デス・リロード

悠々とマイペース

出会い(脚本)

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〇荒廃したセンター街
  分離区画中央街──
  その名の通り、ある場所を切り離した区画の事である。
  その区画に普段一般市民が立ち入る事が許されないはずの人間が一人・・・。
(・・・ああ、あの街が恋しい)
  安全を保証された都会の美しい市街地区を思い浮かべ、この行動を起こした事に既に後悔していた。
  足音を出来るだけ”奴ら”に聞かれないよう祈りながら、ゆっくりと中央街を進む。
  しかし、その祈りは通じず、よくあるB級映画の枝を踏んで音が出てしまうありきたりな出来事に巻き込まれた。
「あっ・・・」
  一斉に光る瞳がこちらを向く。
  かろうじて犬の形をした異形な存在やカラスのような鳥類のバケモノが獲物を見定めたようだ。
「えっと・・・その──」
  後ろに回れ右をし、駆け出す。
「すみませんでしたぁぁ!?」

〇荒廃したセンター街
「無理無理りぃ!」
  後方からは、よだれを垂らしながら駆け出して来るバケモノ達がすぐ傍まで迫っていた。

〇荒廃したセンター街
???「止まれ、ガキ」
  静かにかつ、逃げ出している息遣いの中でも聞こえてきた言葉に、ふと足を止めてしまう。
「しまっ!?」
  慌てて走り出そうとするも目前まで犬の牙が迫って来ていた。
  ──が、その犬のような異形のバケモノは、とっさに守る腕を食らう前に一発の銃声が響くのと同時に分散する。
???「たくっ、この辺うろつくから、縄張りに入り込むんだ」
  まるで西部劇に出てくるかのような、しおれた黒い外套に、カウボーイハットを着こなした男が銃口から出る煙を吹き消す。
「あなたは・・・」
???「名乗る者でもねぇし、礼を言われる理由もねぇ」
  先に言い、滑車の付いたブーツを翻して片手を振りながら一言。
???「強いて言えば、今日の俺は機嫌がいいからな。んじゃな」
  格好良く去って行こうとする男に、ようやく身なりから例の人物だと確信した。
「待って下さい!  ”リローダー”さん!」
???「おいおい、おいおいおい。 こりゃあ、たまげたな」
  帽子を片手で押さえながら、肩で笑う男。
???「誰からその名を聞きた、”坊主”?」
  先程の少し柔らかい声色とは違い、冷たく刺さるような口調で、瞬時に振り返り、独特な形状をしている銃口を向ける。
  慌てて両手を上げてこのバケモノ達が巣食う場所へ来た理由を話し出す。
「姉からあなたの名前を聞きました。 もし、何か困った事があれば、西部劇に出てきそうな男を頼れと・・・」
???「姉だと? 名前は?」
「はい。 名は、シゼル。 ”ルーバー・シゼル”」
  その名前を聞いた途端、男は焦りを見せていた。
???「なに!? あのシゼルだと!!」
???「バカ言え、シゼルにガキが居るなんて聞いてねぇぞ!」
「知らないのも無理ありません。 あなたと別れた時に養子として迎えられました」
???「デタラメだ。 なにせ──」
「姉は、本来あなたを殺すはずの天使だから・・・」
???「・・・・・・この質問に答えたら、お前を養子だと信じてやる」
「何でもどうそ」
???「リローダーでは無い、俺の名は?」
「それは────」

