子供部屋の最高権力者(脚本)
〇女の子の部屋
ゆづきちゃん「ママが、犬の散歩に行くの! 昨日はパパが行ったからね、 今日はママがするの!」
ゆづきちゃん「ね、チューたん。わかった? ママだよ?」
ネズミ「わかった〜・・・」
鳥「昨日もおとといも、 オレが犬の役だったんだけどな・・・ 忘れちゃったかな・・・?」
ゆづきちゃん「じゃあ散歩にいきます! チューたんママ、 ピーちゃんはいい子にしてついてきてる?」
ネズミ「大丈夫だよ〜 こいつが犬をやるのもうn度目だから。 鳥のくせに犬役が板についてるから」
鳥「つついてやろうか」
ネズミ「綿の詰まったふわふわのくちばしで?」
ゆづきちゃん「お城のそばに着きました なんと、そこには! 大きな大きな・・・」
お母さん「ゆづきちゃーん? おやつ食べないのー?」
ゆづきちゃん「食べる────!!!」
「・・・・・・」
ネズミ「話の続き・・・進めておくか・・・」
鳥「いつまでオレが犬役なんだよぉ 犬はいぬがやるのが筋だろ!?」
いぬ「アイデンティティの崩壊」
鳥「それはオレにも言えるんだよ! 今週、毎日犬をやってんだぞ!」
ネズミ「哀れなワンちゃん・・・」
「それは、どっちに言ってる?」
いぬ「・・・今日の私はパパなのかな・・・」
ネズミ「昨日はボクがパパだったからまた散歩だよ・・・ ゆづきちゃーん・・・シャッフルされてないよ〜・・・」
ねこ「わたしは存在を忘れられてる 可能性すらあるわ おもちゃ箱から出してもらえてないし」
鳥「そもそも 「犬の散歩しているときに出会った人と仲良くなって結婚式に呼ばれる話」 に早く飽きてほしいんだよ・・・」
鳥「散歩以外で出会ってくれ・・・ どうしても散歩がいいなら、 鳥を散歩させてくれ・・・」
いぬ「犬の役を私にさせるのでもいい・・・」
ネズミ「まぁそれはゆづきちゃん次第だからな・・・」
ネズミ「ところで・・・ 今日のは、大きな大きな、なんだと思う?」
「木かな」
ネズミ「じゃあそれでやろう」
〇城
ねこ「わたしは大きな木の下で困っていました 大事なものを探しに戻るべきか、 諦めるべきか」
ねこ「探しに戻る時間は、 正直なところありませんでした このあと結婚式があるのです でもあれは、大事なものなのでした」
ネズミ「どうしたんですか? お困りのようですが」
ねこ「家の鍵を落としてしまったようなの」
ネズミ「それならさっきこの子が・・・」
鳥「これですか?」
ねこ「それです! 本当にありがとうございます」
ねこ「なんて素敵なワンちゃんなんでしょう! 飼い主さん、ワンちゃん、 ぜひ今からわたしの結婚式に来てください!」
ねこ「・・・・・・」
ねこ「またこの鳥は犬の役なのよね? あの手この手で結婚式に招待すれば良いのよね?」
ネズミ「そうです 今のでいいです」
ねこ「向こうの島で式をやるの ぜひあとでいらして これを見せれば入れるわ」
〇ファンタジー世界
いぬ「私の理想の島はこういうのなんだけど、 さすがに違うかな」
いぬ「あそこで結婚式するの、よくない? いいよね?」
いぬ「お姉ちゃん、おめでとう」
ねこ「ありがとう 私、幸せになるね」
ねこ「さ、早く渡りましょう?」
〇島
ネズミ「あのねこさんの言ってた島って ここだよな」
鳥「おい! 違うだろ エチュードなんだから! 前の話を聞いてちゃんと合わせろよ」
ネズミ「このくらいのトラブル うまく回収してくれないと困るんだよ」
ネズミ「てかさ、 ボクの理想の配役は、おじいさんなんだよ 70代のおじいさんをやりたい」
ネズミ「お前はないの、そういうの」
鳥「・・・妹をやりたい・・・ 中1で帰宅部の・・・オレの理想の妹をやらせてくれ・・・」
いぬ「本当は、ペットの犬をやりたいけど・・・ 二人の希望を叶えるには孫の役をやるのがいいのかな」
いぬ「70代のおじいさんの妹なら、 中1じゃないもんね・・・」
ネズミ「お前までこっちに来てどうする!」
いぬ「中1以上の孫・・・」
〇大広間
ねこ「・・・・・・」
ねこ「早く来なさいよ! 話が進まないじゃない!」
ネズミ「先程ご招待いただいた、 飼い主ですじゃ・・・」
鳥「結婚式とか初めて! めっちゃ嬉しい きゃー!!お嫁さん綺麗〜〜!!」
ねこ「ちょっと! どういうこと!」
ゆづきちゃん「ただいま────!!」
〇女の子の部屋
ゆづきちゃん「ただいま! おままごと、どこまで進んでたっけ!?」
ゆづきちゃん「ママだったよね?」
ゆづきちゃん「犬だよね?」
ゆづきちゃん「今日はパパね」
ゆづきちゃん「今日はお休みね」
ゆづきちゃん「じゃあ、大きな怪物を見つけるところ から再開ね よーいスタート!!」
ゆづきちゃん、子供ながらに一生懸命配役とかストーリー考えてる感じがとても可愛いです☺️
そしてそれに文句言いながらも付き合ってあげているねずみちゃんや鳥ちゃんたちも優しいし、ほっこりするお話でした😌
ゆづきちゃん、ままごとのキャスティングの絶対権力者なのね。それぞれの動物が理想の配役を語るところが健気で泣けてくる。なるべく早く猫の出番がくるといいなあ。