白い涙

シュヴァルグラン

白い涙(脚本)

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〇綺麗な会議室
  みちのく鉄道株式会社 本社
  会議室にて・・・
永指 慶太「・・・という感じで、本日伊澤さんにはワンマン運転をしてもらいます」
伊澤 皐月「え、ワンマン・・・ですか?」
永指 慶太「ええ。 昼間の時間帯は、基本ワンマン運転となるので覚えておいてくださいね」
伊澤 皐月「わ、分かりました・・・」
永指 慶太「ワンマン運転は、分かりますよね?」
伊澤 皐月「勉強したので分かりますが・・・」
永指 慶太「なら大丈夫です。 今回は初めてなので、指導員付けるので安心してください」
伊澤 皐月「分かりました」

〇電車の中
  列車内・・・
我妻 喜太郎「では、終点の九石市駅まで頑張りましょう」
伊澤 皐月「は、はい!頑張ります・・・」
我妻 喜太郎「緊張しなくていいですよ。 いつも通り運転してください」
伊澤 皐月「あ、はい・・・」
伊澤 皐月「入換信号機進行表示よし!場内進行よし!」

〇駅のホーム
  6番線に停車中の列車は、11:07発、港北線上り、矢原・花崎・北川・箕澤・古泉方面、各駅停車の九石市行きです。
  間もなくの発車です。
  ご利用のお客様は、6番線に停車中の列車にご乗車になってお待ちください。
  発車メロディーが流れ・・・
  間もなく、6番線から、港北線、普通列車、九石市行きが、発車致します。
  ドアが閉まります、ご注意ください。
伊澤 皐月「本線時刻よし!ドア閉め・・・よし! 場内6番線出発進行!森ノ丘定刻! 次千石町停車!」

〇走る列車
  約30分後・・・
伊澤 皐月「場内進行、花崎2番停車! 停止位置2両よし!」
  間もなく、花崎、花崎です。
  降り口は、右側です。
  鎌越線ご利用のお客様は、お乗り換えです。
伊澤 皐月「・・・花崎停車!停止位置よし!」
稗沼 空(うわぁ・・・綺麗な人・・・)
伊澤 皐月(・・・何か、視線を感じる気が・・・)
稗沼 空(・・・!)
伊澤 皐月「あら、こんにちは」
稗沼 空「こ、こんにちは・・・」
伊澤 皐月「1人でお出かけ?」
稗沼 空「あ、はい。 鐘崎駅のおばあちゃん家に泊まりに・・・」
伊澤 皐月「あら、偉いじゃない。 1人で乗れて」
稗沼 空「えへへ・・・ありがとう! 美人のお姉さん!」
伊澤 皐月「美人だなんてそんな・・・」
我妻 喜太郎「ほら、そろそろ発車時刻だぞ」
伊澤 皐月「ですね・・・よし!」

〇田舎の線路
  約20分後・・・
伊澤 皐月(・・・奥原発車してから、雨が急に強くなってきたなぁ・・・ 無事に停車出来れば良いけど・・・)
我妻 喜太郎(・・・これ、下手したら遅れるかもな・・・)
伊澤 皐月「本線場内進行!鐘崎停車! 停止位置2両よし!」
  間もなく、鐘崎、鐘崎です。
  降り口は、左側です。
伊澤 皐月「鐘崎停車!停止位置よし!」
稗沼 空「お姉さん凄い・・・」
伊澤 皐月「ふふっ、ありがとう」
稗沼 空「これからも、運転頑張ってください!」
伊澤 皐月「ええ、もちろん!」
我妻 喜太郎「可愛い子には旅をさせよ・・・ですかね」
伊澤 皐月「そうですね・・・」

〇田舎駅のホーム
  次駅 箕澤停車中・・・
  こちら、輸送司令。
  M7010運転士、応答願います。
伊澤 皐月「はい。 こちら、M7010運転士です」
  只今、箕澤~古泉の間で集中豪雨が発生しています。
  その為、あなたの列車は箕澤駅で暫く停車してください。
伊澤 皐月「りょ、了解しました・・・」
我妻 喜太郎「やっぱり、そうなったか・・・」
伊澤 皐月「ですね、取り敢えず・・・」
伊澤 皐月「お客様にご案内致します。 只今、箕澤から古泉にかけて集中豪雨が起きている為、当列車は暫く箕澤駅に停車します」
伊澤 皐月「お急ぎの所申し訳ございませんが、ご理解とご協力をよろしくお願い致します」
伊澤 皐月「・・・ふぅ、これで良しと・・・」

