ニャンなパパのFAMILY SHOW(脚本)
〇雪山の山荘
せいな「ふぅ、やっとお家に帰ってきた・・・」
せいな「はっ」
せいな「・・・・・・!」
〇綺麗な部屋
私 娘のせいな
せいな「パパママ、大変よ!」
「おかえり、せいな」
パパ たまお
たまお「外は寒かっただろう」
たまお「さあ、ぼくの体で暖まりなさい」
たまお「遠慮しないで。僕の見た目は只の猫なんだから」
「あらあら、どうしちゃったの二人とも」
ママ あかね
せいな「パパが日本じゃ訴えられる事言うから」
あかね「もうパパったら、せいなを困らせちゃダメ」
たまお「誤解だ、ぼくはせいなが寒がりだから心配したんだよ」
せいな「まあ、その姿じゃ寒くも無いわ」
あかね「そんなのエクササイズすれば体も心もホットになるわよぉ」
あかね「この歳になったら色んなところが下がるじゃない?」
あかね「お肌の紫線外線対策にヒップと顔筋は抜かりなく鍛えてるのよ」
せいな「ママの体、焼きすぎたスポンジケーキみたいにガッチガチだもんね」
せいな「ところで二人とも」
せいな「そろそろ私の話を聞いてくれる?」
せいな「実はさっきね」
せいな「家の外に怪しい人がいたの」
せいな「そして何故かこの靴下が置いてあったわ」
「これは・・・!!」
〇綺麗な部屋
たまお「せいな・・・」
たまお「今まで、ずっと君に秘密にしていた事があるんだ」
たまお「実は」
たまお「ぼくは誰かに狙われている」
せいな「ええっ?」
せいな「そ、そんなの初耳よ!どういう事?」
あかね「以前から外出する度に見られてる気がしていてね」
あかね「店のトイレに入ろうとしたら先取りされて長時間出てこなくて使えなかったり」
あかね「レストランではクレームを入れられて猫のお客様は犬の姿で来なさいとか」
あかね「時々理不尽な仕打ちにあっているのよ」
せいな「なんか全部地味な嫌がらせだけど」
せいな「家にまで来るなんてヤバイやつじゃん。どうするのよ!」
たまお「大丈夫、ちゃんと対策はしてあるから問題無いよ」
たまお「この家の周りに」
たまお「トラップが仕掛けてあるからね」
せいな「えっ・・・!?」
〇雪山の山荘
〇綺麗な部屋
たまお「ほら、早速かかった!行ってみよう」
〇雪山の山荘
ゆうこ「・・・」
せいな(この娘がうちのストーカーだったの?)
せいな「うっ・・・物凄い邪悪な気を感じるわ」
たまお「やはり・・・君だったのか」
せいな「知ってるの?パパ」
たまお「・・・彼女は」
たまお「君の姉のゆうこだ」
せいな「い、いくらなんでもあんまりよ!」
せいな「私に腹違いの姉が居たなんて」
せいな「ひどすぎるわ!ママに謝りなさい!!」
たまお「違うよ、不倫じゃ無いんだ!」
たまお「この話の発端は過去に遡る」
たまお「その昔、僕たち家族とこの家をめぐる縄張り争いがあったんだ」
せいな「それだけて狙われてもしょうがないやつじゃん」
たまお「かつて僕たちはこの家をかけた戦いに明け暮れていた」
たまお「そんなある日、ぼくは終止符を打とうと君の育ての両親に和睦を試みた」
たまお「彼らは交渉に応じる代わりに」
たまお「娘を渡す条件を出した」
たまお「しかしぼくは反対した。ゆうこを全力で守り抜くとを誓っていたが」
たまお「色々あって赤子だったゆうこを手離す事となり」
たまお「家から居なくなった」
たまお「何時の間にか無くなった片方の靴下のように・・・」
たまお「もう片方の靴下は、君とずっと一緒だったんだね・・・」
せいな「なんかえらい美化してるけど」
せいな「結果的に悲劇っていうお決まりの時代劇のパターンと同じね」
せいな「て言うか姉は洗濯物か」
