至極なふたりは本命を取り合う仲です

キリ

第五話(脚本)

至極なふたりは本命を取り合う仲です

キリ

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〇謁見の間
ヨル「はぁ...」
ヨル「寄りにも寄って、とんだ再会だな」
「殿下、よろしいでしょうか」
ヨル「えっ? !あ、ああ良い」
テグリス「おめでとうございます」
ヨル「は?」
ヨル「な、なんの祝いだ?」
テグリス「はあ...あの娘と、再会できたのでは?」
ヨル「娘?」
ヨル「ああ!レティのことか」
テグリス「・・・?」
テグリス「晴れて結ばれたのでしょう?」
テグリス「嬉しくないのですか?」
ヨル「え、何を言う」
ヨル「結ばれるも何も、何も無いぞ?」
テグリス「! ?」
テグリス「貴方は一体、どれだけ彼女を傷つける つもりなんです?」
ヨル「っ?」
テグリス「彼女が好きなのは殿下、貴方ですよ」
テグリス「ここまで言われないと、 分からないのですか?」
ヨル「違う!」
ヨル「俺は勘づいていたのだ」
ヨル「テグリスがレティを好いていることをな」
テグリス「っ!」
ヨル「だから二人がそうなれば良いと 俺は身を引ぃ・・・・・・」
テグリス「貴方は優しすぎます!」
テグリス「貴方は国と民を束ねる役割を持つお方」
テグリス「己の野心を殺してまで、 優しくなさらないでください!」
テグリス「貴方が欲しいものは、部下に渡さず ご自身で手に入れてください」
ヨル「・・・っ・・・お前は良いのか?」
テグリス「私は・・・」
テグリス「振られました・・・」
ヨル「え?え?な、なに?」
テグリス「それに、殿下より想う気持ちは浅いです」
ヨル「え、この写真!」
ヨル「てっきり捨てたと・・・」
テグリス「捨てられるはずがないものくらい 分かりますよ」
テグリス「なので、次は殿下がどうなさるか、です」
ヨル「・・・っ」
ヨル「くっ・・・・・・」
ヨル「ったく」
ヨル「レティには、礼をしなければな」
ヨル「覚えてるか?テグリス」
ヨル「私に対して、口数が少なかった頃」
ヨル「あんなお前が、こんなに変われたこと 私は嬉しく思う」
テグリス「・・・・・・っ」
テグリス「いいからお早く」
ヨル「ああ」
テグリス「・・・」
テグリス「はあ・・・」
テグリス「辛いものだ・・・」

〇古書店
レティシア「どうしよう・・・涙がっ・・・ 止まらない・・・」
レティシア「好きなの・・・っなのに・・・」
  泣き崩れていたレティシアを、
  後ろからそっと引き寄せて
  抱きしめたのは、ヨルだった
レティシア「っ・・・なんで?」
レティシア「なんで?分からないよ・・・」
レティシア「もう、貴方が分からない・・・」
ヨル「・・・・・・っ」
ヨル「私は、ヨル・ガンド」
ヨル「君の前では、素性を隠すべく、偽りの ドン・ウィルソンと名乗っていた」
ヨル「隠していてすまない、だから──」
ヨル「"ヨル"で構わない」
ヨル「レティ」
ヨル「ここで待っていてくれて、 待たせて、すまない・・・」
ヨル「けど、ありがとう」
レティシア「っ!」
レティシア「・・・・・・ヨル、様、だね?」
ヨル「ふふっ、呼び捨てで構わんというのに」
レティシア「呼び捨てなんてできないよ」
ヨル「・・・」
ヨル「・・・なあレティ」
レティシア「ん?」
ヨル「この前は冗談で、側室だと言ったが 冗談ではなく、本当にしてもいいか?」
レティシア「・・・っ」
レティシア「ふふっ、ええ」
レティシア「大変なのは十分承知だよ」
レティシア「国の王の、妃になります!」
レティシア「ああ!でも」
レティシア「ずっと城に置くのはやめて?」
レティシア「わたしはできれば、城のことが済んだら ここに戻ってきたいな」
レティシア「だめ?」
ヨル「だめだ」
レティシア「ええー」
ヨル「承諾したら、毎日図書館に通って 帰ってこなくなるだろ?」
ヨル「それとも、まーだ寝言のことを気にして 一緒に暮らしたくないのが本音か?」
レティシア「えええ!」
レティシア「そ、そんな昔のこと覚えてたの〜〜?」
レティシア「だからやっぱり暮らせないよ〜!」
ヨル「アハハ」
ヨル「案ずるな、別室にしてやるって」
ヨル「まあ、寝言のせいもあるが、 昼間は自身の職業として 働きに通う事を許そう」
ヨル「帰ってこいよ?」
レティシア「・・・わかったよ」
  こうして、忘れかけていた記憶を
  1枚の写真からつながりを持った
  国王とその妃の出会いの物語は
  はじまったのだ──
  fin.

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