西暦2999年12月31日

絢郷水沙

〇〇の前日(脚本)

西暦2999年12月31日

絢郷水沙

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西暦2999年12月31日
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〇未来の都会
  世間はどこもかしこもお祭り騒ぎだった。

〇明るいリビング
カナ「ねえ、明日で西暦3000年だよ。すごくない!?」
リサ「すごいわね」
カナ「なんか、年越しの瞬間にいろんなところで花火打ち上げるんだって」
カナ「一緒に見ようよ!」
リサ「ふふ、いいわね」
リサ「えっと・・・いま外はどんな感じなのかしら?」
リサ「テレビつけるわね」
  リサは「テレビよつけ」と頭の中で念じた。すると、テレビは一人でについた。
カナ「見てよ、ほら!」
リサ「うわぁ、すごいわね」
  テレビ画面には、遠くさまざまな国で、祭りの準備が進められている姿が映し出されていた。
カナ「あのさ、年越しの瞬間、一緒にジャンプしようよ」
リサ「子供っぽいわね。でもいいわ、面白そう」
  カナは喜んだ。リサは他の番組も見てみることにした。
番組MCの男「大変です! 明日、人類は滅亡してしまうのです!」
カナ「なにこれ? 陰謀論チャンネルじゃん」
リサ「オカルト専門番組ね」
カナ「え〜、明日で地球終わるって」
リサ「本当かしら・・・」
カナ「何言ってるの。な訳ないじゃん!」
リサ「でもちょっと気になる・・・見てみようよ」
カナ「えー、リサがこんなの信じるんだ」
リサ「ちょっとだけね・・・」
番組MCの男「これをご覧になっている貴方達はまだ助かるかもしれません。よくお聞きください」
番組MCの男「明日、我々人類はついに西暦三千年を迎えます」
番組MCの男「これに対し、予言者アレクサは伝えています」
番組MCの男「『千年の刻、繰り返し三回目。新たな恐怖の大王が、新世界に破滅をもたらすだろう』」
カナ「ちょっと本気なのこの人!? 恐怖の大王だって!」
リサ「確か、千年前も同じような騒ぎがあったらしいけど・・・」
カナ「へえ・・・でも何もなかったんでしょ? その時滅亡してたら今の私たちいないんだから」
リサ「まあ、そうよね・・・」
リサ「あの時は捏造だったらしいけど・・・」
カナ「見る価値ないって」
リサ「でも・・・。あとちょっとだけ」
番組MCの男「この予言に登場する「新世界」とは、我々の精神世界と電脳世界を繋いだ、新たなネットワークのことです!」
番組MCの男「みなさん!! 今すぐにでも精神接続を切ってください!」
  この時、リサは少し不安になっていた。
カナ「どうしたの・・・まさか信じたわけじゃないよね」
リサ「・・・・・・」
リサ「でも、万が一ってことも・・・」
  今の時代、全ての人の脳には小型のパソコンのような機械が埋め込まれていた。
  それにより、記憶領域の拡大、思考の補助、リモコン機能など、様々な恩恵を受けられるようになっていた。
  リサが念じただけでテレビの電源がついたのもそれが理由だった。
リサ「精神接続を切れって・・・」
カナ「ほんと、馬鹿げてるわね」
リサ「2000年問題・・・」
カナ「え?」
リサ「1000年前にも同じようなことがあったのよ!」
カナ「え? どういうこと?」
リサ「あのね、2000年問題って言ってね」
リサ「西暦2000年になった瞬間に、パソコンとか機械類が、誤作動を起こすんじゃないかって、当時は騒がれていたらしいの」
カナ「てことは・・・」
リサ「きっとこの人もそれを恐れてるのよ・・・」
カナ「でも科学が発達している今は、そんなの対処できてるでしょ?」
リサ「でも、万が一ってことも・・・」
カナ「勘弁して」
カナ「私は切らないから。切ったらそれこそ、緊急速報とか聞けないでしょ?」
カナ「今時、切る方が危険だって」
リサ「私は・・・切る。万が一に備えて」
リサ「それに一つ、気になることがあるから・・・」
カナ「・・・あっそ、勝手にすれば」
  それから二人は、年越しまでの数時間、ゲームで遊び続けた。

〇明るいリビング
カナ「はー、楽しかった」
リサ「そうね」
カナ「さて、もうそろそろね」
リサ「ジャンプだっけ?」
カナ「そう! じゃあ行くよ、せーの!」
「さんッ!」
「にー!!」
「いち!!!」

〇花火

〇明るいリビング
リサ「おめでとうーっ!!」
リサ「て・・・カナ?」
  カナはその場に倒れ込んだ。
リサ「ちょっと・・・ねぇ、どうしたのッ!?」
  カナは動かない。
リサ「え、嘘・・・そんな・・・」
リサ「ま、まさか・・・」
リサ「死んで・・・」
カナ「じゃじゃーんッ!!」
リサ「カナっ!?」
リサ「あ、あなた今死んだんじゃ・・・」
カナ「てっ、勝手に殺すなし!」
カナ「今のは、リサを驚かすための冗談!」
カナ「やーい、引っかかったー!」
リサ「も、もうッ!!」
  カナは無事だったようだ。
リサ「なんともないんだよね・・・」
カナ「だから、からかっただけだって」
カナ「死んでないし、人類も滅亡しないわよ!」
  ほっと胸を撫で下ろすリサ。二人は、ベランダに出てみることにした。

〇花火
「うわぁ・・・きれい・・・」
リサ「それにしても、世界が滅亡しなくてよかったわ」
カナ「何言ってるのよ! 滅亡するわけないでしょ」
リサ「そうよね・・・本当よかったわ」
  リサはその時、胸にしまっていた秘密を打ち明けた。
リサ「実は、ここ最近夢に見てたの」
カナ「ん、どんな?」
リサ「えっとね、夜にこうしてカナと夜空を見上げているの」
リサ「そしたら、大きな音がするの。まるで地球が割れてしまったかのような大きな音が」
カナ「・・・・・・」
リサ「それで人々は次の瞬間、慌てふためくの。何かすごいことを聞かされたかのような顔をして」
カナ「それって・・・まさか、正夢なんじゃ──」
  と、カナが言いかけた次の瞬間──

〇荒廃した街

〇明るいリビング
カナ「て、停電!?」
  すると──
カナ「え・・・?」
リサ「どうしたの?」
  カナの表情がおかしくなった。何か恐ろしい怪談を聞かされた時のように、強張っている。
カナ「そんな・・・嘘でしょ・・・」
  リサは急いで精神接続を試みた。しかし、出来なかった。
リサ「ねぇ、どうしたの。教えてよッ!!」
  カナは恐る恐る口を開く。
カナ「み、ミサイルが・・・」
リサ「え?」
カナ「核ミサイルが発射されたって・・・」
リサ「嘘よ・・・」
  外で今も咲き誇る祝福の象徴。しかし、その正体は――。

〇荒廃した街

コメント

  • やはり2000年問題を思い出しましたね。その前年のノストラダムスのアレとか、その他システム障害とか、いろんなことがあって社会的に不安定になっていましたから。3000年には、どんなことがあるのでしょうかね、本作のようなものじゃないことを願いたいです。

  • 未来の世界の終末論って、こんな感じなのかなぁと思いました。
    脳に端末を入れているって設定がおもしろかったです。
    自由にオンオフできるんですね。

  • 実際にあり得そうな話しで少し怖さも感じました。ストーリーの構成がうまくされていて、読みながらひきつけられました。今後どうなるんでしょうか。

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