〇田舎駅のホーム
  1時間後・・・
我妻 喜太郎「お、雨やんできたな・・・」
伊澤 皐月「ですね・・・」
  こちら、輸送司令。
  M7010運転手、応答願います。
伊澤 皐月「あ、はい。 M7010運転手です」
  箕澤~古泉間の安全確認が取れましたので、終点の九石市まで運転を再開してください。
伊澤 皐月「了解しました」
伊澤 皐月「お客様にお知らせ致します。 只今、この先の安全確認が取れました為、運転を再開致します」

〇橋の上
  絹川橋梁通過中・・・
我妻 喜太郎「うわっ、結構水嵩上がってたんだな・・・」
伊澤 皐月「本当ですね。 これじゃあ通るのは厳しいな・・・」

〇海岸沿いの駅
  古泉駅構内・・・
山野井 健「あー、よーやく列車来たー・・・ 長すぎだろ・・・」
後沢 庄司「仕方ないだろ・・・ あの区間はどうしてもなってしまうし・・・」
山野井 健「そりゃそーだけど・・・」
後沢 庄司「まあ、来てくれただけいいじゃん。 別に用事ないんだろ?」
山野井 健「用事? ・・・あ、そういや今日!」
後沢 庄司「え、なんかあんの?」
山野井 健「そういや、今日13時に近田駅で母さんと待ち合わせしてたんだった・・・」
後沢 庄司「マジか・・・ 今からじゃ間に合わないな・・・」
山野井 健「とりあえず、九石市着いたら電話してみるわ・・・」
後沢 庄司「了解っ」

〇電車の座席
  九石市駅手前・・・
伊澤 皐月「九石市停車、場内制限25! 九石市2番線停車良し!」
  まもなく終点・・・九石市、九石市です。
  港北新幹線、港北線、船度線は、お乗り換えです。
  何方様も、お忘れ物落し物なさいませんようご注意ください。
  本日も、港北線をご利用くださいまして、ありがとうございました。
伊澤 皐月「九石市1時間遅れで停車っと・・・」
我妻 喜太郎「伊澤さん、お疲れ様。 初めてのワンマン運転だったけど、どうだった?」
伊澤 皐月「正直、疲れましたけど・・・ 楽しかったですね」
我妻 喜太郎「そうですか」
瀧間 和義「お疲れ様です」
伊澤 皐月「あ、お疲れ様です」
瀧間 和義「あとは私が引き継ぎますので」
伊澤 皐月「了解しました」

〇休憩スペース
  九石市駅構内社員休憩室・・・
伊澤 皐月「ふぅ・・・疲れた」
  ブー、ブー・・・
伊澤 皐月「はい、伊澤ですが・・・」
永指 慶太「ああ、伊澤さん。 運転お疲れ様」
伊澤 皐月「あ、永指さん・・・お疲れ様です」
永指 慶太「今、九石市駅に居るよね?」
伊澤 皐月「はい、現在九石市駅構内にある社員休憩室で休んでました」
永指 慶太「では、16:30九石市発の、普通森ノ丘行きで車掌をお願いしても宜しいかな?」
伊澤 皐月「16:30九石市発の、港北線下り、各駅停車の森ノ丘行きですね。 了解しました」
永指 慶太「じゃあ、それまではゆっくり休んでください」
伊澤 皐月「はい!」

〇休憩スペース
伊澤 皐月「・・・あれ?新聞が置いてある・・・」
伊澤 皐月「・・・少し暇だし、読んでみようかな」
  みちのく新聞 20XX年8月10日(金)
  
  花崎市で交通事故!死者は10人越え!
  20XX年8月9日、花崎市深沢にある交差点でトラックがガードレールにぶつかる事故が起きた。
  この影響で、近くにある花崎北小学校の生徒約15名が怪我を負い、そのうち10人が死亡した。
  警察は、トラックを運転していた運送業者の舘本 幹二容疑者(35)を、人身事故の疑いで逮捕しました。
伊澤 皐月「この子、花崎駅から乗ってきた・・・」
伊澤 皐月「・・・そっか」

〇高層ビル
  ・・・行けたんだね、あの子・・・

コメント

  • 初めましてピーターという者です。
    電車に乗っていた男の子が、トラックの交通事故で亡くなっていた子だったとは……。
    初めてワンマン運転を行った伊澤さんの心に残るでしょうね。

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