サイレントナイト 静かな夜のサンタ強盗

HALPIN

サンタ×強盗(脚本)

サイレントナイト 静かな夜のサンタ強盗

HALPIN

今すぐ読む

サイレントナイト 静かな夜のサンタ強盗
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇パチンコ店
  ジャラジャラ
祐一「・・・」
  ジャラ・・・
  最後の玉がパチンコ台に吸い込まれた
祐一「くそっ!!」
  ガンッ!!
  俺が台を叩くと
  店員が血相を変えて走ってきた
店員「お客様、何かお困りですか?」
店員「台を叩かれているようでしたが・・・」
祐一「いえ、別に・・・」
祐一「すみませんでした」

〇イルミネーションのある通り
祐一「雪まで降り出しやがった・・・」
祐一「これから、どうすりゃいいんだ?」
  所持金は残り千円だけ
  浮かれたクリスマスムードの街並みが
  祐一をより苛立たせた
真菜「ねえ、お母さん!」
香里「なに?」
真菜「うちにも、サンタさん来てくれるかな?」
真菜「いい子にしてたし」
真菜「来てくれるよね!」
香里「そのためには・・・」
香里「今夜は夜更かしせずに寝なさいよ!」
真菜「うん!」
香里「なら、きっと来てくれるよ!」
真菜「やったー!」
祐一「・・・」
祐一「サンタクロースか・・・」
祐一「いけるかもな!!」

〇大きいデパート
祐一「ふう、千円でもギリギリ買えたな」
祐一「よいしょっと」
  ・・・
祐一(変装)「これでよし!」
祐一(変装)「今日なら、この格好でも怪しまれない」
祐一(変装)「泥棒には持ってこいの日だ!!」

〇閑静な住宅街
祐一(変装)「そろそろ、みんな寝静まるころだな」
祐一(変装)「どの家がいいかな?」

〇高級一戸建て
祐一(変装)「この家が良さそうだな!」
祐一(変装)「これを使って・・・」
  ガチャガチャ・・・
  カチッ
祐一(変装)「よし、開いた!」

〇男の子の一人部屋
  ギィー
祐一(変装)「ここは?」
祐一(変装)「子ども部屋か・・・」
祐一(変装)「やっぱり、この家は金持ちだな」
祐一(変装)「子どもに、こんな立派なパソコンを・・・」
  ガンッ!
祐一(変装)「痛てっ!!」
隼太「んんっ」
隼太「誰かいるの?」
隼太「えっ!」
隼太「サンタさんだ!!」
隼太「本当に来てくれたんだね」
祐一(変装)「そ、そうだよ・・・」
隼太「ありがとう!」
祐一(変装)「どういたしまして」
  男の子はキラキラした目で
  祐一を見つめている
祐一(変装)「そうか、プレゼントだね」
  祐一はあわててポケットを探った
祐一(変装)「さ、さあ、君にはこれをあげよう」
隼太「・・・」
祐一(変装)「・・・」
祐一(変装)「さすがに・・・」
祐一(変装)「缶ジュースについてたおまけじゃダメか」
祐一(変装)「ごめんね」
祐一(変装)「じつはサンタさん貧乏で」
祐一(変装)「こんなプレゼントじゃ嫌だよね・・・」
隼太「えっ」
隼太「ううん」
隼太「違うの!」
隼太「手紙にプレゼントはいらないって 書いちゃったから・・・」
隼太「もらえるって思ってなくて・・・」
隼太「すっごく嬉しい!!」
隼太「サンタさん、ありがとう!」
祐一(変装)「でも、どうして」
祐一(変装)「プレゼントはいらないなんて書いたの?」
隼太「お母さんが言ってたんだ」

〇シックなリビング
奈々子「サンタクロースはね」
奈々子「困っている人を助けるためにプレゼントを あげてるの」
奈々子「隼太は幸せに暮らしてるでしょ?」
隼太「うん・・・」

〇男の子の一人部屋
隼太「サンタさんはね」
隼太「本当に困ってる人にしか」
隼太「プレゼントをあげないんだって」
祐一(変装)「・・・」
隼太「僕は困ってないから・・・」
隼太「僕の所には来ないって」
隼太「だけど・・・」
隼太「僕はどうしても来てほしかったんだ」
隼太「サンタさんに会いたかったから・・・」
祐一(変装)「なるほど」
祐一(変装)「それで・・・」
隼太「うん!」
隼太「プレゼントはいらないから」
隼太「来てくれるだけでいいから」
隼太「会いに来てくださいって」
隼太「手紙に書いたの!」
祐一(変装)「そっか・・・」
隼太「あれっ?」
隼太「手紙読んでないの?」
祐一(変装)「あっ!!」
祐一(変装)「それはね」
祐一(変装)「サンタさんの秘書が読んでるんだよ」
祐一(変装)「一人じゃ読み切れないからね」
隼太「そっかぁ」
隼太「ヒショさんにもよろしくね!」
祐一(変装)「ああ、伝えておくよ」
祐一(変装)「それじゃあ、またね!」
隼太「うん!!」
隼太「来てくれてありがと、サンタさん!」

