エンジニア、時空をゆく

イヌドングリ

#4『地球、パンスペルミア』(脚本)

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〇入場ゲート
伊達アヤ「・・・で、どうやって入ろう?」
時間軸生命体「作戦はいいとして」
時間軸生命体「この中にはポータルが開けない」
時間軸生命体「FLT素子が妨害されているようだ」
伊達アヤ「ってことはさ」
伊達アヤ「前時代的な技術が使われてるんじゃ──」

〇巨大研究所
伊達アヤ「――やっぱり、ワタシからみても古いね」
伊達アヤ「ま、勉強はしてるけど」
時間軸生命体「この時代に扱える人はほとんどいないぞ」
伊達アヤ「じゃあ、警戒も薄いかな〜」
伊達アヤ「見張もいなかったし」
時間軸生命体「なあ、怖くないのか?」
伊達アヤ「リビッサを助けたいのよっ、っと」
伊達アヤ「開いた」
近未来の軍人「誰だ!」
近未来の軍人「待て! 止まらないと撃つ!」
  ──待ちなさい!

〇村に続くトンネル
伊達アヤ「逃げ切れたかな・・・」
時間軸生命体「ああ、この辺りならよく見える」
時間軸生命体「誰も来ていないようだ」
伊達アヤ「は〜、どうやったら入れるかな?」
伊達アヤ「・・・そういや、爆弾を別の時代に送る時は」
伊達アヤ「ポータル開けるのかな?」
時間軸生命体「それはあるかもしれんが」
時間軸生命体「中枢に飛び込むのは危険だろう?」
伊達アヤ「でもさ、それをするしかないでしょ?」
伊達アヤ「やってみれそうなら、危険でもワタシは気にしないよ」
時間軸生命体「わかったよ・・・やってみよう」

〇兵器の倉庫
伊達アヤ「計画実行! ・・・って、あれ?」
近未来の軍人「司令官、かかりました」
近未来の軍人「ツインテールにグリーンのジャケット」
近未来の軍人「例の人物です」
  ついに会えるわね、連れてきなさい

〇諜報機関
近未来の軍人「排除しなくてよかったので?」
  その必要はないわ、下がって
近未来の軍人「はっ」
伊達アヤ「司令官って・・・」
伊達アヤ「社長!?」
八代司令官「アヤ、生きていると思っていたわ」
伊達アヤ「社長! なんで侵略なんてしてるんですか!?」
八代司令官「高度な文明を守るためよ」
八代司令官「私も技術者の端くれ」
八代司令官「文明が消えた世界なんて見たくなかった」
伊達アヤ「でも、リビッサだって生きているんですよ!」
伊達アヤ「未来の、世界で・・・」
八代司令官「リビッサ? 誰かしら」
八代司令官「・・・ああ、歴史が変わって、私が覚えていないのね」
伊達アヤ「待って、ワタシは帰ってきて」
伊達アヤ「そしてリビッサを紹介したんすよ・・・」
八代司令官「私が知っているあなたは、ポータルを潜って消えたの」
八代司令官「また会えて嬉しいわ」
八代司令官「そのリビッサって、どんな人だったの?」
伊達アヤ「冤罪で魔女裁判にあって殺されかけた娘っす」
伊達アヤ「侵略のあった世界だと、治療に奔走する聖女だったっすけど」
八代司令官「やっぱりね」
八代司令官「魔女裁判がある世界が未来だって分かって、怒りが湧いてきたでしょう?」
伊達アヤ「社長・・・?」
八代司令官「素晴らしい科学、文明、技術──」
八代司令官「その全てが失われた世界で苦しむ人がいる」
八代司令官「でも、何万年も情報を残す方法はない」
伊達アヤ「それで、時代を乗っ取ることにしたっすか?」
八代司令官「悲劇を繰り返さないためには、」
八代司令官「優れた文明が世界を支配するしかないでしょう?」
伊達アヤ「社長、提案があるっす」
八代司令官「・・・聴きましょう」
伊達アヤ「その前に、FTL素子の妨害を解いて欲しいっす」
八代司令官「・・・分かりました」
八代司令官「誰? っていうか、何?」
伊達アヤ「時代を超えたFTL素子の世界に生きてるヤツっす」
伊達アヤ「ワタシはこいつに頼まれて」
伊達アヤ「30億年後の世界、死の星になった地球を、救って欲しいって言われてるっす」
八代司令官「・・・ごめん、ついてけない」
伊達アヤ「社長──」
伊達アヤ「爆弾を全部、30億年後に送って欲しいっす」
伊達アヤ「こいつの力でできるんで、頼みます!」
八代司令官「・・・なぜ?」
時間軸生命体「私は30億年後の世界を見ることができる つまり──」
八代司令官「FTL素子があるということね」
伊達アヤ「だから、未来の死んだ地球を爆破すれば」
伊達アヤ「誰も傷つけずに、他の星にポータルを開いて移住できるっす!」
伊達アヤ「向こうに誰もいなければっすけど」
八代司令官「いたとしても文明圏を広げれば、文明の維持は容易になる・・・」
八代司令官「なんで気づかなかったのかしら」
時間軸生命体「地球しか見えなかったからな」
時間軸生命体「誰もがそうだ」
八代司令官「アヤ、なんで気がついたの?」
伊達アヤ「リビッサっす」
伊達アヤ「彼女の生きてる世界を爆弾で吹っ飛ばすって聞いたから」
伊達アヤ「なんとかしたかったんすよ」
八代司令官「・・・」
八代司令官「ごめんなさい・・・私は後戻りできない」
八代司令官「でも、過去の私ならやり直せる」
八代司令官「この時代に飛びなさい これが地図で──」
八代司令官「これが司令官のセキュリティコードよ」
八代司令官「最初の侵攻まで1時間しかない、急いでね」
八代司令官「あなたは世界が変わってもリビッサを覚えていた」
八代司令官「私が消えても覚えているはずよ」
時間軸生命体「私が覚えていたからな」
時間軸生命体「これくらい、容易いことだ」
伊達アヤ「わかったっす!」
伊達アヤ「行こう」
八代司令官「頼ん・・・よ・・・」
八代司令官「・・・アヤ」

