お前がサンタを信じていないことを俺は知っている

風凛咏

お前がサンタさんを信じていないことを俺は知っている(脚本)

お前がサンタを信じていないことを俺は知っている

風凛咏

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〇部屋の前
ナナ「おやすみなさい、おにいちゃん!」
ケント「ナナ、おやすみ」

〇一人部屋
  俺には10個下の妹がいる
  これだけ年齢が離れていると喧嘩もなく、可愛い妹だ
ケント(今日はクリスマスイブ・・・ 気合い入れるぞ!)
  明日の俺の朝は早い
  いつもは夜更かししている俺も、今日ばかりは早めに布団に入った

〇一人部屋
  ピピピピピピッ!
ケント「・・・もうこんな時間か」
  時計を見るともう3時
  しかしまだ外は暗い
  昼ではなく、夜中の3時だ
ケント「さてと・・・」
  寒さに体を震わせながら、俺は布団から出る
ケント(流石にこの時間ならナナも寝てるだろ)
  抜き足、差し足、忍び足
  俺は妹の部屋に向かった

〇女の子の一人部屋
ナナ「むにゃむにゃ・・・ こんなにおっきいケーキ、食べられないよぉ」
ケント(・・・寝てる寝てる)
  俺は気持ち良く寝ている可愛い妹の寝顔をしばらく堪能する
  そして用意してあったプレゼントを枕元に置いた
ケント(・・・明日が楽しみだ)
  起こさないように、可愛い妹の頭を撫でる
  俺は自室に戻り、再び布団に潜った

〇一人部屋
「ひゃーーーーー!」
  そんな悲鳴によって俺は起こされる。
ケント(今日ばっかりはアラームいらないな・・・)
  毎年のことだ
  妹はプレゼントを見ると、嬉しい悲鳴を上げるため、俺はいつも起こされるのだ
  そして・・・
ナナ「おにいちゃんおにいちゃん! これ見て!」
ケント「んー? どうしたー?」
ナナ「サンタさんからのプレゼント!」
  無邪気に笑う妹の頭を俺は撫でた
ケント「よかったな ナナがいつも良い子にしてるからだな」
ナナ「えへへ・・・ 毎年ほしいものくれるから、サンタさん大好き!」
ケント「そっかそっか 来年も良い子にしてるんだぞ」
ナナ「うん!」
  そして俺は、もう一度妹の頭を撫でた

〇女の子の一人部屋
  ──毎年こうだけど、いいかげんわたしだって気付いている
ナナ(おにいちゃん、まだわたしのことこどもだと思ってるなぁ・・・)
ナナ(もう小学3年生だし、いつまでもわたしもこどもじゃないもん!)
ナナ(・・・でもおにいちゃん、うれしそうに笑ってくれるから、気付かないフリしといてあげる)
ナナ「ひゃーーーーー!」
  今年のわたしも、いつものようにうれしいひめいを上げていた

〇一人部屋
  ──妹も小学3年生
  いい加減サンタがいないことくらい知っている年齢だ
ケント(・・・でも、いつもわざとらしく喜んでくれるんだよな)
  妹はサンタがいないということを知っている
  ・・・ということを俺は知っている
  でも、妹は俺がそれに気が付いていることを知らない
  俺は、妹が俺のために知らないフリをしていることを知っているのだ
ナナ「おにいちゃん、来年もサンタさん来るかな?」
  そして妹のこのセリフは、俺に対して遠回しにプレゼントを要求しているということを知っていた
ケント「良い子にしていたら来ると思うよ」
ナナ「そっか じゃあわたし、来年も良い子にしてるね!」
  俺が頭を撫でると、妹は笑顔を見せる
  この笑顔が見たくて、俺は毎年気付かないフリをしてサンタさんをしているのだ

コメント

  • 年齢差がある妹ってそれだけでお兄さんからしたら可愛いですよね。お互いに相手の事を思っての気遣いもあり、仲がいいんだなということも伝わってきました。

  • お互いを思う気持ちが温かいクリスマスですね。
    お兄さんもわかっていてプレゼントを用意して、妹さんも喜びの声を上げて、なんだか楽しい二人だけのお約束なんですよね。
    すごくかわいいお話でした。

  • 可愛い兄弟愛ですね。クリスマスプレゼントにちなんだコミカルな駆け引きの様子が、読んでる人の心をくすぐります。兄がサンタを辞める日が出来るだけ遠くありますように!

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