End(脚本)
〇巨大なビル
ブラック・サンタ「ゲームだよ」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「ゲームだって!? それは一体・・・」
ブラック・サンタ「国は既にない」
ブラック・サンタ「この国は『株式会社』になった だから余剰人員は リストラ対象だ」
ブラック・サンタ「リストラ国民は ゲームの駒として殺し合う」
ブラック・サンタ「外国投資家への見せ物だ 「お・も・て・な・し」の心さ」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「クソゲーじゃないか!!」
ブラック・サンタ「裏工作した官僚たちは天下り 海外資本の財団の重役にね」
ブラック・サンタ「その財団の名は──」
ブラック・サンタ「『ブラック・クリスマス』」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「国を売ったのか!? 国民は消耗品か!?」
ブラック・サンタは首を傾げた
ブラック・サンタ「いつだってそうじゃないか?」
ブラック・サンタ「国民のために仕事をしたことなど 一度もない」
ブラック・サンタ「沈没する前に 外国投資家に高く買ってもらわないと」
ブラック・サンタ「劣化した国家では ダンピングするしかないがね アッ そうだ!」
ブラック・サンタ「もう『株式会社』だった」
ブラック・サンタ「なぜ教えたと思う? 君たちがゲームオーバーだからだ」
黒服1「ぐうう・・・」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「誰だ?」
カンフー・マスター「お前ら逃さないアル 私自身の 仇を討つヨロシ 今も ちょっと痛い」
マッド・ミックス「邪魔する奴らも皆殺し 「殺しの満漢全席」だ!!」
黒服2「愚民が」
人斬りイイゾウ「だから 仲間がいねえと思うなって!」
ブラック・サンタ「余計なことを・・・」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「計算外だったようだな」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「こいつがブラック・サンタだ 「殺しのプレゼント」をもらえるゾ!!」
カンフー・マスター「なに! ブラック・サンタ!? 一度に 沢山殺せる武器よこせ!!」
人斬りイイゾウ「もっと斬れる刀をよこせ」
ウルフ・ビジネスマン「ワオオオン」
人々が群がる
ホームレス「ホームレスにも殺せる武器を!」
安全第一男「安全第一で殺せる武器を!」
戦闘員「非力な戦闘員にも殺せる武器を!」
メイドNo.3「メイドにも殺せる武器を!」
妊婦「妊婦でも殺せる武器を!」
ばあさん「82歳でも殺せる武器を!」
「プレゼントしろ ブラック・サンタ」
ブラック・サンタ「ムムム 愚民どもが!!」
逃げ出すブラック・サンタ
〇新橋駅前
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「待て」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「逃さないよ」
ブラック・サンタ「君にクリスマス・プレゼントだ」
ブラック・サンタ「この男を殺せ 一緒に政府の仕事をやろう!」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「ふざけるな」
ブラック・サンタ「君は この国が嫌いじゃないのか?」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「大嫌いさ!」
ブラック・サンタ「気が合うな 俺もだよ!!」
〇荒廃した街
ブラック・サンタ「生まれた時から借金地獄 普通に働いてたら 結婚も子育ても不可能」
ブラック・サンタ「税金・保険料・奨誕金のローンで 一生が終わる 略奪しないと 生きていけない」
ブラック・サンタ「国が 犯罪者を生んでるんだ」
ブラック・サンタ「どうせ悪事をするなら 権力側につく方が利口さ」
〇新橋駅前
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「ここは未来なんだろう?」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「実は俺も 奨学金の借金が・・・ 何もかも嫌で 異世界自爆を」
ブラック・サンタ「本当に過去から? だったら お前らが この世界を作ったんだな!?」
ブラック・サンタ「どうして戦わなかった!? 未来にツケを残して──」
ブラック・サンタ「未来の若者が もっともっと苦しむと 思わなかったか?」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「そ それは・・・」
ブラック・サンタ「政治家も資本家も官僚も悪い だが なぜ諦めた? なぜ見過ごした?」
ブラック・サンタ「なぜ本気で立ち上がって 戦わなかったんだ」
ブラック・サンタ「未来に対して 申し訳ないと思わないか」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「・・・・・・」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「助かったよ」
カグラがマスクをめくると
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「翔琉 (かける)」
天野 翔琉 (あまの かける)「カグラ・・・やっと逢えた」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「どうして!? だって 屋上から・・・」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「カグラの・・・」
天野 翔琉 (あまの かける)「あれは 身代わりさ」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「どうして どうして」