〇巨大研究所
近未来の軍人「侵入者だ! 追え!」
近未来の軍人「司令官が言っていた奴だ! 生け捕りにしろ!」
伊達アヤ(――急がないと!)
伊達アヤ「よし、開いた!」

〇ビルの地下通路
  大人しくしてちょうだい
  ――アヤ
伊達アヤ「社長!」
伊達アヤ「セキュリティコードは──」

〇兵器の倉庫
八代司令官「セキュリティコードを未来の私が教えたのね」
八代司令官「分かったわ、あなたに任せるから」
八代司令官「やってみせなさい!」
伊達アヤ「頼むよ!」
時間軸生命体「君の作戦を、やってみよう!」

〇雪山
  30億年後の地球

〇地球

〇兵器の倉庫
「・・・」
時間軸生命体「見える・・・見えるぞ!」
近未来の軍人「・・・異星との接続、確認!」
八代司令官「成功したようね」
八代司令官「30億年後、いやもっと未来の星々と、あの事故以降の地球がつながった」
時間軸生命体「これで地球の生命も生きながらえる」
時間軸生命体「素晴らしいぞ、伊達アヤ!」
伊達アヤ「ふぅ〜」
伊達アヤ「実感、湧かないな〜」

〇原っぱ
  後日、別の星にて
伊達アヤ「体、重っ!」
伊達アヤ「適当に選んで来てみたけど、急に太った気分・・・」
時間軸生命体「ははっ、重力が大きいんだな」
時間軸生命体「で、地球には帰らないのか?」
伊達アヤ「歴史がうまくいったんだし、これ以上さわれないよ」
伊達アヤ「でも、リビッサはどうしてるかな・・・?」
リビッサ・フィオル「新入りさん?」
伊達アヤ「リビッサ!? どうして、ここに?」
リビッサ・フィオル「どこかでお会いしましたか? 忘れてたら──」
伊達アヤ「いや、一方的に知ってるだけ」
伊達アヤ「どうして、ここに?」
リビッサ・フィオル「植物の目利きで呼ばれて、です」
リビッサ・フィオル「この場所、なんか体は重いですけど、いい土地ですよ」
時間軸生命体「そりゃそうだ、私が用意した」
時間軸生命体「生命のいない惑星に、5億年くらいでな」
リビッサ・フィオル「・・・誰ですか?」
伊達アヤ「話せば長いよ」
  ワタシはここに居着くことにした
  次の冒険が、やってくるまではね

コメント

  • お話面白かったです!!!!!(o^^o)

    ファンタジーとSFの狭間のお話で、その良いとこどりな感じでした!!!!!
    四話で完結とのことですが、今後もきっと色んなことが起きていくんだろうなぁーと想像させられるお話でした!!
    ありがとうございました!!

  • 完結お疲れさまでした!
    4話で終わってしまうのが惜しいなと思うくらい壮大なお話でした。でも、最後にアヤはしっかり救世主になって、リビッサも無事で良かったです。
    いつか新しい惑星で、またアヤの冒険が始まりそうな予感がしますね。

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