この家族みんなヘン?

要 九十九

この家族みんなヘン?(脚本)

この家族みんなヘン?

要 九十九

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この家族みんなヘン?
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〇広い公園
母「あんたはここにいなさい」
凛「待って」
母「ついてくるな」
母「疫病神!」

〇広い公園
凛「お母さん」
  幼い頃の私は薄々気付いていた
  私はいらない子だったのだ
  母は私をあの公園に・・・
  そんな私の前に現れたのは
凛「え」
  そして・・・
  その日私はキャトられた

〇高層マンションの一室
  6年後
凛「お父さんおはよー」
父「お、実験た、凛君おはよう」
姉「凛ちゃんおはよ」
凛「零姉ちゃんおはよー」
兄「凛おはよう!」
凛「ダン兄ちゃんおはよー」
凛「お母さんおかえりー」
母「ただいまじゃ凛」
兄「ゲッ!」
兄「また鮫マン!」
母「うるさいのぅ」
母「あっちでは大人気だと言うに」
凛「私鮫マンの煮付け大好き!」
母「本当に凛はいい子じゃのぅ」
  母が娘の頭を優しく撫でる
父「そっちはどうでした?」
母「今度は勇者と魔王どちらにつくかでまた揉めておったよ」
父「そちらの世界も大変ですね」
母「じゃのぅ」
母「じゃが」
母「この町もそう変わらんじゃろう」
ニュースキャスター「昨日、法外町で起きた児童誘拐事件ですが」
ニュースキャスター「身代金が払われ無事に児童が解放されました」
コメンテーター「今月だけで4件目、怖いですねー」
コメンテーター「まぁこれも法外町での特異点発生による二次災害のようなもので・・」
凛「お母さんお腹減ったー」
母「おぅ悪い悪い」
母「直ぐに作るから待っておれ」
兄「俺もお腹減ったー!」
姉「あたしも!」
母「お主らは食わなくても何とかなるじゃろ」
兄「家族でご飯を食べるのは当たり前だ!」
姉「そうそう!」
姉「あたしも凛ちゃんと一緒にご飯食べたいもん!幽霊差別反対!」
兄「そうだそうだ!幽霊差別反対!」
母「お主はいつから幽霊になったんじゃ」
母「直ぐに作るから待っておれ」
兄「凛出来るまで遊ぼうぜ!」
凛「零姉ちゃんの位牌を手入れしてからね」
姉「凛ちゃんいつもありがとう」
凛「いいよ!家族に必要とされるなら嬉しいの」
父「・・・」
父「実験体・・コホン!凛君」
母「お主今ハッキリ実験体と言ったのぅ!」
父「失礼」
父「凛君には何度も実験に付き合って貰ってるからつい」
母「つい間違えるには最悪な呼び方過ぎるじゃろ」
父「位牌は私が、いや」
父「ワレワレガテイレスル」
父「ダカラアソビナサイ」
母「よくやるその声を震わせるのは何なんじゃ?」
父「いや1日に1回はこれしないと喉が落ち着かなくて」
母「どんな日課じゃ」
  これが私の今の家族
  皆の事は大好き!
  でも・・・
  私の家族は皆ヘンだ

〇教室
サキ「凛ちゃん今日の授業参観楽しみだね」
凛「うん」
サキ「凛ちゃんの所は誰が来るの?」
凛「みんな来るって」
サキ「みんなかぁ!どんな人達なの?」
凛「皆ヘンだよ」
サキ「へー!会うの楽し・・・」
サキ「今窓の外に何か」
サキ「UFO!?」
凛「お父さん」
サキ「凛ちゃんのお父さんだった!」
サキ(だ、大丈夫)
サキ(隣の家のスズキさんも宇宙人だし)
怖がる同級生「おい何だあれ?」
サキ「え?」
サキ「黒板から足が生えてる?」
凛「お姉ちゃん」
サキ「お姉ちゃん!?」
サキ(だ、大丈夫)
サキ(ゆ、幽霊も何度か見たことあるし)
サキ「うん?」
サキ「異世界転移魔法?」
サキ「何だエルフの人かぁ」
サキ「そんなに驚きは・・・」
サキ「何か凄いの持ってる!」
凛「お母さん」
サキ「お母さん!?」
サキ「教室の窓ガラスが」
サキ「今度は何!?」
凛「お兄ちゃん」
サキ「お兄ちゃん!?」
サキ「凛ちゃんの家族凄すぎるよ!」
凛「そう?」

〇教室
先生「授業を終わります」
先生「保護者の方は連絡事項がある為一度職員室までお越しください」
母「それじゃ儂らは職員室に行ってくる」
凛「うん」
サキ「凛ちゃんの家族楽しいね」
凛「そうかな?」
タケシ「いや変だろ」
タケシ「あんな種族バラバラな家族見たことねーよ」
凛「・・・」
凛「そうだと思う」
タケシ「特にあの」

