「キミ」を愛し過ぎる女(脚本)
〇車内
「──はい、失礼します」
(電話を切る音)
芸能事務所の社長「・・・お待たせしました」
芸能事務所の社長「では改めて今日の予定を──」
芸能事務所の社長「・・・寝ているんですね」
芸能事務所の社長「お気楽で何よりです」
芸能事務所の社長「・・・」
ちらっ・・・
ドクンドクンドクンドクンドクン──
芸能事務所の社長(ちょっと撫でるだけ!)
そおぉ・・・
なで、
なで、
なで・・・
芸能事務所の社長(あぁ何て柔らかくて気持ちイイの・・・♡)
芸能事務所の社長(寝顔も可愛くて最高〜♡♡)
芸能事務所の社長(──ああぁ、もぅ今すぐ抱きしめたい♡♡♡)
芸能事務所の社長(尊い!!)
芸能事務所の社長(・・・「キミ」と出会って2年)
芸能事務所の社長(初めて出会った時)
芸能事務所の社長(一目見て私、「キミ」を好きになった!)
芸能事務所の社長(その瞳、顔、美しい毛)
芸能事務所の社長(全てが私のタイプ!!)
芸能事務所の社長(社長として、必ず「キミ」を超一流役者にすると心に決めたんだ!!)
芸能事務所の社長(役者1年目は、沢山の人前で本来の力が発揮出来なかったり)
芸能事務所の社長(すぐどこかに隠れて)
芸能事務所の社長(出番の撮影が出来ず、監督たち製作陣を困らせたりと)
芸能事務所の社長(色々あったけど・・・)
芸能事務所の社長(でも今では役者が板に付いてきて)
芸能事務所の社長(主演映画は大ヒット!)
芸能事務所の社長(出演依頼が殺到して、一躍人気者に!)
芸能事務所の社長(努力が報われて良かった!)
芸能事務所の社長(・・・こうして2年、苦楽を共にしてきて)
芸能事務所の社長(「キミ」への恋心は深まる一方!!)
芸能事務所の社長(「キミ」には「キミ」を溺愛するパートナーがいると分かっているけど・・・)
芸能事務所の社長(だけど、好きなんだ!!)
芸能事務所の社長(「キミ」を連れ去ってでも一緒になりたい!!)
芸能事務所の社長(いつか、小さな家で「キミ」と共に──)
女の子「ヘクシューン!」
女の子「・・・あれぇ〜」
女の子「いつの間にか寝ちゃった?」
芸能事務所の社長「・・・」
芸能事務所の社長(ハッ!)
芸能事務所の社長「お目覚めですね?」
芸能事務所の社長「あと20分で撮影現場に到着です」
芸能事務所の社長「くれぐれも足を引っ張らない」
芸能事務所の社長「ように! お願いしますよ!」
女の子「ひぃ〜」
その時女の子は、自身の膝の上で寝ていた白猫を腕の中に抱き寄せた
女の子「怖いよ〜!」
女の子「ぎゅ〜♡」
芸能事務所の社長(ハグ!?)
女の子「すりすりすり〜♡♡」
芸能事務所の社長(からの、ほっぺすりすり!?)
女の子「ちゅ、ちゅ、ちゅ〜♡♡♡」
芸能事務所の社長(その上、キス!?)
芸能事務所の社長(うっ!)
芸能事務所の社長(羨まし過ぎる!!)
芸能事務所の社長(何でいつもアイツだけ!!)
白猫「──ンギャ!」
猫パーンチ!
女の子「うゎっ──!」
白猫は女の子の腕を抜け出し、社長の膝の上に飛び乗った
芸能事務所の社長「・・・」
白猫「・・・」
白猫「にゃん!」
女の子「こらぁ、ダメでしょ!」
女の子「すいません・・・」
白猫が再び女の子の腕の中に抱かれた
芸能事務所の社長(・・・笑ってくれた)
芸能事務所の社長(「キミ」が私に笑いかけてくれた!!)
芸能事務所の社長(嬉しい!!)
芸能事務所の社長(・・・何だかんだ言って)
芸能事務所の社長(結局こうして「キミ」と一緒にいられる事自体が、1番幸せ!)
芸能事務所の社長(これ以上の事を望んでは罰当たりだ!)
芸能事務所の社長(愛しの「キミ」の為なら)
芸能事務所の社長(雨が降ろうが槍が降ろうが)
芸能事務所の社長(アイツが邪魔しようが!)
芸能事務所の社長(私、一生懸命に頑張れる!!)
芸能事務所の社長(ありがとう!!)
芸能事務所の社長(今日も頑張ろうね)
芸能事務所の社長(天才役者猫の)
芸能事務所の社長(「キミ」!!)
白猫「にゃぁん♡」
──それから半年後
まさか、あんな事件が起きるとは・・・
今日のお話はここまで!
そっちか~い、とツッコミたくなるオチからの気になるヒキで、このお話の後がすごく気になります!溺愛っぷりですが、この白猫さんなら理解できますねw
巧みなミスリードにすっかり騙されました。「すぐどこかに隠れて」という言葉に「あれ?」となったけどそういうことか。「キミ」を溺愛するパートナーって飼い主さんなのね。ある意味叶わぬ恋心ですね。それにしても半年後の出来事が気になります。
猫派なので彼女の溺愛ぶりが痛いほど伝わります。この後の展開で何か不穏な感じを想像させられますが、どうか猫ちゃんが無事でありますように!