エピソード1(脚本)
〇カラフルな宇宙空間
──人類は突如現れた魔獣によって滅亡の一歩を辿った。──
──だが人類は諦めず立ち上がる──
──世代を繋ぎ、魔獣との攻防はより激しさを増し、繋いだ炎は強く熱く燃え上がる─
〇森の中
──村はずれの森──
大和(また、逃げられた)
大和(昔はもっとうまく狩もできたのになぁ)
大和(このまま諦めて帰るかぁ)
大和(いや、ダメだ、今日も山菜だけだったらカリンがガッガリしてしまう)
〇森の中
──数時間後──
大和「だめだぁ〜」
大和「なんか、言い訳考えとかないとなぁ」
大和(まぁ、山菜はいつもよりたくさん取れたし問題ないだろ)
山菜がたくさん入ったバックを持ち、肩を落としながら村に向かう大和。
大和(でもやっぱり怒るだろうなぁ、カリン)
〇村の広場
──夕暮れの小さな集落ー
村の外れからは狼煙が上がっている
大和「今日も火を灯しているんのか?カリン」
カリン「おそーい大和、お腹減りすぎて死にそうだったよー」
大和「ごめん、ごめん」
カリン「まぁ、無事に帰ってきてくれただけで嬉しいよ」
カリン「で、今日の狩りの収穫は?」
大和「大量だ」
バックからキノコや山菜を笑顔で見せる大和。
カリン「う、、」
大和「そんなあから様に嫌な顔するなよなぁ」
カリン「大和も頑張って狩りをしたんだもんね。私、山菜好きだから、、」
大和(その心遣いが一番傷つくなぁ)
大和「今日も火を灯してるんだな」
カリン「うん、英雄様の篝火に火を灯し続けないと魔獣が村に入って来ちゃうからね」
大和「まぁ、それも本当かどうかわからないんだけどな」
カリン「でも、きっと今もどこかで魔獣と戦ってくれている人たちがいてこの火を見て助けてくれるよ」
大和「そうだね、きっとこの火が導いてくる信じよう」
カリン「それより私、お腹空いた〜早くおばあちゃんの家に戻ろ大和」
大和「そうだな、ばあさんもお腹空かせてるだろうし行こうか」
「うん、お腹すいたから大和も急いで〜」
天真爛漫に走るカリンとその後ろを追いかける大和
〇草原の一軒家
──村の最南端の家──
カリン「ただいま〜お腹すいた〜」
大和「カリン、そんなに走ると危ないぞ」
メテ「なんだい、騒がしいね」
メテに抱きつくカリン。
カリン「ねぇねぇ聞いてまた狩り失敗したんだって」
大和「そんな言い方するなよな、カリン」
メテ「しょうがないねぇ、今日も山菜料理作るかね」
カリン「私、おばあちゃんの山菜料理大好き」
大和「今日はたまたま狩りがうまくいかなかっただけで、、」
メテ「いつも、山菜しか取れてないじゃないか」
大和「そこはフォローしてくれよ、ばあさん」
メテ「さぁ、さあ、早く中に入った」
「うん、手洗ってくる〜」
メテ「あんたも食べてくだろ?」
大和「いや、俺は村の警護をしないといけないから」
メテ「遠慮する事ないよ、もしかしてまだあの事を引きずってるのかい?」
大和「すまない、、ばあさんまた今度お邪魔するよ」
メテ「おい、大和」
メテ「はぁ、、あいつは本当に」
カリン「あれ、大和も一緒にご飯食べないの?」
メテ「ほんと困ったもんだよ全く」
〇村の広場
大和「さてと、今夜も頑張りますか」
「おい、大和だろ」
村人A「この村に入って来てんじゃねえよ」
大和「すまない、すぐにこの村から離れる」
「もう許しておやり」
大和「ばぁさん」
村人A「なんだよ、村ハズレのババァが文句あんのか?」
メテ「文句は無いよ、ただもう過ぎたことだと言ってるんだよ」
村人A「過ぎたこと?あの日の事忘れたわけじゃ無いだろ?」
メテ「だから、私が言っているんだ」
村人A「・・・」
大和「いいんだ、ばぁさん」
大和「俺が悪いんだ」
村人A「逃げ足が早いのは相変わらずだな」
メテ「・・・」
〇村の広場
──数年前、人類は魔獣に対し無力だった──
大和(もう無理だ、どうすればいいんだ)
「おい、大和!!」
オリバ「何諦めた顔してんだ」
大和「オリバ!!」
大和「俺ら以外全員死んでしまったんだ、俺らにはもうできることは無い」
オリバ「いいかよく聞け、それでも俺らはアイツらと戦わないといけないんだ」
大和「そんなこと言ったって俺らに一体何ができるんだ」
オリバ「わからないけど俺らに残された道は戦うことだけだ」
「行くぞ大和!!」
「すまない、オリバ」
俺はオリバを置いて逃げ出した。自分の中の恐怖に勝つことができなかったんだ。
〇森の中
大和「すまない、オリバ」
「オギャーオギャー」
大和「子供の声?」
大和「どこだ?どこから声が聞こえるんだ?」
大和「この子は人間なのか?怪物か?」
俺は、罪滅ぼしだと思いその子供を抱えて村まで走った。
〇村の広場
大和「着いた」
メテ「大和!!無事だったのかい!!」
大和「メテさん」
メテ「息子のオリバはどこだい?」
大和「オリバは、多分」
俺は、事情を全て話した。メテはそんな俺を怒る事も無くただ泣きながら強く抱きしめた。
メテと俺に残されたのは赤い目をした子供だけだった。
〇森の中
大和(今日も村の周りに魔獣は来てないな)
大和(この数年間魔獣を観察してわかったことがある)
大和(その1魔物は、夜間になると動きが活発になる事)
大和(その2魔物に個体差があり、明確な脅威となる魔物の数は少ないという事)
大和(その3一定の魔物は火を恐れていると言う事)
大和(なぜだ?魔獣が近づけばすぐわかるのに)
揺れた茂みを警戒する大和
大和「なんでここにいるんだカリン?」
カリン「びっくりした?おばあちゃんに内緒で来ちゃった」
大和「森にはでちゃいけないって言っただろ」
カリン「なんでそんなに怒ってるの?夜中に抜け出したのは悪いと思うけど」
大和(まだ、周りの魔獣には気づかれてない)
カリン「大和、顔怖いよ」
大和「カリン、村に戻るぞ」
大和(もっと強く言えばよかった。村から出ないように)
カリンを引っ張り急いで村に戻る大和。
〇村の広場
大和「なんとか村まで逃げ切れた」
カリン「大和なんで怒ってるの?私わからないよ」
大和(遅かった)
大和「いいか、カリン驚かずに聞いて欲しい」
大和「君は人間ではなく魔物なんだ」
主人公は仲間や家族のために先陣を切って戦うものだという刷り込みがあるので、戦うことから逃げ出した大和の人間臭さは新鮮で興味深いものがありました。魔物でありながら人間社会に馴染んでいるカリンの運命がこの先どうなるのかも気になります。