時を超えたタイムカプセル

相草河月太

時を超えたタイムカプセル(脚本)

時を超えたタイムカプセル

相草河月太

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時を超えたタイムカプセル
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〇渋谷駅前
  渋谷──。
  ハルミ「相変わらず活気がある街だな」
  ハルミ「もう10年になるんだな」
  ハルミ「覚えてくれているだろうか」
  ハルミ「──。ともかく行ってみよう」

〇公園通り
  ハルミ「この辺りだったはずだけど」
  ハルミ「わ!」

〇新緑
  ハルミ「すごいきれいになってる!」
  ハルミ「下はブランドショップやバルになってて、上が公園なのか」
  ハルミ「でもどうしようかな?これじゃあ」

〇テーブル席
  店員「いらっしゃいませ」
  ハルミ「あの、すみません」
  店員「はい、お一人ですか?」
  ハルミ「いえ、ちょっとお聞きしたいんですが、ここって昔、宮下公園でしたよね?」
  店員「はい。宮下公園が、2020年に宮下パークに生まれ変わったんです」
  ハルミ「な、なるほど。ありがとうございました」

〇新緑
  ハルミ「そうだったのか。でもこれじゃあ」

〇広い公園
  ハルミ「ここでいい?」
  ユキハ「うん!この木の下ならすぐにわかるね」
  ハルミ「オレたちがハタチになったら一緒に掘ろうな。大人になったら必ず戻ってくるからさ」
  ユキハ「絶対だよ、ハルミ。私、必ずくるからね」
  ハルミ「あ、あったりまえだろ。ユキハこそ忘れるなよ。絶対の約束だからな」
  ユキハ「うん!じゃあ10年後!」
  「「指切りげんまん・・・」」

〇新緑
  ハルミ「オレはあの後すぐに、親父の仕事について外国にいった」
  ハルミ「新しい環境や成長による変化で、いつの間にかユキハの連絡先もわからなくなって」
  ハルミ「でも忘れたことはなかった。もし今日会えたら、そこから・・・」
  ハルミ「と思ってたんだけど、これじゃあな」

〇木の上
  サワサワサワ──。
  ハルミ「全然変わってしまったけど、埋めたのは大体このあたりだったかな」
  ハルミ「あ!」
  ハルミ「こんなところにメモがピンで止めてあるぞ。それにURLとパスワードのヒント?」
  ハルミ「パスワードはユキハの誕生日?」
  ハルミ「こ、これってユキハのメッセージじゃないか?」

〇黒
  ハルミ「早速アクセスしてみよう!」

〇サイバー空間
  ハルミ「ここは!バーチャル渋谷!ネット上の渋谷の中だ!このURLのサイトは?」

〇SHIBUYA109
  ここは──。
  ハルミ「10年前の渋谷か?それにオレのアバター、あの頃のオレにそっくりだ!」
  ハルミ「間違いない!ともかく、宮下公園に行こう!ここが10年前の渋谷ならまだあるはずだ」

〇広い公園
  ハルミ「わー、懐かしいなあ」
  ハルミ「あの時のままだ」
  ユキハ「ハルミ!!」
  ユキハ「来てくれたんだ!」
  ハルミ「ユキハ、ひさしぶり」
  ユキハ「うん、本当に、ひさしぶりだね」
  ハルミ「ここ、ユキハが用意してくれたのか?」
  ユキハ「うん。タイムカプセルを埋めた場所がなくなることになって、でもハルミとは一緒に掘り出したかったから」
  ユキハ「でも今のハルミの姿がわからないから、仕方なく10年前にしてみたの」
  ハルミ「その、オレさ、この10年ずっと」
  ユキハ「!」
  ユキハ「うん、あのさ、先に掘らない?タイムカプセル。ちゃんと用意したんだよ」
  ハルミ「!」
  ハルミ「ああ、そうだな!」

〇木の上
  ハルミ「なかなかでてこないなー。ここだよな、ユキハ?」
  ユキハ「えへへ、ちょっと深くうめすぎちゃったかな?」
  ハルミ「あ!あったあった!」
  ユキハ「やった!!」

〇黒
  ハルミ『まるで本当に10年前に戻ったみたいに、僕とユキハは自然に笑い合っていた』

〇新緑
  ハルミ「ああ、たのしかった」
  ユキハ「ハルミ!」
  ハルミ「ユ、ユキハか?」
  ユキハ「うん。来てくれて、本当にうれしい」
  ハルミ「オレのほうこそ、こんな準備してもらっちゃって、ありがとう」
  ユキハ「だって、ずっと楽しみにしていたこの日だったから、絶対に一緒に掘り出したくて」
  ユキハ「本物のタイムカプセルも、工事の前に掘り出してあるよ!一緒に開けない?」
  ハルミ「ああ!じゃあ、下のレストランで何か食べながらにしようか!」
  ユキハ「わーい!!美味しいスイーツの店があるんだよ!」
  ハルミ「はは、ユキハは相変わらず甘い物が好きだなあ。駄菓子もたくさん食べてたよな」
  ユキハ「あ!ハルミだって虫歯なのに私のチョコ必ず半分もらってたでしょ!?」
  ハルミ「そうだった、あの時はありがとうな、ユキハ」
  ユキハ「えへへ、覚えてればいいよ♪」
  ハルミ「・・・」
  ユキハ「ハルミ、どうしたの?」
  ハルミ「あの、さ。さっき言いそびれたけど、この10年、ずっと言いたかったことがあって」
  ユキハ「!」
  ユキハ「な、なに?」
  ハルミ「ユキハ、ずっと好きだった。今日会えたら絶対言おうと決めていたんだ」
  ハルミ「オレと、付き合ってくれないか」
  ユキハ「!!」
  ユキハ「うん!!もちろんだよ!!私もハルミが大好き!!!」
  ハルミ「やった!10年越しに思いが届いた!ありがとう、ユキハ!!」
  ──────。

〇SHIBUYA SKY
  ハルミ「こうして僕は、10年ぶりの渋谷でユキハとの一歩を踏み出した」
  ハルミ「10年前の渋谷にも行ったし、バーチャルな渋谷も、新しい渋谷も知った」
  ハルミ「これからこの変化し続ける街で、どんなことが僕らを待っているか、本当たのしみだ」
  ハルミ「本当に。この刺激的な街、渋谷で──」
  ──end

コメント

  • 正にタイトル通り、タイムカプセルが時を超えて2人を結んだ素敵な物語でした😌きっとこの2人なら10年も20年も仲良く暮らしていそうですね✨

  • 日々流行や制度の中で進化し続ける渋谷の街並ですが、思い出の街風景を大事にし続けた2人の想いがステキです。変わりゆくものと変わらないもの、いずれも大事だと思わせてくれる物語ですね。

  • タイムカプセル、ユキハさんが取っておいてくれて良かったですね。
    ということはユキハさんも、10年後の約束の日にハルミさんが来るのを信じていた…ってことですよね。
    ロマンティックで素敵です!

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