読切(脚本)
〇ハチ公前
SNSの暇つぶし相手で
お互い性別も知らなくて
二人とも母子家庭で
あるあるとか自虐ネタなんかで盛りあがってたら
すぐ意気投合
ビデオ通話した瞬間
一目惚れ
ついに初デート
幸せの絶頂!
そう思ってたのに・・・
カイト「裏アカ女ってなんだよ!」
カイト「間違いない」
カイト「好きな子できたなんて言わなきゃよかった」
カイト「毎日デスクトップに張りついてカタカタしてるあいつの特定力舐めてた」
いや、気づかないでハマるより良かった
忠告してくれたあいつはやっぱ友達
カイト「画像送りつけて帰ろ」
カイト「なに?」
「それ私、認める」
「でも話したいことある もう着くから待ってて」
カイト「来ちゃう」
こうなったら文句の一つも言ってやる
こんな好きになったことなかったな
「待ち合わせですか?」
カイト「そうだけど、迷子?」
???「カイト君?」
カイト「なんで知ってるの?」
???「トトちゃんのこと説明する」
カイト(妹がいたなんて聞いてない)
???「トトちゃんが裏アカやってたのは本当」
カイト「ですよね」
???「でもあの画像はトトちゃんじゃない」
カイト「どういう意味?」
???「独学でエンジニアしててディープフェイクスの技術でグラフィック作ってる」
カイト「なにそれ・・・」
???「トトの身体は誰にも見せてない バイト代わりに裏アカ運営してるだけ」
カイト「意味わかんないって 本人呼んでよ!」
トト「私がトト」
カイト「えっ?」
トト「通話の映像も声も加工して作った」
カイト「ウソだろ・・・」
トト「私の顔をもとに作った3Dアバターだよ」
たしかにアプリ使ってる画像だなとは思ったけど
俺が一目惚れした相手はアバター・・・
カイト「大人をバカにするな! 帰る!」
???「待ってよ! 約束したでしょ!」
カイト「こんな子供とデートする約束なんてしない!」
トト「身体が子供だと無理? 身体目当てだったんだ?」
カイト「ち、違うけど!」
トト「もらった画像拡散しちゃうよ?」
カイト(なんてガキ・・・)
トト「裏アカの運営知らないこと多くて大変なの デートして勉強したいの」
カイト「仕事で利用したいだけだったんだな」
トト「そういうわけじゃないけど・・・」
カイト「そうだろ! 勝手に拡散しろ!」
トト「やっぱり私のこと捨てるんだね。お父さんみたいに」
トト「二人は同じで、似てるって話したのに」
カイト「ぜんぶウソだったんだろ?」
トト「歳と仕事以外ぜんぶ本当だよ」
カイト「ウソだ!」
トト「信じてもらえなくても仕方ないね」
カイト「じ、じゃあな」
あとはぜんぶ本当って・・・
もう暗くなるのにあんな子が一人で
家に帰っても誰もいないんだろうな
カイト「待てよ」
トト「なによ」
カイト「手伝ってやるよ仕事」
トト「デートしてくれるの?」
カイト「一人でウロウロしてたり ヘンな男にでもついてったりしたら危ないし」
トト「そんなバカじゃない カイト君とだから来たんだよ」
カイト「一緒に歩くときは親戚設定な」
トト「わかった」
こんな子供だけどあの子の面影がちゃんとあって
なんかヘンな気分だ
ワンシーンでこの内容と充実感!喜怒哀楽が盛り込まれていて、様々な展開がぎゅっと詰まっていて、読み応えが物凄い作品ですね!
くぅぅぅぅ〜