シブヤ・リターンズ!(脚本)
〇渋谷駅前
かつて若者の街と言われた街
──渋谷
しかし、極端な少子高齢化に伴い
今の渋谷にはかつての活気はなかった──
〇モヤイ像
健二「久々に渋谷に来たが、 こんなに寂しい街だったか?」
沙羅「最近は若い子も少なくなってきたからね」
沙羅「各々が地元の小さなコミュニティに閉じこもってるのよ」
健二「それで、繁華街からは若者がきえたということか」
健二「昔は賑やかで楽しかったなぁ」
沙羅「・・・・・・」
沙羅「懐古してる時点で、私たちも大分おじさん、おばさんになったわね・・・」
二人「・・・・・・」
健二「もう一度、・・・かな?」
沙羅「えっ?」
健二「・・・もう一度、 この街に若者たちを集められないかな?」
〇公園通り
沙羅「若者を集めるっていったって・・・ どうしたらいいんだろう?」
丈治「あっ、沙羅さんちーっす」
沙羅「丈治くん、今日はシフト休みなの?」
丈治「そっすね、休みです で、面接の帰りなんすよ」
沙羅「お、就活? どうだった?」
丈治「うーん、悪くはないんですけど 手応えはないっすね」
沙羅「なんか煮え切らないわね・・・ 何か不安があるの?」
丈治「いや、ここ最近で一番楽しかった思い出を聞かれたんすけど」
丈治「「ガシャでUSRキャラ出た」って答えたら面接官に渋い顔されちゃって」
沙羅「それは・・・確かに・・・」
丈治「とはいえ、他に何も思いつかないんすよね」
丈治「結局、遊ぶっていってもゲームするかだべるかくらいしかないじゃないですか」
沙羅「え、そうなの?」
丈治「そうっすよ、みんなそんなもんです」
沙羅(これは・・・ 何かできるかもしれない・・・!)
丈治「沙羅さん?」
沙羅「あ、ごめんなさい 考え事しちゃって」
丈治「大丈夫っす じゃあ、俺こっちなんで」
沙羅「うん、じゃあまたね」
〇テーブル席
沙羅「渋谷でお祭りを開催します!」
健二「これはまた・・・ 大きく出たな・・・」
沙羅「今の若者は娯楽が少ないんだって!」
沙羅「だからみんなで楽しめるお祭りがあれば 渋谷に人が集まるわ!」
健二「なるほど・・・」
健二「で、具体的には何をやるんだ?」
沙羅「それを考えるために集まったんじゃない」
健二(要するに、ノープランってことか・・・)
健二「とりあえず、みんなが遊べるような何かがあればいいわけだな?」
沙羅「そうね、 例えばダーツとか、カラオケとか?」
健二「確かに、最近そういう店は大分減っているからな」
健二「昔そういうアミューズメントをやっていた知り合いに声をかけてみるよ」
沙羅「決まりね! あとは日程と場所をおさえないとね・・・」
健二「そっちはお前に任せたぞ」
沙羅「ええ、任せて 決まったらまた連絡するわ」
〇SHIBUYA109
健二「ついに来たな・・・」
沙羅「この日のために準備も宣伝もきっちりしてきたもの」
沙羅「成功させてみせるわ!」
健二「よし、 「シブヤ・リターンズ」の開催だ!」
〇SHIBUYA109
健二「これは・・・どうなんだろう?」
沙羅「半数くらい? いや、4分の1くらいかな・・・」
健二「ああ、そうだな・・・」
健二「楽しそうにしていたのは少数だった・・・」
沙羅「あ、丈治くん!」
丈治「あ、沙羅さん、どーも」
沙羅「丈治くんも来てくれてたんだ」
丈治「はい。 沙羅さんにも直接誘われましたからね」
沙羅「ありがとう・・・」
沙羅「あ、こっちは私の友達の健二さんね」
健二「こんにちは、丈治くん」
丈治「あ、こんにちは」