〇荒れた倉庫
  黒ずみや傷だらけの汚れきったソファに腰掛け、リローダーと呼ばれる男は対面に居る相手に話し掛ける。
リローダー「んで、要件を聞こうか?」
「はい。 ・・・・・・悪魔になった友人を助けて貰いたいのです」
リローダー「侵蝕化か?」
「いえ。 人為的に悪魔にさせられました」
リローダー「まだ上位種を目指そうとするクソ溜まり共が居るとはな」
  ソファにあぐらかいて、少し間を空けた後、冷徹に言い放つ。
リローダー「友人の命を助けるのは不可能だ。 それは、お前にもわかるだろ?」
「・・・・・・はい。 だからこそ、悪魔になったしまった友人を・・・救って欲しい」
  一度悪魔になった人間は、その存在を消さない限り暴走を続ける。
  それは、自然の摂理と同じように当たり前のこと。
  だけど、それでも悔しい!!
リローダー「俯くな、泣くな、前を向け。 神なんてたいそうな存在はいねぇ」
  ソファから立ち上がり、滑車の音を立てながらゆっくりと近づく。
リローダー「だが、お前の願いは、このリローダーが代わりに果たそう」
  頭を軽く撫で、倉庫の入り口へと歩を進める。
リローダー「だから、お前の願いを最後まで見届けろ」
  溢れ出た涙を服の袖で拭い、リローダーの方へ振り返る。

〇荒廃した街
  人類が生み出した異形の怪物は、動植物問わず姿を変え、人間のみを襲う。
  四連銃と呼ばれる銃口が四つのリボルバー型の拳銃が、次から次へ襲い掛かる異形を粉砕する。
「・・・うぇー、エグい」
リローダー「うるせぇな。 こちとらお前守るために貴重な弾丸使ってやってるんだ、ありがたく思え」
  犬型の頭部が落としたトマトみたいに胴体だけ少し痙攣させて倒れていた。
リローダー「それで、その研究施設はどっちだ?」
  煙草に火を付け、休憩のつもりだろう。
「どうして、分離区画に友人の居る施設があるとわかったんです?」
リローダー「そりゃ分かるだろ? こんなお人好しがわざわざ危険な場所まで足を運んで来るなんざ──」
  何かを言いかけて止め、煙草を吸い終わらせて地面に落とし、足で消す。
(・・・・・・多分聞くと怒られそうだから止めておこう)
リローダー「・・・止まれ。 こりゃあ、研究施設を探す手間が省けたな」
「それは、どうして──!?」
  複数の人間の死体・・・それも、何か獣で食い千切られた跡のある死体ばかりが建物に続いていた。
リローダー「どうする? まだ、引き返せるぞ?」
  その問いに胃液が込み上げてきた口を覆い、それでも前を向いて頷く。
リローダー「そうか、野暮な質問だったな」
  そうして、建物内へ足を踏み入れた。

〇荒廃した教会
  建物は、教会だった。
  その中心で何かを咀嚼する音が聞こえていた。

〇血しぶき
「あぁ──」
  もう見る影もない異形な怪物がまだ子供の頭を食らっていた。
  親子だろうか、父親らしき人物は下半身と血まみれの眼鏡が落ちており、上半身だけ残っていた母親は地面に倒れていた。
???「人造悪魔二十六号、遂に悪魔へ昇華した」
  両手を広げ、スーツ姿の男は、この光景を見て笑っていた。

〇荒廃した教会
リローダー「さて、スーツ野郎に聞きたいことは山程あるが、その前に、アレがお前の友人か?」
  何も言えずただ、膝から崩れ落ち、溢れ出す涙を流していた。
リローダー「当たりらしいな」
  目視で分かる限り、体長は約3メートル、コウモリのような翼に蛇の瞳とライオンの牙だろう。
リローダー「おい、そこのスーツ姿のお前!」
???「それは、私のことでしょうか?」
リローダー「お前以外に誰がいやがる?」
???「それは、失礼しました。 こちらにお気になさらず、どうか・・・死んでください」
  笑顔を見せ、指を鳴らす。
  その瞬間、先程まで食事に夢中になっていた悪魔になった元友人が瞬く間にリローダーの腕を切り飛ばした。
リローダー「クソッ!!」
  右手で依頼主を担いで避けたせいで片腕を失ってしまった。
???「おやおや、あの速度で死んでないとは、あなたも侵蝕によって悪魔になった人間ですか?」

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