28話 接近(脚本)
〇教室の教壇
翌日
熊元治(くまもと おさむ)「虹場・・・今日も休みか」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「何かおかしいよね」
熊元治(くまもと おさむ)「うん」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「これからどうする?」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あたしは昨日龍と話そうと思って音楽を聴いてリラックスしてみたんだけどダメだった 龍の姿を視るのはやっぱり難しいみたい」
熊元治(くまもと おさむ)「まあそうだよな・・・俺達でやったときは半日がかりだったもんな」
熊元治(くまもと おさむ)「打開策として・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・みんなでレンズをさがしてみるのは? 見つかれば高の木のお父さんの部屋から向こうへの出口ができるかもしれない」
熊元治(くまもと おさむ)「龍の話から考えると、おそらく人に化けたダイオーが持ってるんだよな? 龍に外見をインプットされた宮城なら分かるはず」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「いや・・・けど誰なのかあたしたちがわからないんじゃみんなでさがすって言っても」
熊元治(くまもと おさむ)「そうなんだよな・・・ふう・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「空耳のことは心配だけど現実的な方法じゃなくない?」
熊元治(くまもと おさむ)「そうだな・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「うーん・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「あ」
熊元治(くまもと おさむ)「じゃあ国会議員に会いに行くというのはどうだ? 公園で亡くなった佐々木さんという人は」
熊元治(くまもと おさむ)「政治家半山の秘書だったんだろ? レンズの持ち主かもしれないじゃないか」
熊元治(くまもと おさむ)「会えば何か分かるかもしれない」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「まず・・・会ってくれるかしら?」
熊元治(くまもと おさむ)「うーん、難しいか・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あたしたちまだ高校生だからね」
熊元治(くまもと おさむ)「そうだよね」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あ」
熊元治(くまもと おさむ)「どうした」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「いい手がある」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「もしも・・・もしもよ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あたしがレンズを持っていると教えたら会う気になるんじゃないかしら?」
熊元治(くまもと おさむ)「なるほど。それならあり得るな」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「うん、レンズのことで誰かともめていた可能性があるし。犯人は佐々木さんからレンズを奪おうとして失敗したのかもしれないしね」
熊元治(くまもと おさむ)「だが危険を伴うかもな・・・半山はどんな相手かわからんし・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あまり印象はよくないね」
熊元治(くまもと おさむ)「ああ。俺もだ」
熊元治(くまもと おさむ)「しかし進展できそうな手は他にないよな」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・やるしかないね」
熊元治(くまもと おさむ)「高の木、うちに帰ったらあのレンズの写真を撮って送ってくれないか。ネットで連絡してみるから」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「わかった」
〇高層ビル
三日後
東京ー霞が関
熊元治(くまもと おさむ)「まだかな・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)(半山のホームページにレンズの特徴を詳しく書いて写真入りのメールを送ったらあっさり会ってくれることになるなんてな・・・)
男「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「来てくれましたか」
半山大利(はんやま だいり)「まったく」
半山大利(はんやま だいり)「若いんだな」
半山大利(はんやま だいり)「君ね、遊びじゃないんだよ わかってるのか」
熊元治(くまもと おさむ)「そんなつもりはないです。半山さん」
半山大利(はんやま だいり)「私に会うことは誰にも言ってないだろうな」
熊元治(くまもと おさむ)「はい、大丈夫です」
半山大利(はんやま だいり)「ではレンズは?」
熊元治(くまもと おさむ)「あります」
半山大利(はんやま だいり)「渡せ」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「いきなりですか」
半山大利(はんやま だいり)「何がほしいんだ。遊ぶ金か」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・そんなのじゃないです」
半山大利(はんやま だいり)「・・・何だよ」
熊元治(くまもと おさむ)「西の町公園のあなたの秘書の事件で聞きたいことがあるんです」
半山大利(はんやま だいり)「なんだと・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「秘書の方が亡くなりましたよね」
半山大利(はんやま だいり)「・・・そうだな」
半山大利(はんやま だいり)「君に話すことなどない」
熊元治(くまもと おさむ)「いや、それは・・・」
半山大利(はんやま だいり)「いいのかね」
半山大利(はんやま だいり)「こんなことをして。君はレンズのことを持ち出して私を脅しているんだぞ」
熊元治(くまもと おさむ)「いや──そんなつもりじゃ」
半山大利(はんやま だいり)「結果的にそういうことになっているんだよ 話さないとレンズを渡さないんだから」
半山大利(はんやま だいり)「これは犯罪だよ」
半山大利(はんやま だいり)「君は国会議員にケンカを売る気か」
熊元治(くまもと おさむ)「そんな・・・とんでもない」
半山大利(はんやま だいり)「じゃあ早くレンズを渡しなさい」
半山大利(はんやま だいり)「訴えるよ!」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「半山さんは何で私に会う気になったんですか」
半山大利(はんやま だいり)「何・・・」
半山大利(はんやま だいり)「それは・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「何ですか」
半山大利(はんやま だいり)「おい!」
男「先生・・・確保しますか」
熊元治(くまもと おさむ)「な・・・」
半山大利(はんやま だいり)「任せる」
男「はい」
熊元治(くまもと おさむ)「え」
男「来るんだ」
熊元治(くまもと おさむ)「な、何で」
半山大利(はんやま だいり)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)(くそ だけどこうなることを考えておいてよかった)
熊元治(くまもと おさむ)(頼んだぞ、高の木)
男「さっさと歩け」
半山大利(はんやま だいり)「・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「熊元が捕まった・・・よし」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・」
〇赤レンガ倉庫
宮城まつき「んー先輩に言われてレンズを持っている人を探しに来たけど・・・」
宮城まつき「なぜここを選んだのか・・・それは不明」
宮城まつき「まああたしが遊びたいからなんだけどー」
宮城まつき「わー ショッピングして帰ろっと」
〇閑静な住宅街
宮城まつき「あー楽しかったー」
宮城まつき(ぬいぐるみとお菓子とかわいい文房具と服を買っちゃったー!)
宮城まつき「あれ」
宮城まつき(前から歩いてくる人・・・)
男「・・・」
宮城まつき「間違いない。この人だ ・・・どうしよう」
男「あのー」
男「君」
宮城まつき「え・・・あたしですか」
男「そうだ」
男「・・・君はうちの相互会のことを調べていたね」
宮城まつき(何かやばそう)
宮城まつき「何のことですか~」
男「宮城まつきさん・・・ですよね。君と話があるんだ」
宮城まつき「え」
宮城まつき「私知らない人と話はしない主義なんです〜」
男「いや、気さくでしょ」
宮城まつき(何で知ってるの?)
男「むこうの喫茶店でいいからちょっと来てよ」
宮城まつき「え、え~と・・・」
サスペンスタッチになってきましたね!!
サスペンスドラマは好きなので、ゾクゾクします
😆
捕まっても作戦があるようで…しかし向こう側も新たな手立てがある感じで、こういうサスペンスなやり取り良いですね!