37週の逆子パニック!帝王切開の危機(脚本)
〇病院の診察室
2011年12月
里帰り先の熊本の産院
主治医「今日で37週1日ですね。 では、エコーで見てみましょう」
主治医「・・・ん? これは」
主治医「横向きになってますね」
咲良 綾「え!?」
主治医「多分戻るとは思いますが、次の健診までに戻らなければ、帝王切開になります」
咲良 綾「ええーっ!」
主治医「手術予約を入れておきますので、同意書のサインをもらっておいてください」
〇綺麗な部屋
咲良 綾「正期産の時期に入ってほっとしてたのに~!」
妹「元気すぎて動いちゃったんだね」
母「温熱治療の先生の予約取ってあげる。 ゴッドハンドなんだよ!」
〇広い和室
ゴッドハンドマザー「絶対大丈夫!」
咲良 綾「ほんとですか!」
ゴッドハンドマザー「必ず直るから、安心してまかせなさい」
〇綺麗な部屋
夫(通話)「同意書サインして投函したよ。 高額医療限度額認定証の申請もしておいた」
咲良 綾「ありがとう。使わないで済めばいいんだけど」
夫(通話)「お腹はどんな感じ?」
咲良 綾「脇の突っ張った感じはなくなった気がする」
夫(通話)「明日の健診で、直ってるといいね」
咲良 綾「ベビちゃーん、頭は下だよ。お願いね」
咲良 綾「・・・ん?」
〇部屋の扉
咲良 綾「今38週1日で明日健診なんですけど、出血があって。どうしたらいいですか?」
咲良 綾「はい。 ・・・はい、わかりました」
妹「お姉ちゃん、どうしたの?」
咲良 綾「おしるしっぽい出血があって、病院に行くことになったよ」
母「車出すよ」
咲良 綾「そのまま入院の可能性もあるから、入院バッグも持って行っとく」
咲良 綾「・・・待って」
咲良 綾「病院行く前に、ピザ頼んで!」
咲良 綾「出産したらチーズとか控えないといけないし、後悔がないように食べておきたい!!」
母「わ、わかった」
※当時授乳に悪影響と言われていましたが、食べ物のことは主治医と相談してご判断ください
〇病院の診察室
主治医「では、見てみましょう」
咲良 綾「ベビちゃん、お願い!信じてるよ!」
主治医「動いてますが、完全に逆子になってます」
〇広い和室
ゴッドハンドマザー「絶対大丈夫!」
〇病院の診察室
咲良 綾「大丈夫じゃないやないかーい!!」
〇集中治療室
助産師「では、NSTで赤ちゃんの状態を確認します。 何かあったら呼んでください」
咲良 綾「このまま手術予約日まで入院するのかな。それとも一旦帰るのかなぁ」
咲良 綾「あ、またお腹張ってる」
助産師「・・・咲良さん。 陣痛が起きてます」
咲良 綾「はい?」
助産師「乗ってください」
〇病院の診察室
主治医「このまま入院して、本日20時緊急帝王切開になります」
咲良 綾「えええええ!?」
主治医「緊急なので、縦に切ります」
咲良 綾「縦・・・(さよならビキニ!)」
主治医「初執刀の医師が担当しますがいいですか? 補助の経験は豊富ですし、私がサポートします」
わたし、どうなっちゃうの~???
〇綺麗な病室
咲良 綾「今夜腹切ることになった! 同意書間に合わないからお父さんに頼むね!」
夫(通話)「ええ!? わ、わかった」
助産師「はい、下剤飲んでください」
さよなら、腹に蓄えたピザ・・・
君のくれた幸せは忘れない!
〇綺麗な病室
助産師「着圧ソックスはかせます」
咲良 綾「ぐおおおきっつー!! (これ、この太さにはかせていいやつ??)」
〇手術室
助産師「はい、体丸めてー」
咲良 綾「(注射でっか!怖!)」
執刀医「触ってる感覚ありますか?」
咲良 綾「はい」
執刀医「結構強くつまんでるんですよ。 麻酔効いてますね」
執刀医「切りまーす」
咲良 綾「(そんなカジュアルに!? あなた初めてですよね!?)」
執刀医「はい、おめでとうございまーす!」
咲良 綾「もう!?!?」
助産師「元気な女の子ですよー」
咲良 綾「よ、良かった・・・」
助産師「写真撮りまーす」
助産師「じゃあ赤ちゃん連れて行きますねー」
主治医「無事に執刀デビューですね」
執刀医「はい、うふふ」
咲良 綾「(開いた腹を囲んでいるとは思えない和やかさ!)」
執刀医「お腹閉じます」
バッチン! バッチン!
咲良 綾「(何やってるの? 工事!?)」
咲良 綾「(でもとにかく、無事に産まれた・・・ うん、それが一番だ)」
〇綺麗な病室
「・・・・・・って、」
咲良 綾「術後の後陣痛、痛ぁーーーい!! 硬膜外麻酔、入れてこれ?? 眠れない!」
咲良 綾「自然分娩より帝王切開が楽なんて嘘だ。 なにより・・・」
咲良 綾「絶食、つらーーーい!!!」
〇幻想2
絶食が解けた後は天国でした。
クリスマスディナーは一生の思い出です。
窓口支払いを軽減する高額医療限度額認定証は、支払いを済ませた後に届きました
ゴッドハンドマザーに初執刀医…大変だったとは思いつつ笑ってしまいました!笑 誰もが大変な思いをして生んでくれたことを考えると、世の中のお母さん全員を称えたくなります^^
出産の話はどれも似たような話はなくて、唯一無二。面白いです。
おしるしからの入院は早かったですね。しかも、ピザもちゃんと食べたんですね。スゴイ!
この話を娘さんが読んでいるということをXで拝見して、エモさを感じています。
最後の食事の写真が美味しそうでほっこりしました。