたいというのは嘘だよ」
ゾウオ「何・・・?」
アーロゲント「本題は結葉くんと修くんのこと。 キミ、どうしてそんなに2人を嫌っているんだい?」
ゾウオ「あやつらの行動で組織全体が腑抜け始めたからに決まっておろう!! 貴様も絆されよって・・・」
アーロゲント「そ。でも、今までのキミなら腑抜けた子たちを叩き直すだけで 原因を忌み嫌いはしなかったよね」
アーロゲント「・・・ホントは、2人が怖いんじゃないの? ぽっと出で、コレール様に可愛がられて、みんなと仲良くしてる2人が」
ゾウオ「黙れ!! 袈裟斬りにしてやっても良いのだぞ!!」
アーロゲント「わかりやすいねえ」
アーロゲント「もしキミが彼らを怖がっていないなら その証明として明日、彼らと話をしてみてよ」
アーロゲント「怖いなら、しなくてもいいけど」
ゾウオ「・・・・・・ 挑発のつもりか」
ゾウオ「良いだろう、そこまで言うなら一度だけ話をしてやる だが一度だけだぞ」
〇シックなカフェ
翌朝。
甘咲 結葉「アーロゲントさん、昨日『明日をお楽しみに』って言ってたけど ホントにゾウオさんを連れてくるんでしょうか」
四島 修「まあこればっかりは信じてみるしかないね」
四島 修「それじゃあ僕はキッチンにいるね」
修がキッチンに入っていって、しばらくして。
甘咲 結葉「こ、この音は!?」
ゾウオ「・・・これで満足か、アーロゲント」
アーロゲント「うん、よくできました。 褒めてあげよう」
ゾウオ「・・・アーロゲントに言われてな 貴様らを怖がっているのではないかと」
ゾウオ「そうでないなら話をしてみろ、とな だから仕方なく来たのだ」
ゾウオはそう言うと冷たい目を光らせ、カウンター席に腰掛けた。
ゾウオ「・・・さあ、何を話すか?」
続く