憑く女

セーイチ

憑く女(脚本)

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〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
霊子「くっくっく・・・」
京華「・・・」
霊子「~♪」
京華「・・・」
京華「ねぇ」
霊子「はい?」
京華「何やってんの?」
霊子「え?アナタに取り憑いているんですけど?」
京華「アンタ幽霊?」
霊子「見てわかりません?」
京華「私の常識では他人のリビングでくつろいで動画漁ってる幽霊はいないんだわ」
霊子「カルチャーギャップというヤツですよ」
京華「生死の境をカルチャーで誤魔化すな」
京華「それにソレはコッチ側のカルチャー」
霊子「じゃあジェネレーションギャップ?」
京華「アンタいつ幽霊になったの?」
霊子「アレはたしか寛永・・・」
京華「何世代前だよ」
京華「動画どころかモノクロ写真すら無いじゃん」
霊子「まあ細かいことは良いじゃないですか」
霊子「アナタもうすぐタヒぬんだから・・・」
京華「伏字にすんな」
京華「動画に配慮する前に私に配慮しろよ」
京華「つか何で私がタヒななきゃいけないのよ」
霊子「それは勿論・・・」
霊子「私が取り憑いているからですよ」
霊子「ああ!」
霊子「スンマセン!調子に乗りました!」
京華「っで、何で私に憑いてんの?」
霊子「い、言います!言いますから!お札しまって!」
京華「・・・」
霊子「ふぅ・・・」
霊子「いやぁ実はある人に頼まれまして」
京華「誰に?」
霊子「それは守秘義務が・・・」
霊子「ああ!スンマセン!言います!アナタの同僚っす!」
京華「同僚?」
霊子「はい、アナタのほうが先に出世したからって」
京華「くだらない・・・」
霊子「そんな訳でアナタにはタヒんで貰わないと困るんですよ」
京華「・・・呪術返し」
霊子「はい?」
京華「呪いが術者に跳ね返されるってヤツ」
霊子「はあ・・・」
京華「今、術を跳ね返したから、アンタそいつの所に帰りなさい」
霊子「いやぁウチにそういう制度は無いんで・・」
霊子「ほ、本当に無理なんす!そういう契約なんす!」
京華「・・・まったく」
京華「話にならない、上司呼んできなさいよ」
霊子「か、勘弁して下さい!今季の査定が・・・」
京華「知るか!とっとと呼んで来い!」
京華「それが嫌なら、さっさと契約者の所に戻りなさい!」
霊子「そ、それも無理っす、クライアントを呪うなんて・・・」
京華「別に呪えなんて言ってないよ」
霊子「え?」
京華「ただ深夜にソイツの顔を覗き込んだり、ちょっと物を動かすだけで良いの」
霊子「そ、それだけで良いんすか?」
京華「それだけなら問題ないでしょ?」
霊子「確かに・・・」
京華「それを一週間も続けてればアッチから契約解除してくるから」
京華「クライアント都合の契約解除ならアナタが責任取らなくても良いでしょ?」
霊子「は、はい、それはそうっすけど・・・」
京華「それじゃ早く行って来て」
京華「そうしたら冷蔵庫のプリン盗み食いしたことは許してあげる」
霊子「ギクッ!」
京華「何か文句ある?」
霊子「ございません!早期に対応させていただきますっす!」
京華「・・・」
京華「もしもし・・・はい、私です」
京華「そうですね、あの新人は使い物になりません」
京華「はい、次のお盆には契約解除で・・・」
京華「はい、承知致しました」
京華「やれやれ・・・」
京華「霊界も人材不足だわ」
京華「さて、次の査定対象幽霊は、と」

コメント

  • 京華さんがPCいじってるのかと思ったら……😂😂
    霊子さんいくらなんでもくつろぎすぎですね!そりゃ査定も悪いわ……😇 オチも意外で面白かったです!✨

  • ツッコミ要素しかない霊子さんの言動、楽しすぎます!そして、呪怨の世界にも適用される契約コンプラww 霊魂達にも世知辛い時代となりましたね。
    そして、まさかのオチにやられました!

  • コント風のBGMに切り替わるタイミングが絶妙でした!どの業界も人材不足ですよね。きちんと最後まで憑き通せる幽霊の育成も楽じゃないですね。思い切ってAIを導入してみる・・・とはいかないか。

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