百鬼夜行

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百鬼夜行(脚本)

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〇古風な和室
片倉弥彦「ゴホンゴホン」
星野キヨ「弥彦お坊っちゃま 大丈夫ですか?」
片倉弥彦「大丈夫だよ ちょっとむせただけ」
片倉弥彦「キヨは大袈裟だなぁ」
星野キヨ「キヨは弥彦お坊っちゃまのお世話を 仰せつかっているのですから」
星野キヨ「もし坊っちゃまに何かあったら キヨは・・・キヨは・・・」
片倉弥彦「わかったよキヨ」
片倉弥彦「いつも心配掛けてごめんね ぼくの体が弱いばっかりに」
星野キヨ「坊っちゃま・・・」
片倉弥彦「ちょっと疲れたから寝るよ」
星野キヨ「はい・・・」

〇古風な和室
  きゃははは
  きゃははは
片倉弥彦(あ、近所の子どもたちの声だ ぼくもあんな風に走り回りたいな・・・)
座敷わらし「ねーねー」
片倉弥彦「誰だ!お前!」
座敷わらし「名前なんかとうの昔に忘れちまったよ でも、みんなはあたいのことを 座敷わらしと呼ぶけどね」
片倉弥彦「座敷・・・わらし・・・」
座敷わらし「なーなー 弥彦、この握り飯、食うてもいいか?」
片倉弥彦「あ・・・う、うん」
座敷わらし「ありがとう! うん、うんまい!」
座敷わらし「握り飯の礼に弥彦を外に連れてってやる」
片倉弥彦「え?」
座敷わらし「さっき外を走り回りたいと ゆうておったろ?」
片倉弥彦「で、でも・・・」
座敷わらし「つべこべ言わずについてこい!」

〇山中の川
座敷わらし「さあ、着いたぞ」
片倉弥彦「ここは?」
座敷わらし「よお、河童?」
河童「あ、人の子か?」
河童「食っていいか?」
座敷わらし「ダメ!」
座敷わらし「あ~泣かしおった」
河童「ごめん、冗談だから 俺、主食サカナだし」
座敷わらし「と、言うわけで 仲良くしてね🎵」
河童「坊主、一緒に泳ごうぜ✨」
片倉弥彦「いや、ぼくは、その、 およ・・・」

〇水中
  ザブン
  ぼくは
  泳げ・・・ない・・・
半魚人「坊主、ワシにつかまるんじゃ」
  うっ・・・

〇山中の川
座敷わらし「弥彦、しっかりしろ 大丈夫か?」
片倉弥彦「ゲホゲホ」
座敷わらし「河童! このバカ!」
河童「す、す、す すまん💦」
片倉弥彦「ははは・・・ でも初めて川に入ったよ」
片倉弥彦「今度、泳ぎ方教えてよ」
河童「おうよ! 得意分野だ」
  あははははは

〇古風な和室
星野キヨ「坊っちゃま 弥彦坊っちゃま!」
片倉弥彦(ん?)
星野キヨ「どうしたんですか? 熱でもあるんですか? 汗でびっしょりですよ」
片倉弥彦「違うよ、キヨ 川で泳いできたんだ」
片倉弥彦「あ、正確には 落ちただけど・・・」
星野キヨ「坊っちゃんたら、 一体何を言ってるんですか? きっと悪い夢でも見ていたんですね」
片倉弥彦(えっ? あれは・・・ 夢だったのかな?)

〇風流な庭園
座敷わらし「弥彦、遊ぼう!」
  次の日も 次の日も 次の日も
  座敷わらしは遊びに来て
  ぼくを外に連れ出した
  ぼくは妖怪たちと遊ぶのが
  楽しくて 楽しくて
  仕方なかったんだ

〇古風な和室
星野キヨ「先生、坊っちゃまの容態は?」
主治医「原因はわかりませんが かなり弱られておりますな・・・」
星野キヨ「そ、そんな・・・」
星野キヨ「弥彦坊っちゃま どうして・・・」

〇古風な和室
  ある日の夜
  ガタン
星野キヨ(ぼっちゃまの部屋からだわ 一体何の音かしら?)
星野キヨ「あっ!」

〇古風な和室
星野キヨ「ひ、人魂?」
星野キヨ「はっ! 坊っちゃま、弥彦坊っちゃま!」
  坊っちゃまは穏やかな笑みを浮かべて
  亡くなられておりました

〇古風な和室(小物無し)
  あの百鬼夜行の夜以来
  このお屋敷では
  男の子と女の子の座敷わらしが
  目撃されるようになり
  屋敷は代々栄えたとのことです

〇屋敷の門
  うふふふふ
  きゃははは
  そして私は見たのでございます
  屋敷の外を
  妖怪たちと一緒に練り歩く
  弥彦坊っちゃまの姿を・・・
  それはそれは
  楽しそうな笑みを浮かべて

コメント

  • 幼い弥彦の死を悟った優しい座敷わらしだったんだなあと思いました。肉体は途絶えてしまったけど、彼の魂がいつまでも楽しく彷徨い続けているのでしょうね。

  • 妖怪は忌み嫌われがちな存在ではありますが、彼らは意外と人間との共存を厭わないしユーモラスな側面もあるんですよね。弥彦と妖怪の間で仲介役となる座敷わらしの無邪気な雰囲気が、弥彦の死という切なさと妖怪世界の不気味さを中和して、物語に独特の味わいをもたらしていました。

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