〇散らかった職員室
サキ「先生!」
サキ「教室で凛ちゃんが」

〇教室
母「凛!?何してるんじゃ!」
兄「喧嘩なら俺に任せろ」
母「お主は黙っとれ」
父「凛君何があった?」
凛「・・・」
姉「もしかして」
姉「私達の事で何か言われた?」
凛「それは・・・」
父「そうか」
父「我々はこの町でも凄く変わった家族だ」
父「もしその事で何か言われても凛君が悪い訳じゃない」
凛「・・う」
母「うん?」
凛「違うよ!」
凛「皆何にも分かってない!」
父「凛君!」

〇街中の道路
母「やっぱり見つからん」
姉「凛ちゃんが本気出すと」
姉「壁抜けれる私ですら追い付けないしなぁ」
兄「俺が飛んで探すか?」
父「大丈夫でしょう」
父「きっといつもみたいにお腹が減ったら帰ってきますよ」
父「いざとなったらあれもありますし」
父「一旦皆で家で待ちましょう」

〇荒れた倉庫
ゴロツキのボス「一千万」
「ウェーイ!」
パリピなゴロツキ「今回もたっぷり報酬頂いたな」
アゲアゲなゴロツキ「しかし毎度毎度ガキ1人の為によくこんな大金出せるよな」
ゴロツキのボス「まぁ大事な大事な子どもの為です」
ゴロツキのボス「親にとっちゃ安いくらいなんでしょう」
パリピなゴロツキ「そういうもんですかね?」
アゲアゲなゴロツキ「それより」
アゲアゲなゴロツキ「こんなもんが簡単に買えるなんて、本当にこの町は最高だぜ!」
ゴロツキのボス「特異点様々ですねぇ」
アゲアゲなゴロツキ「なぁお前もそう思うだろ?」
アゲアゲなゴロツキ「ガキィ」

〇荒れた倉庫
ゴロツキのボス「こんな町を一人で歩くなんて馬鹿な子どもですねぇ」
ゴロツキのボス「さてさて次の親はどんな物をくれるのか」
アゲアゲなゴロツキ「ガキィ!親の連絡先を教えろ」
凛「・・・」
ゴロツキのボス「早くしろ」
凛「ひっ」
ゴロツキのボス「スマホか」
凛「・・・い」
ゴロツキのボス「?」
凛「出ないよ」
ゴロツキのボス「あ?」
凛「きっと誰も出ないよ」
ゴロツキのボス「何だと?」
凛「私は悪い子だし」
凛「それに・・・」
アゲアゲなゴロツキ「まぁ俺らにとっちゃどっちでもいいんだよ」
ゴロツキのボス「出せるものがあるなら出させる」
アゲアゲなゴロツキ「ないならてめぇを殺すか、誰かに売るかだ」

〇高層マンションの一室
母「帰ってこないのぅ」
兄「何かあったんじゃねぇか?」
姉「凛ちゃん可愛いから悪い人に捕まってたり?」
「・・・」
父「凛か」
父「今何処に」
???「すみません」
先生(通話)「私法外小学校6年1組の担任の佐藤ですが」
父「あっ、担任の」
父「凛の父です」
父「それで何の?はい、はい」
父「少しお待ち下さい」
先生(スピーカー)「それで喧嘩を見ていた子から聞いたんですが、その・・・」
先生(スピーカー)「皆さんが変だと言う所は凛ちゃんも同意してたらしいのですが」
先生(スピーカー)「皆さん一人一人の悪口を言った瞬間、凛ちゃんが怒り出したらしくて」
先生(スピーカー)「大好きな家族を馬鹿にしないで、と」
「・・・」
先生(スピーカー)「なので凛ちゃんを頭ごなしに怒るのだけは」
父「先生」
先生(スピーカー)「はい?」
父「申し訳ありませんが、大事な用事が出来たのでまた後程ご連絡させて頂きます」