〇シックなリビング
祐一(変装)「まいったな・・・」
祐一(変装)「あんなに喜ばれちゃ、盗めないよな・・・」
祐一(変装)「サンタクロースが泥棒だったなんて」
祐一(変装)「悲しすぎるもんな・・・」
  ガサッ
祐一(変装)「誰だ?」
怪しい男「・・・」
怪しい男「えっ?」
怪しい男「サンタクロース・・・?」
祐一(変装)「お前、この家の人間じゃないな!」
怪しい男「ちっ・・・」
怪しい男「何だか知らないが」
怪しい男「俺の邪魔をするな!」
  男は包丁を取り出し、
  その切っ先を祐一にを向けた
祐一(変装)「やめろ!」
怪しい男「このっ!」
祐一(変装)「空手3段の俺をなめるなよ!」
祐一(変装)「でえぇぇい!」
  ドスッ
怪しい男「うぐぅ・・・」
怪しい男「くっ、くそ・・・」
祐一(変装)「・・・」
祐一(変装)「まさか」
祐一(変装)「泥棒に入った家を」
祐一(変装)「守ることになるなんて・・・」
祐一(変装)「間抜けすぎるだろ・・・」

〇住宅街の公園
祐一(変装)「・・・」
祐一(変装)「とりあえず、着替えるか・・・」
  ・・・
祐一「本当に・・・」
祐一「これから、どうすりゃいいんだ?」
祐一「こんな物、買うんじゃなかった・・・」
祐一「・・・」
祐一「あと十円じゃ」
祐一「何もできないよな・・・」
  シャンシャン
祐一「なんだ?」
祐一「鈴の音・・・?」
祐一「えっ!」
祐一「何だあれ?」

〇宇宙空間
  空から何かが近づいてくる
  シャンシャン
祐一「あれは?」
  シャンシャン

〇住宅街の公園
祐一「・・・」
トナカイ「・・・」
祐一「うわっ!!」
サンタクロース?「驚かせちゃって、すみません」
祐一「君は?」
サンタクロース?「見ての通り、サンタクロースですよ」
祐一「いや・・・」
祐一「サンタには見えないけど」
サンタクロース?「失礼な!」
サンタクロース?「僕は正真正銘のサンタさんです!」
サンタクロース?「ね、トナカイ!」
トナカイ「ぐるぅ!!」
祐一「そのサンタが何してるんだ?」
祐一「迷子か?」
サンタクロース?「信じてませんね!」
祐一「だってさ・・・」
サンタクロース?「・・・」
サンタクロース?「まぁ、いいです」
サンタクロース?「それよりも」
サンタクロース?「今日はプレゼントを届けにきたんです」
祐一「プレゼント?」
サンタクロース?「はい!」
祐一「でも・・・」
祐一「俺は良い人間じゃないし」
祐一「子どもでもないぞ」
サンタクロース?「良いことをしたじゃないですか!」
サンタクロース?「それに、人間なんて僕から見れば」
サンタクロース?「みんな子どもみたいなものですよ!」
祐一「・・・」
サンタクロース?「・・・」
サンタクロース?「いま・・・」
サンタクロース?「お前の方が子どもだって思ったでしょ?」
祐一「いや、別に・・・」
サンタクロース?「むぅ・・・」
サンタクロース?「いいですよーだ」
サンタクロース?「いつものことで慣れてますから」
サンタクロース?「それより」
サンタクロース?「はい、どうぞ」
サンタクロース?「クリスマスプレゼントです!!」
サンタクロース?「じゃあ、僕はまだまだ忙しいので」
サンタクロース?「もう行きます!」
サンタクロース?「来年も、あなたがいい子にしてたら」
サンタクロース?「来てあげるかもしれませんよ!」
トナカイ「ぐるぅ!!」

〇開けた交差点
祐一「プレゼントか・・・」
祐一「一体何が入ってるんだ?」
  祐一は街灯の下で包みを開いた
祐一「これは・・・」
祐一「航空券!?」
祐一「明日の便か・・・」
祐一「そういうことか」
祐一「・・・」
祐一「しょうがないな」
祐一「サンタクロースにも 背中を押してもらったんだし」
祐一「この年末は・・・」
祐一「久しぶりに 実家に帰ってみようかな・・・」
祐一「そんで、来年は一から出直そう!」
祐一「母さん、元気にしてるかなぁ?」

〇空
  シャンシャン
  シャンシャン・・・
祐一「メリークリスマス!」
祐一「ありがとな!」
祐一「ちっこいサンタさん!」

コメント

  • とても心温まるお話でした。
    最後に少年サンタさんからもらった航空券は実家への切符だったんでしょうか。
    どうしようもなくなっても、帰る家とサンタさんがいれば心強いですね。
    人生いつでもやり直しはききます!

  • ストーリーの前半は、ギャンブルで負け、生きる張り合いがなくなってしまうが、後半でサンタクロースが人生のやり直しのプレゼントですか。粋ですね。

  • 盗みに入るのにサンタの格好するの意味わかんなくて笑いました(一応子供に見られても大丈夫だから?)。
    クリスマスに盗みに入る行動力・技術と刃物を持った相手に向かっていける度胸があれば人生何とかなりそう。

コメントをもっと見る(6件)

成分キーワード

ページTOPへ