お宝だ・か・ら

梵島藍

エピソード1(脚本)

お宝だ・か・ら

梵島藍

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〇豪華なベッドルーム
某一流企業会長「さてもう寝るとするか。それにしても今夜のオペラと三つ星レストランのフレンチディナーは素晴らしかった」
某一流企業会長(うんっ。人の気配か?。飯も食べてくるからお手伝いも帰して誰もいないはずなのに、、)
強盗「おい。物盗りだ。静かにしろ!言う通りにすれば命は助けてやる」
強盗「ただし、言う通りにしなきゃこれを使わせてせてもらうぜ」
某一流企業会長「どうやって入った?セキュリティも破ったのか、、」
強盗「フッフフ。悪いな。こちとら防犯事情もちゃんとリサーチして部屋のロックも警備会社への通知も解除済みだ」
強盗「そして悪いが勝手に動かれちゃ困るのでこれで縛らせてもらうぞ」
某一流企業会長「やれやれ。物盗りの常套手段だな。いいだろう。好きにするがいい」
強盗「往生際がいい。さすが一流企業の会長さんだ。ではついでにこちらの要求を聞いて貰おうか」
某一流企業会長「用意周到ならわしに要求なんぞしなくても勝手に見つけて持って行くがいい」
強盗「確かにあんたが最近、債券や株、ゴルフ会員権、貴金属類、持ってる不動産等々ほぼ全ての財産を売却したことも知ってるとも」
強盗「更に銀行口座も貸金庫も最近解約している。ってことはタンス預金よろしく全てこの屋敷に財産があることも」
強盗「そしてその財産はあそこに!ってことも」
某一流企業会長「そうか。そこまで調べてたとは立派なものだ。なら好きにして持って行くがいい」
強盗「おい。こんな重い金庫、好きになんか持ち運べるもんか!それに持ち帰っても開けるのも難儀だ。だから金庫の番号を教えて貰おう!」
某一流企業会長「断る!私が苦労して築きあげた財産を渡す位なら死んだ方がマシだ。さぁ殺せっ」
強盗「そうか。あんたは自分がどうなってもいいかもしれないけど、じゃあ、、」
強盗「あそこに飾ってある、今度結婚する孫娘の式には出なくていいのかい?」
某一流企業会長「あっ。そうだった。そんなことまで調べてたのか!」
強盗「だから言ったろ。徹底的にリサーチしてから盗みに入るのがオレの流儀なんだ。さぁどうする?可愛い孫娘の晴れの日だぞ」
某一流企業会長「・・・。仕方ない。可愛い孫の為だ。 金庫の番号、教えてやろう」
強盗「やっとその気になってくれたか、。それでこそ苦労して下調べをして、ここに押入った甲斐があったぜ!」
某一流企業会長「右8○64左○981右3412だ。でもワシ以外の者が金庫を開けると警察へすぐ通知されここへ来るぞ。これは解除不能の筈だ」
強盗「分かってる。サクッと頂くモノを頂いて、すぐに逃げる準備も出来てる」
強盗「おいっ!どういうことだ!中身は空っぽじゃないか!金はどこに隠した?」
某一流企業会長「隠してなんかない。見ての通りだ」
強盗「ふっ、ふざけたことを言うな!今日までずっと屋敷内を赤外線スコープで監視もしてたんだ!他になんか考えられるもんか!」
某一流企業会長「そう言われても仕方ない。確かに他になんかないんだから、」
強盗「・・・・・・。クソぅ」
某一流企業会長「おい。もう警察が来る。悪いことは言わん。引き上げた方がいいぞ」
強盗「おっ、覚えてろよ!畜生!」

〇高級一戸建て
警官「では、強盗はセキュリティを破ってこちらに押し入ったけど、結局何も盗らずに逃げたんですね」
某一流企業会長「はい。色々下調べして押し入った挙句、手ぶらで帰って行きました」
警官「そうですか。金庫まで開けたのに「お宝」を見つけず仕舞いでヤツにしてみれば骨折り損でしたね」
某一流企業会長「いやいや。実は「お宝」は見つけたのに置いていかざる得なかったんです」
警官(・・・?)
某一流企業会長「まぁ。ヤツも金庫が実は純金で出来てたことまでは調べられなかったんでしょうね」
某一流企業会長「そしてこの金庫は近いうちに施設に寄付しようと思ってたところです」
警官「・・・!!」
某一流企業会長「言わば金庫そのものが「お宝」だ・か・ら の顛末です!」
「はい。逃走中の強盗、検問にて確保ですね。了解です」

コメント

  • こんなに賢く優しく強盗につめよれる社長はさすがですね。だれも傷つかず、事なきを得た束の間の時間から何か学ぶべきものが多い気がしました。

  • こちらの作品もアイデアが秀逸でした。現場を見ていない読者も、書かれた情報をもとによく考えればお宝のありかが分かるフェアな仕掛けがいいですね。私は社長の入れ歯が純金製かダイヤモンドかと推理したけどハズレました〜。

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