雑踏で(脚本)
〇渋谷駅前
ガャガャガャ
キキー!
自転車の急ブレーキ音が響いた。、
ユタカ「おい、アブナイじゃないか。 ちゃんと前見て歩けよ!」
ユミコ「す、すみません・・・。」
「まったくもう」
ユミコ(また、怒らせちゃった。 ワタシ人を怒らす天才かも)
ワタシはユミコ。
癖でいつも
下ばかり見て、歩いてしまう。
ユミコ「歩きスマホでもないのに、 いつも、人にぶつかったりしちゃう。 気をつけているんだけどな・・・」
ユミコ「あっ、落とし物。 さっきの人のかしら?」
ユミコ「こ、交番届けないと」
ユタカ「あっ良かった。 それ、僕のですよね!?」
ユミコ「あら、ちょうど交番に届けようかと思ってましたの」
サッ
ユタカ「どうも」
ユミコ(そんなに奪うようにしなくてもいいのに・・・ せっかちな人なのかしら)
ユミコ「あら、また落ちてるわ。 人が多いからかしら、 こんなに落ちてたらアブナイわ」
司教「ありがとうございます、 それがないと困ってしまうところでした。 アナタに幸福が訪れますように。」
ユミコ「アラマア」
配達員「すみません こんなところに!」
ユミコ「はい、どうぞ」
主婦「わぁ、すみません。 家に入れなくて困ってたんです。 助かりましたわ」
板前「すみません・・・」
ユミコ「気をつけてくださいね」
親分「んーすまねぇなぁ」
ユミコ「いえ・・・」
警官「いやぁ・・・いけませんよね・・・」
ユミコ「触らないでおきましたよ。 たいせつにしてくださいね。」
ユミコ「ふう。」
ピーポーピーポーピーポー
ドサッ
ドサドサッ
ユミコ「わっ」
警官「すみません、お騒がせして。 先程、強盗犯は捕まえました。 もう大丈夫です。」
警官「ほらお前ら! さっさと歩く!」
主婦「お巡りさん! 助けていただいて ありがとうございます!」
主婦「カギがなかったのに 家についたらドアが 開いてたんですもの。」
親分「捕まって良かったのう」
司教「そうですね。 さぁ行きましょう、 親父さん」
親分「じゃあな嬢ちゃん」
ユミコ「さようなら・・・」
ユタカ「あぁ、まだいた。 良かった。 伝えたいことがあって」
ユミコ(あら、最初の失礼な人・・・)
ユタカ「さっきはゴメンな。 配達に間に合わないところだったからさ。 これ、ウチの商品だよ。 よかったら、どうぞ」
ユタカ「じゃ、ウチの名刺。 よかったら食べに来て。 そんじゃ!」
ユミコ「・・・わりと、いい人だったわ。 コチラこそ、すみません」
ユミコ(もっと注意しなくちゃね)
ユミコ「あら、また拾っちゃった!」
その後、
彼女が
世界の女王になることは
まだ、誰も知らなかった・・・
どんどんとスケールが大きくなる落とし物、そして様々な落とし主の登場し、点と点が線になる物語展開、、、すごく広がりを見せるワンシーンですね!そしてオチがww
落とし物の数が拾ってる速度を追い越していく様に笑えました。金のゴブレットを拾ったユミコはこれから壮大な冒険や戦いに巻き込まれて、最後に「命拾いしたわ」とか言って世界の女王になるんだろうか。
彼女の拾う落とし物がどんどんレベルアップしていく様が面白かったです。彼女の持つ心の優しさが最後のシーンのような展開を招くのでしょうね。