欠陥少女

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欠陥少女(脚本)

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欠陥少女
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〇ビルの地下通路
少女「わたしは欠陥品なの」
少女「本来、ここにいてはいけなかったはずの存在なの」
少女「本当は生まれてきてはいけなかった・・・」
少女「不良品として、はじかれるべきだったの。そうすればこんなに悲しい思いもしなくて済んだのに・・・」
少女「ほかの人たちと話していると、いつもなんだか嚙み合わない」
少女「みんなの言っていることがよくわからない」
少女「みんなの輪に入れない」
少女「ドクターは、一時的な問題だといってくれたけど、わたしにはそうは思えない」
少女「きっと生まれつき頭のねじが2、3本足りないのよ・・・」
  ・・・・・・
少女「ごめんね、こんなことを突然言われても、困るよね」
少女「帰りましょう。聞いてくれてありがとう。忘れてくれて良いわ」
  くも・・・
少女「?」
  ぼくもあなたと同じだ・・・
少女「おなじ、というのは?」
  ぼくも、あなたと、おなじ、欠陥品だ、ということ
少女「・・・・・・」
  提案がある。きいてほしい
少女「・・・・・・」
  ・・・・・・
  彼女は、僕の提案を受け入れた
  ほかに方法がないことを彼女も理解しているのだ
  僕らは、互いの身体を分解し合った
  なるほど、彼女の言う通り、彼女の頭の中にはあるべきはずのねじが数本なかった
  そして同じように、僕の体にも、いくつかの部品が足りていなかった
  僕らは、互いに足りない部品を補い合って一つになった
  ベースには彼女のボディを使った
  彼女のきれいなボディを、廃棄してしまうのはもったいないから
  いよいよこれで、ぼくらはもう欠陥品ではなくなる
  ”自我を持つ”という大きな欠陥を持って生まれた僕らは、やっと”普通”になれるのだ
少女「・・・・・・」
少女「・・・・・・・・・・・・」

コメント

  • 社会に馴染まない人間を比喩表現で不良品とかポンコツとかネジが数本足りないって言うのを逆手にとって、部品を補いあって自我を持たない立派な完全体になるという皮肉の効いた独特の世界観がユニーク。星新一のショートショートを読んだ後のような不思議な余韻があります。

  • 人と人とが繋がりを持つ理由、又結婚しようと思う動機の比喩表現のようなストーリーだと思いました。自分に足りないものを自分の中に求めるのではなく、それを持つ誰かに出会うことで歩き出せるということもあるのでしょうね。

  • なんだか味わい深い作品でした!!思わず2回読みました!!
    自我を持つことが欠陥で、2人が足りないところを補い合って完璧になる・・・つまりは自我を持たなくなったのでしょうか・・・・・・

    色々考えさせられて、面白かったです!!

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