天野 翔琉 (あまの かける)「言ったろ この国が 大嫌いなんだ」
天野 翔琉 (あまの かける)「飛び降りようとした時 男が居た 政府の人間だった」
天野 翔琉 (あまの かける)「そいつは ひとこと 「国に喰われるな 喰ってやれ」」
天野 翔琉 (あまの かける)「だから 喰う側になると決めたんだ 成功者になれば お前と暮らせる」
天野 翔琉 (あまの かける)「若者の貧困を 見て見ぬふり 少子化問題も 見て見ぬふり 結婚なんて 贅沢な夢・・・」
天野 翔琉 (あまの かける)「だから 喰う側になると決めたんだ」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「私と暮らす・・・結婚を?」
天野 翔琉 (あまの かける)「他には・・・何もいらなかった」
天野 翔琉 (あまの かける)「なのに・・・ 素顔も晒せないように なっちまった」
天野 翔琉 (あまの かける)「最悪のプレゼントを配って・・・」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「いいえ あなたは翔琉 (かける) きっと また翔べる!!」
天野 翔琉 (あまの かける)「最高のプレゼントだな──」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「メリークリスマス」
翔琉は 静かに目を閉じた
〇黒背景
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「これが未来!!」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「え? カグラ?」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「冗談は・・・」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「お前は 首相の息子なんだろう?」
オジサン「とぼけんな! どっかで見た顔だって 思ったんだ」
オジサン「『首相のバカ息子 ハレンチ豪遊』 ご立派な 大スクープだぜ!!」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「し 知らない 知らないよ!!!!」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)(俺が首相の息子? まさか 未来では そうなのか!?)
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「お前を誘拐する」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「ええ!?」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「さっきクソゲーって言ったね? このクソゲーをクリアするには お前を誘拐するしかない」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「テロは反対なんだろ? 自爆テロはダメって」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「国が卑劣なマネするなら こっちも対抗する!!」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「騙したな!? 最初から それが目的で俺に?」
オジサン「バカヤロウ 騙したのはてめえだろ!!」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「オジサンが言い出すまでは お前が息子とは 知らなかった」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「何かの間違いだ 首相の息子のわけないだろう!!」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「いいのかカグラ!? それでいいのか!!!!」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「狂った世界を正すには 自分が狂わないとダメなんだ」
〇SHIBUYA SKY
リポーター「深夜に速報です 首相の息子拉致事件が発生しました」
リポーター「犯人はブラック・クリスマスの 廃止を要求」
リポーター「運用ルールで 明け方までは 殺人罪に問われません」
リポーター「首相の息子といえど 今なら殺しても無罪です しかし朝日が昇れば──」
リポーター「犯人には重い罪が」
リポーター「「聖殺夜」の混乱を避け 議員や官僚の殆どは 海外に居ます」
カメラマン「てめーらだけ逃げやがって クソが」
リポーター「オホン!(咳払い)」
リポーター「首相の息子の命は? 「殺人パーティ」の日に 彼だけ 特例扱いになるのでしょうか?」
カメラマン「ズルばっかしてんなよ 何が首相だ!」
リポーター「オホォォン!!」
リポーター「ブラック・クリスマスの日に ブラック・クリスマスの廃止を 命を人質にして要求する 全てが ねじれた状況です」
リポーター「はいカメラ止めて── ちょっとアンタ 心の声出過ぎだから!」
リポーター「人手不足でなかったら 殺してるよ まだブラック・クリスマスなんだから!!」
カメラマン(すんません)
リポーター「そこは 声ださんのかーい」
〇海沿いの街
首相「ブラック・クリスマスを廃止してくれ!!」
モニターの向こう
官僚たちが 安全圏から語る
官僚「「増税」も「殺人パーティ」も 国民には 慣れてもらうしかない」
官僚「若者は 老人を憎み 老人は 若者を憎み」
官僚「独身者は 既婚者を憎み 既婚者は 独身者を憎む」
官僚「社会を分断して 互いに殺し合えば良い 外国投資家も楽しみにしてる」
首相「息子の命は!?」
官僚「ルール無視すれば 上級国民だけ特別扱いと 非難されますよ」
官僚「汚職・脱税・裏金・セクハラ・不倫 閣僚たちのスキャンダルを 我々が 幾つ握っていると?」
