食パンを咥えて走る女

星月 光

運命の日(脚本)

食パンを咥えて走る女

星月 光

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〇通学路
  春――
  それは出会いと別れの季節
「深雪ちゃん、おはよー!」
三澄 深雪「咲花! また寝坊・・・」
三澄 深雪「なんでパン咥えてんの?」
早乙女 咲花「もごもご」
三澄 深雪「いったんパン食うのやめろ」
三澄 深雪「で、なんでパン咥えてたの?」
早乙女 咲花「6枚切りのが好きだけど 咥えながら走るなら8枚切りだよね」
三澄 深雪「パンの厚さは聞いてねーよ」
早乙女 咲花「遅刻しそうになった主人公が トースト食べながらダッシュして」
早乙女 咲花「曲がり角で男の子とぶつかるってやつ よくあるじゃん」
三澄 深雪「よくあるか?」
早乙女 咲花「で、その男の子が実は転校生なの」
早乙女 咲花「4月は野生の転校生が増えるから ちょっとやってみたくて」
三澄 深雪「野生の転校生ってなに?」
早乙女 咲花「どうせならカッコイイ男の子がいいなあ」
早乙女 咲花「ちょっとクールで影があって でもほんとはさみしがり屋さんで」
早乙女 咲花「あたしにだけ笑いかけてくれたら もう・・・キャー!」
三澄 深雪「なに言ってんだ?」
早乙女 咲花「・・・あ!」
早乙女 咲花「野生の転校生発見!」
早乙女 咲花「とつげーき!」
三澄 深雪「野生の転校生ってなんなの!?」
早乙女 咲花「いっけな~い! 遅刻遅刻!」
転校生A「あ!」
早乙女 咲花「ごめんなさい!」
転校生A「あわわ・・・」
「すみませんっ! お金持ってないです~!」
三澄 深雪「ヤンキーと思われたんじゃないの」
三澄 深雪「髪の毛ピンクだし」
早乙女 咲花「これは地毛!」
早乙女 咲花「ま、いいや 他にも野生の転校生はいるし」
三澄 深雪「いや野生の転校生ってなに?」
早乙女 咲花「レッツゴー!」
  出会いを求める2人は
  その後も野生の転校生を探し続けた
三澄 深雪「わたしは求めてねーよ」
早乙女 咲花「あーもう! 全然見つかんない!」
早乙女 咲花「前はいっぱいいたのに 乱獲されちゃったのかなあ」
三澄 深雪「ウナギかなにか?」
早乙女 咲花「あっ」
早乙女 咲花「よーし、今度こそ!」
「いっけな~い! 遅刻遅刻!」
三澄 深雪「なんだこのBGM!?」
「いたた・・・」
転校生B「だいじょうぶ!?」
転校生B「ごめん、よく見てなくて」
他校の女子「いえ、こちらこそ」
「・・・・・・」
三澄 深雪(なんか始まっちゃったよ)
早乙女 咲花「あーあ、出遅れちゃった」
早乙女 咲花「あの男の子と女の子・・・ 同じ学校になるんだろうな」
早乙女 咲花「いいなーいいなー 青春だなー」
早乙女 咲花「あの男の子 ちょっといいなって思ったのにぃ」
三澄 深雪「あの2人が同じ学校になるとは 限らないでしょ」
三澄 深雪「わたしたちと同じ学校かもよ?」
早乙女 咲花「角でぶつかった男の子と女の子が 同じ学校になるんだもん!」
早乙女 咲花「ぶつかる前の転校生は どこに転校するか決まってないの」
早乙女 咲花「ぶつかって初めて決まる・・・」
早乙女 咲花「これがシュレディンガーの転校生!」
三澄 深雪「本当になに言ってんだ?」
三澄 深雪「じゃあ咲花 そろそろ学校行こ」
三澄 深雪「このままじゃマジで遅刻しちゃうよ」
早乙女 咲花「・・・あたし・・・ まだ諦めたくない!」
早乙女 咲花「諦めないのがあたしの長所だもん!」
三澄 深雪「この場合は短所だよ」
早乙女 咲花「あっ! あっちに野生の転校生の気配!」
早乙女 咲花「出陣だー!」
三澄 深雪「だから野生の転校生って 結局なんなんだよ!?」
  この後、2人が遅刻したかどうかは
  また別のお話──
三澄 深雪「いや間違いなく遅刻だよ!」
  おしまい

コメント

  • 星月さんこんばんは!
    キュートな主人公で凄く可愛かったです!
    確かに漫画にでてくる曲がり角の転校生、野生としかいえないくらい多かったし乱獲されたとしか思えないくらい少なくなりましたね👍😂

  • 受賞おめでとうございます❤
    古典的(?)なシチュエーションをここまでイジり倒すとは…… ツッコミが追いつきませんでした。笑

  • 野生の転校生のパワーワードに終始コミカルなセリフのやり取りが面白かったです😆😆😆受賞おめでとうございます!!

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