ゆうこ「私はずっとあの家の娘だと信じて生きてきたわ」
ゆうこ「だけどその反面、何処か違うとも薄々感じていた」
ゆうこ「そんなある日、町で偶然着ぐるみを身に纏うお前の姿を見た時」
ゆうこ「私は直感した」
ゆうこ「お前こそ私の父だとなぁ!」
たまお「ゆうこ・・・」
たまお「今まで悪かった」
たまお「君が許すのであれば・・・また一緒に暮らそう」
ゆうこ「うるさい!」
ゆうこ「お前に私の気持ちが解かるか」
ゆうこ「こんな格好で生きている私の気持ちが!」
せいな「・・・パパって着ぐるみだったのね」
ゆうこ「いや着ぐるみだろ」
せいな「ずっとママが拾ってきた猫なのかと思ってたわ」
ゆうこ「…そんな事はどうでもいい。私は」
ゆうこ「あれからずっと復讐の事だけを考えて生きてきた」
ゆうこ「私はお前のその」
ゆうこ「着ぐるみを剥かずにはいられないんだ!」
ゆうこ「今こそ復讐してやる、覚悟しな」
ゆうこ「出でよ、我が刺客よ」
〇雪山の森の中
刺客「俺は旋律のリョー」
ゆうこ「リョーよ」
ゆうこ「奴の本当の姿を暴いてやれ!」
刺客「りょ(了解した)」
せいな「ピアノを奏でるようなナイフ裁きでイカを刺身にした!」
せいな「きゃあぁっ」
「せいな!」
たまお「いくぞ!」
あかね「パパと刺客の取り組みが始まったわ」
もふった!
もふったもふった!
刺客「うわぁ~もふもふ!」
もふった!
もふった
もふった、もふった!
刺客「へっへへっ良い腹してんじゃねーか!」
たまお「ぼくの皮下脂肪は最高だろう!」
刺客「うげっ・・・」
もふった、もふったもふった
もふった~~!!
「やった!パパが勝ったわ!!」
〇雪山の山荘
せいな「ゆうこお姉ちゃん」
せいな「私たち、これからも時々一緒に会わない?」
ゆうこ「私は・・・もうこの家の娘では無い」
ゆうこ「皆と仲良くするのは困難だろう」
せいな「そんなの関係無いわ」
せいな「私のお姉ちゃんだもん。今度一緒に遊ぼ」
せいな「ねっ」
たまお「ゆうこ、実は君の両親は」
たまお「子が出来無かった。だから僕たちは赤子の君を渡したんだ」
たまお「それでも・・・僕たちは君を片時も忘れた事は無いよ」
ゆうこ「そ・・・そうだったのか」
あかね「そんなパパの男らしいところに惚れたのよ」
あかね「ママは」
あかね「たとえゆうこが他の家族になっても愛しているわ」
ゆうこ「うっ・・・」
たまお「さあ、ぼくの懐においで!」
ゆうこ「・・・この」
ゆうこ「心のけだもの~!」
せいな「お姉ちゃん、帰っちゃったじゃない」
あかね「パパは相変わらず乙女心が私の解らないのね」
せいな「・・・で、結局」
せいな「パパは猫なのか着ぐるみなの?どっち!?」
たまおは
着ぐるみの姿をした猫
なのかよく解らない
せいな「曖昧にしてんじゃないわよ」
終わり
コメント欄を読むと読者の皆さんはネコのたまおに気を取られがちだけど、アンチエイジングの鬼のママのビジュアルも大概なもんですね。雪国生活なのに「焼きすぎて硬くなったスポンジケーキの質感」とか言われてるし。せいなもゆうこも普通の親子関係はサクッと諦めて、たくましく生きていってほしいなあ。
私もせいなちゃんと同様、お父さんは本当の猫なのだと思って読んでいたから、着ぐるみだろってゆうこが突っ込んだ時に、え、そうだったの!?と、私も突っ込まれた気分になりました😂
見た目が可愛すぎて、お父さんと言うよりゆるキャラに見えてしまうけど、ちゃんと娘たちのことを考える良いお父さんなんだなあと思いました!
パパが普通の男性の姿だったら、実際のストーリーが重く感じられるところですが、猫の着ぐるみであることでゆうこちゃんの怒りや嬉しさもいい感じに調和していました。