おしゃべりな女

翠碧緑

おしゃべりな女(脚本)

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〇教室の教壇
先輩「君は本当に国語が苦手だね?」
先輩「数学の半分も取れてないじゃないか」
先輩「漢字が苦手?」
先輩「それは漢字が読めないんじゃなくて、 君の語彙力が無いだけだろう?」
先輩「筆者の考えなどわかるわけがない?」
先輩「それはそうさ。 でも、問題の作成者の気持ちを考えることはできるのさ」
先輩「あー、拗ねるな、拗ねるな」
先輩「そうだなー・・・」
先輩「では、少し言葉の面白さを教えようか」
先輩「君は”好き”という言葉の意味はわかるかな? 馬鹿にしているわけではないよ?」
先輩「文字にしてしまえばたったの2文字だ」
先輩「でも、小説家は文字を稼ぐためにいろいろと言い回しを変えるのさ」
先輩「もしかすると絶対に”好き”とは書かないかもね」
先輩「『月が綺麗ですね』」
先輩「『あなたに興味があります』」
先輩「『お慕いしております』」
先輩「これらの表現は全て”好き”という意味で成立し得るのさ」
先輩「・・・どうかな?  面白いだろう?」
先輩「曖昧すぎる?」
先輩「おやおや、ストレートな物言いのがお好みのようだ・・・」
先輩「『付き合って下さい』なんてのも、文学的な表現だと私は思うけどね」
先輩「うーむ・・・では文脈に興味をもって貰おうかな」
先輩「勉強で忙しい受験生が、後輩の勉強を手伝っている」
先輩「それもほぼ毎日だ」
先輩「雑談すら交えて、じっくりと」
先輩「どうしてだろうね?」
先輩「ああ・・・やっぱり君は苦手なんだね」
先輩「それとも一般的な感性というものが欠如しているのかな?」
先輩「まあいいだろう」
先輩「・・・・・・ふむ」
先輩「・・・毎日出来の悪い後輩に付き合って、自分の時間を削り続ける私はね?」
先輩「君のこと『嫌い』だよ」

コメント

  • こんばんは!
    好きという気持ちを文学的に言葉で伝えるという表現も素敵だし、何より先輩が後輩に対して好意を持っていることを行動で表してくれていますね🙌✨

  • 良〜

  • 拙者「にっこり笑って『キライ』」が大好き侍と申す…というのは置いといて、後輩君の鈍さ、驚異的ですね😅幸あれ

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