怖かった女(脚本)
〇住宅街
タッ、タッ、タッ
ほのみ「・・・」
タッタッタッタッ!
ほのみ「・・・・・・っ」
ほのみ「はぁ・・・はぁ・・・」
あずま(はぁ・・・今日も残業 長引いちゃったなぁ)
ほのみ「あずまくんっ!」
あずま「わっ!?」
あずま「ほのみさんじゃないか。 びっくりした」
ほのみ「ごっめーん、あずまくん! ちょっと怖いことがあってー」
あずま「怖いこと? って、ヘンタイでもでた?」
ほのみ「うん、ストーカー・・・だと思う」
あずま「まじで!?」
ほのみ「だって、後つけてたもん・・・」
あずま「そっか、それは怖かったね」
あずま「俺でよければ家まで送るよ」
ほのみ「いいの!? うれしーい!」
あずま「あぁ。それに、ストーカーなら まだつけてきてるかもしれないしね」
ほのみ「うーん、ついてこれないように したからだいじょぶだと思うけど」
あずま「まいてきたってこと? でもさ、もしも、ってこともあるから 気をつけておいたほうがいいよ」
あずま「ほのみさんの家ってどっち? まっすぐ?」
ほのみ「うん! 大きい交差点まで、まっすぐ。 後は右に曲がって、少し行ったマンション」
あずま「じゃあ、俺の家のすぐ近くだ! 知らなかったなぁ ほのみさんが近くに住んでるなんて」
ほのみ「最近引っ越したばっかりだからねー 知らなくて当然だよ」
ヒタ、・・・ヒタ・・・
「っ!」
ほのみ「そんな・・・まさか・・・」
あずま「ごめん、立ち止まってたりしたから! 走ろう!!」
ほのみ「うんっ!」
・・・けて、・・・まく・・・
あずま(・・・なんか、呼ばれたような・・・)
ほのみ「ありがと、あずまくん。 ここでもうだいじょうぶだよ」
あずま「え? でも・・・」
ほのみ「あとはエントランス入るだけだし、ね?」
あずま「わかったよ。 でも、警察には連絡いれるんだよ?」
ほのみ「うん、相談しておく! じゃあ、またね!」
あずま「なにかあったら、俺にも相談してよ! じゃあ、また!」
ほのみ「またね~」
ほのみ「・・・・・・」
ほのみ「・・・」
ほのみ「・・・もう せっかくのあずまくんとの 帰り道が走って終わっちゃった」
ほのみ「引っ越していっしょに帰れる 口実まで作った 大事な初めての日だったのに」
ほのみ「それもこれも・・・」
ほのみ「あの女のせい」
ほのみ「わたしに許可なくあずまくんのこと つけまわした挙げ句 親しげに声かけていっしょに帰って」
ほのみ「引っ越しが終わるまで わたしは会社でしか 声かけられなかったのに」
ほのみ「やっといっしょに帰れる今日になって わたしの目の前塞いで」
ほのみ「ストーカーやめろとか わけわかんないこといってきて あずまくんの彼女面して」
ほのみ「野放しにしたら、ぜったい あずまくん盗る気まんまんだった 怖い女・・・」
ほのみ「だから、もう二度と あずまくんに関われないように してやったのに・・・」
ほのみ「まだ生きてて わたしとあずまくんの帰り道 邪魔するなんてどこまでも怖い・・・」
ほのみ「早く、トドメさしに戻らなきゃ」
ほのみ「あの女を過去にしないと、ね」
うわー、じわじわきますね……
純粋な被害者たるほのみさん、そういう視点で物語を見ていたのですが、彼女自体が、、、んー恐ろしや
ほのみがあずまくんの近所に引っ越してきたばかり、と言ったあたりで怪しいな、と思ったらやっぱりそうでしたか。「あの女を過去にしなきゃ」というセリフが鳥肌!女性の執念ほど怖いものはありませんね。