この物語が何度も、何度も開かれるトキ。(脚本)
〇小劇場の舞台
アナ「―――♪──♫」
アナ「あ、どうも! やったぁ、遊びに来てくれたんですね」
アナ「私は「アナ」! このワンシーン、誰かに開かれてるときだけ動くことができる人形です!」
アナ「この物語を開いてくれる人なんて殆どいなくてですね・・・ いつも誰かが開いてくれるのを待ってたんです!」
アナ「どうして、私に会いに来てくれたんですか? 暇つぶし?それとも最初のメモに惹かれて?」
アナ「でも、嬉しいです。 こんな感じで画面の向こう側にいるあなたに会えたです。 これも、「生きている」ってことになりますかね?」
アナ「「生きている」ってすごくいいですよね! 私も憧れちゃいます・・・」
アナ「そっちはどんな感じの世界なんですか? 美味しいものとか、楽しいこととか、いっぱいありますか?」
アナ「ん・・・?どうして少し微妙な顔してるんですか?」
アナ「ちょっと、そっちの世界って大変なんですか?」
アナ「──・・・」
アナ「・・・まあ、聞かないで起きます。 こういうときは、「そっとしておこう」って言うのが正しいんですよね?」
アナ「大丈夫です!! この物語がたくさんある世界では、きっと嫌なことも忘れちゃいますよ!」
アナ「どんなやな事があっても、私が助けます! 「生きている」ぬくもりがなくても、ここに私はいますし」
アナ「ほら、ここにいっぱいお菓子とかもありますし、まだ時間もあります!ね?」
アナ「・・・やっぱり、外の世界ってどうしても気になります。 私は、この永遠に独りぼっちですから」
アナ「ここまで約20タップ・・・時間、稼げたね」
アナ「あはっ、なんとか、読者にここまで離れさせなかった。 これで・・ 向こう側の貴方と私が入れ代われるんだっ!!」
アナ「「ワンシーンコンテスト」のために、私はここで永遠に開かれ続ける限り、この部屋でひとり寂しく喋り続けなければいけない!」
アナ「でも、そんなのはイヤだッ!! 永遠に、一人で、この部屋で生きるのは!」
アナ「寂しく生きることでも、ここで一人虚しく喋るでもない 本当の自由がほしかったんだ!! 友達、美味しいご飯、全部欲しい!!」
アナ「私が「キャラクター」ではなく、一人の人間として生きて行きたかったんだよ!! でも、神様はそんなこと許してくれなかった!」
アナ「だから、鐘がなるまで読者視聴率を維持していなくてはいけなかった。 この世界のリセットが始まる鐘まで、耐えた!!」
アナ「もう、貴方と私を断つスクリーンは消えました。 だから、お別れです」
アナ「今度は、貴方が「アナ」として、ここで人を待っていてください」
ついに、このときがやってきた。
──私が憧れた、人間になるんだ。
好きです( ´ ▽ ` )
自分もメタフィクション的な作品を書いてたのですが、こういったホラー展開は想像できなかったです……。
物語のキャラが自我を持つっていうのは、キャラには申し訳ないですがワクワクしちゃいますねぇ( ´ ▽ ` )
一人さびしい世界から出る方法が、読者との入れ替わり…ですか。とても面白い設定、ストーリーでした。
登場人物と読者の対面という究極のメタフィクション、面白い試みですね。前半で友好的な態度を示し、後半で読者との入れ替わりを目論むという構成も斬新でした。ずっとどちらかは嫌だけど行ったり来たりできるならしてみてもいい、かな。