健二「丈治くんから見て、 今日のイベントはどうだった?」
丈治「えーと、そうですね 面白かった・・・と思います」
沙羅「歯切れがわるいわね、何かあったの?」
丈治「何かあった、というわけじゃないんですが・・・」
沙羅「大丈夫よ、私も健二さんも若者の正直な意見を聞きたいだけだから」
丈治「じゃあ、そうですね」
丈治「あくまで僕の感じ方かもしれませんが」
丈治「みなさんの「楽しい」を おしつけてるだけなんじゃないかなって」
健二「・・・・・・」
沙羅「・・・・・・」
丈治「あ、ごめんなさい ちょっと言葉選びが悪かったかもです」
健二「・・・いや、まさにその通りだ」
沙羅「・・・ええ、そうね」
健二「失敗だな・・・ 「シブヤ・リターンズ」は」
沙羅「1から10まで、 私たちのエゴになっていたわ」
健二「もう一度だ」
健二「次は、成功させてみせる・・・!!」
丈治「・・・楽しみにしてます」
沙羅「ええ、丈治くんもありがとう」
丈治「あ、あと最後に」
健二「?」
丈治「「シブヤ・リターンズ」って 名前がちょっとダサいと思います」
健二「・・・・・・考えておくよ」
〇テーブル席
健二「若者に人気のコスプレイヤー「へのへ」さんだ!」
へのへ「よろしくなんだナ」
沙羅「よろしくお願いします」
沙羅「それにしても、よくこんな有名人巻き込めましたね?」
健二「いや、実はな こいつの正体は・・・」
へのへ「おっと、それ以上はシャラップなんだナ!」
へのへ「とにかく、渋谷のイベントの相談ってことだったナ?」
沙羅「そうですね、私たちには若者の流行とかが全くわからないので」
へのへ「とりあえず、今の1番人気はこれだナ」
へのへ「このゲームをやってみるといいナ」
〇教室
健二「本日は貴重な時間をありがとうございます」
生徒会長「こちらこそ、ありがとうございます」
生徒会長「学園祭とのコラボレーションということで 私もやりがいがありそうで楽しみです」
〇SHIBUYA109
健二「ついに来たぞ・・・」
健二「今日は、 「シブヤ・リターンズVer2.0」だ!」
沙羅「結局その名前なのね・・・」
健二「みんなで楽しめるように、みんなで作り上げたイベントだ」
沙羅「ええ、こんどは成功するわ ・・・絶対に!」
〇渋谷の雑踏
へのへ「やー! 写真は押さずに順番になんだナ!」
生徒会長「演劇ー! 演劇やってまーす!」
〇渋谷駅前
健二「すごいな・・・想像以上だ」
沙羅「もうすぐ日が暮れるのに、 まだ人がたくさん・・・」
女子学生「あのダーツってのも楽しかったよねー」
女子学生「じゃあ、次はあのカラオケってのもいってみよーよ」
健二「・・・・・・よし!」
沙羅「みんな、楽しそうですね!」
丈治「あ、沙羅さん、健二さん!」
丈治「今日は楽しかったっす! 大成功ですね!」
健二「君のおかげだよ、ありがとう!」
いつか、かつては若者の街と言われた渋谷…なんて言葉が出てきてもおかしくないなと思いました。時代は移ろいやすいですものね。それにしてもへのへさんの正体がきになる。
将来的にあり得ない話ではないのかな…と思える作品でした🥲
今は若者の街でも、少子高齢化の影響でいつかそうなくなるのかなぁと思うと寂しくもなりますが、今回の物語では無事に成功して本当に良かったです✨
自分が若い頃に楽しかったことが今の若者にとって楽しいこととは限らないですもんね。これからどんな未来が待ってるのか…。楽しみだけど、自分の生きた時代が昔になっていくのも寂しいものだなあ。