官僚「内閣潰しなど 造作もない それに──」
官僚「ご自身が 安全な海外リゾートに居て 息子だけは助けたい? それで殺人パーティを廃止?」
官僚「国民はどう思うかな?」
官僚「首相だから ご自由に 我々の顔色を 伺う必要はない」
「できるものならね」
膝から崩れ落ちる首相
落ちた眼鏡に ヒビが入る
〇SHIBUYA SKY
オジサン「カグラ 朝日が昇るぞ!」
オジサン「お前は 親にもトップの奴らにも 見捨てられたな!!」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「俺は首相の息子じゃない」
オジサン「朝日が登っちまえば殺人罪 殺すなら今だぜ!!」
オジサン「こんな時に 占いか?」
オジサン「殺すか殺さないか 答えは?」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「・・・・・・」
オジサン「キリスト?」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「『奇跡の・・・カード』」
オジサン「こいつのせいでサクラは死んだ お前の恋人も!」
オジサン「このクズを守って 恋人を斬ったんだろ? 全部こいつのせいじゃねえか」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「やめて」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「サクラも翔琉も 覚悟の上だった」
オジサン「甘ちょろい なら俺がやる 中年ナメんな!!」
琉惺の首を絞める
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「ぐぐぐ・・・」
オジサン「そらそら 得意の異世界転生しやがれ」
オジサン「ち 畜生 朝日が・・・」
リポーター「タイムアウトです 今からは 通常の1日」
リポーター「殺人罪は 極刑の可能性があります」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「罪なら 私が被る」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「カグラ」
激しい攻撃に後退る
中央に追い込まれ
駆けずり倒れこむ2人
〇屋上のヘリポート
足場の隅で見たものは
リポーター「物陰に隠れて出てきません」
カメラマン「殺人現場 殺人現場 うほほ~い」
リポーター(フン!! 来年はお前の死に様 自撮りさせてやる)
飛び出した2人
屋上から飛び降りる
オジサン「カグラ」
〇渋谷スクランブルスクエア
握っていたのは
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「今度こそ本物の手榴弾 サンタのプレゼント」
〇黒
〇原宿の通り
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「こ ここは?」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「あまり 景色変わってないけど?」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「でも 生きてる」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「未来を占ってみようか?」
通行人「メリークリスマス!」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「アンタ ここの消費税は?」
通行人「もちろん25%だ」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「クリスマスって言ったな まだブラック・クリスマスなのか?」
通行人「ブラ・・・何だ? ただのクリスマスだろ?」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「ヤッター 元の世界へ帰れた」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「1日だけの殺人パーティも無い」
通行人「1日だけの殺人パーティ 何だそりゃ? 兄ちゃん飲み過ぎだな」
東雲 琉惺(しののめ りゅうせい)「俺は生きる 消費税25%だって闘う 生きて生きて 生き抜くぞ」
通行人「その意気だ 明日からは大変だからな」
通行人「今日はクリスマス 今日だけは安息日 明日からは──」
通行人「毎日が殺人パーティだ」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「カードが・・・」
鬼切 カグラ(おにきり かぐら)「『死神のカード』」
通行人「今日がクリスマスで良かったな 明日なら──」
通行人「殺してるところだ」
そう言って 男は銃をしまった
通行人「今日を精一杯楽しめ」
通行人「メリークリスマス」
〇海沿いの街
首相の息子「親父 金金 金くれよ 女が孕んじゃってさ 堕ろす費用が──」
首相「無事か 無事なのか!!」
首相の息子「無事じゃねーよ 堕ろさねーと💦」
首相「堕ろせ堕ろせ お前以外の国民はリストラだ!」
首相「よかったろ? ワシに”聞く力”があって 何でも聞いてやるゾ!」
このディストピア作品メッセージ性が強いですね。最後の「聞く力」には笑いました!
現実でも物価高、増税は犯罪率を上げる意味もあるのかもしれませんね
政府の裏はポイントを押さえて的確に表現していますね~面白かったです
こんなラストになるとは……。ハッピーエンドじゃなくて(?)よかったです。最後彼が残虐なほうに覚醒して何かやらかすかと思いましたが、世の中は既にもっと残虐だったと……
えと、えと、予想の斜め上でした! 展開がほんと読めなかったです!!
現在はここまでではないけど、近い将来、絶対無いとは言えない、、のかな。。と。
ほんと勉強になりました! 皆さまには、どうかステキなクリスマスが訪れますように⸜(*ˊᗜˋ*)⸝