〇荒れた倉庫
ゴロツキのボス「さーて」
ゴロツキのボス「5件目の親は何をくれるかねぇ」
ゴロツキのボス「もしもし」
???「はい」
ゴロツキのボス「お前の子どもは預かった」
ゴロツキのボス「返して欲しければ」
???「返して欲しければ」
ゴロツキのボス「ん」
ゴロツキのボス「俺の声が反響して」
父「誰が誰を預かってると?」
凛「お父さん!?」
ゴロツキのボス「なっ!お前どうやって」
父「それだよ」
  父が指を差したのは凛の髪留めとスマホ
父「そこにGPSがある」
凛「皆も何で!?」
父「今も言ったがGPSが」
凛「そうじゃない」
凛「何で皆来たの!」
父「?」
凛「私、クラスメイトを叩いた悪い子なんだよ!」
凛「何でそんな悪い子なんかの為にこんな所に」
父「確かに誰かを叩くのは悪い事だ」
父「だけど私達の為に怒ったのだろう?」
凛「やっぱり皆ヘンだよ!」
凛「私は誰かを叩くような悪い子で」
凛「それに・・・」
凛「お母さんにも捨てられるような最低な子なんだよ?」
父「凛・・・」
「・・・」
凛「そんな子に何で皆優しくするの?」
凛「一緒にいてくれるの?」
凛「皆、皆ヘンだよ!」
父「・・・」
父「確かに凛君は悪い子かもしれない」
兄「親父てめぇ!」
父「母君は作るものが全部年寄りくさい」
母「なんじゃと!?」
父「零君は根暗でその上、承認欲求の塊だ」
姉「仰る通りですぅー!」
父「ダン君は馬鹿だ」
兄「馬鹿って何だ?」
父「私は」
父「研究熱心だ」
母「自分だけ綺麗に言うな、この研究オタクが!」
父「コホン」
父「こんな家族だが凛君は嫌いか?」
凛「ううん、大好きだよ!」
父「ならそれが答えだ」
父「誰もが皆欠点を抱えている」
父「家族なら一緒にいる時間が長い以上」
父「嫌な部分を見る機会も増える」
父「だけどそれは」
ゴロツキのボス「てめぇら!何家族ごっこしてやがる!」
ゴロツキのボス「この化物どもが!」
ゴロツキのボス「全員殺してこのガキは売り払う!」
父「君」
ゴロツキのボス「あ?」
父「大事な話の最中なんだ」
父「静かにしてくれ」
ゴロツキのボス「知るか」
父「はぁ・・・」
父「凛君少し待ってろ」
父「皆」
母「分かっておる」
兄「任せろ!」
姉「凛ちゃんを泣かせたのは許せない!」
パリピなゴロツキ「死ね化物!」
パリピなゴロツキ「なっ」
兄「痛い痛い!」
兄「俺にだけ当たってる!」
父「失礼。設定をミスった」
父「凛君は私の実験に笑顔で楽しそうに参加してくれる」
パリピなゴロツキ「俺の体が小さく!?」
母「凛は儂の作る物をそれはそれは美味しそうに食べてくれる」
アゲアゲなゴロツキ「何もない所から炎が!?」
姉「凛ちゃんはこんな私に優しくて、寂しくないよう隣にいてくれる」
ゴロツキのボス「体が動かない!?」
兄「凛は俺の必殺技の練習に笑顔で付き合ってくれる!」
ゴロツキのボス「ビーム砲!?」
父「家族が見るのは嫌な部分だけじゃない」
父「良い部分もなんだ」
父「凛君が我々を大好きだと言ってくれるように」
父「我々も凛君が大好きなんだ」
父「一緒にいるのにこれ以上の理由がいるか?」
凛「ううん」
父「こんな我々と一緒にいるのはイヤか?」
凛「一緒にいたいよぉ」
父「そうか」
父「我々もだ」
ゴロツキのボス「お前ら一体何なんだよ」
父「我々か?」
父「我々は・・・いや」
父「ワレワレハ」
ファミリー「ファミリーダ!」

〇廃工場
父「特異対策局が来る前に逃げるぞ」
姉「暴れ過ぎたもんね」
兄「エネルギー切れで動けねぇ」
母「儂も魔法を使いすぎた」
凛「みんなごめんね」
母「こういう時はありがとうじゃ」
凛「・・・」
凛「みんな」
凛「ありがとう」
父「じゃ、UFOとってくる」
  私の家族はみんなヘンだ
  それは私も同じで
  でも私はそんな家族が
  大好きだ!
  終

コメント

  • 「みんなちがって、みんないい」という詩を思い出しました。この疑似家族は凛ちゃんを中心に、お互いを認め合う関係性ができていて微笑ましい。凛ちゃんの家族を全て受け入れるサキちゃんが何気にタダ者じゃなかったですね。学校の先生もいい人で良かった。実験で子供に戻ったパリピなゴロツキのその後が気になります。

  • 家族全員種族が違うという設定は、キャラが差別化できていいですねぇ!
    家族愛が所々で感じ取れて、暖かい気持ちになる作品でした( ´ ▽ ` )

  • 風変わりな家族設定であるにもかかわらず、物語の主軸として家族愛がきちんと描かれているのでいい話だなと感じました!凛ちゃんが幸せそうで良かったです。

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