あの世管理委員会

ばしお

読切(脚本)

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〇結婚式場の廊下
  ──あの世──
韋駄天丸茂三「手続き中のみなさん。おはようございます。こんにちはです。こんばんはでございます。あの世自然管理委員会の韋駄天丸茂三です」
  紳士的な男が深々と一礼し続けて話出した。
韋駄天丸茂三「今回は「家族」をテーマにしたプレゼンテーションを行いたいと思います」
韋駄天丸茂三「お気軽に感想をお述べ下さい。では、さっそくお話していきましょう。 舞台は静岡県御殿場市のとある一家のお話です」
  そして舞台は静岡県御殿場の病院から始まる

〇田舎の病院の病室
  ──病院──
田中よしこ「あなた、元気な女の子よ」
  一人の女性が生まれたての元気な女の子を抱えながら語りかけた。
田中よしお「ありがとう。本当によく頑張ったね~ はなこ〜 パパでちゅよ〜」
  生まれる前から名前が田中はなこと決まっていた。
田中よしこ「ふふ、笑っているわ〜」
  それに答えるかのようにはなこは笑っていた
田中よしお「ゴン太もこれから、はなこのことをしっかり守ってやってくれよな!!」
  勢いよく一匹の犬が飛び込んできた。
ゴン太「ワン!!」
  月日は流れ・・・

〇おしゃれなリビングダイニング
  ──田中家──
はなこ「いってきまーす!!」
  あれから8年の月日がながれ女の子は順調に成長していた
田中よしこ「行ってらっしゃい。 早く帰って来るのよ」
はなこ「はーい!!」
  そう返事をすると嬉しそうに玄関へと駆け出していった。
田中よしこ「私は、ゴン太の散歩にでもいこうかしら、ゴン太散歩よ~」
  そういい目をやると元気のないゴン太の姿があった。
ゴン太「クゥ〜ン」
田中よしこ「最近元気が無いわね・・・ 動物病院に観てもらってもうそろそろだとおっしゃっていたし、はなこにも話さなくちゃね」
  ーTVー
  ニュースプライムの時間です。
  昨日、発生した連続誘拐事件の犯人が静岡県御殿場市に目撃されました。

〇おしゃれなリビングダイニング
  ──田中家(夕方)──
田中よしこ「そうですか、ありがとうございました。また見つかったらご連絡いただけますでしょうか。失礼します」
  そういい先程はなこが遊んでいた友人宅への電話を切った。
  バタン!!
田中よしお「はなこは見つからないのか!?」
  田中はドア開けたまま勢いよく駆け寄ってきた
田中よしこ「そうなの・・・友だちの家から出てもう2時間になるのにまだ帰って来ないのよ」
ゴン太「ワン!!」
田中よしお「あ、ゴン太外に出るな!!」
  田中の言葉をよそにゴン太は開けっ放しになっていたドアから外へと勢いよく飛び出した

〇広い公園
  ──公園──
はなこ「えーん、ここどこなの・・・」
一本杉首毛「お嬢ちゃん1人かい?」
  怪しい男がはなこに話しかけてきた
はなこ「おじさん誰?」
  一本杉首毛がはなこの手を掴んだ瞬間何物かが一本杉首毛の腕に飛びかかってきた
ゴン太「ワンワンワン!!」
一本杉首毛「ち、なんだこの犬!?」
田中よしお「一体どこ行ったんだ!?」
田中よしお「あれは!?」
  田中が目をやるとそこにははなことゴン太が必死に一本杉首毛の腕に噛み付いている姿があった。
一本杉首毛「いてて、いてて、この野郎!!」
田中よしお「はなこ大丈夫か!? お前は指名手配中の一本杉首毛!! 逮捕する!!」
一本杉首毛「なんで、警察がこんなところに!?」
  田中は自慢のバックドロップを一本杉首毛にお見舞いし手錠をかけた。
  そして・・・
  ー警察ー
  田中巡査部長、ありがとうございました。
  犯人の事情聴取のため私はこれで失礼します。
田中よしお「ああ、ありがとう。 よろしく頼む」
はなこ「えーん、ごめんなさい。 帰りに寄り道したらお家がわからなくなっちゃて」
田中よしこ「何はともあれあなたが無事でよかった。 ゴン太のおかげね!!」
田中よしお「そうだな!! ゴン太お手柄だぞ!! ありがとうな!!」
ゴン太「・・・」
  静かに横たわっているゴン太の姿があった。
田中よしお「ゴン太?」

〇病院の診察室
  ──動物病院──
田中よしこ「・・・そうですか ありがとうございました」
  そう一礼すると安らかに眠っているゴン太の姿があった。
はなこ「えーん。 ゴン太が、ゴン太が・・・」
田中よしこ「お医者さんももうそろそろだとおっしゃってて、はなこに中々言えなかったのごめんね」
田中よしお「ゴン太は俺との約束をしっかりと守ってくれたんだな。 はなこ、ゴン太にありがとうしようね」
はなこ「グス、 うん、ゴン太ありがとう!!」

〇結婚式場の廊下
  ──あの世──
韋駄天丸茂三「お疲れ様でした。 今回のプレゼンテーションは以上となります。アンケートを記入しご提出下さい。ご静聴ありがとうございました」
  ーあの世自然管理委員会ー
  今回の結果はどうだった?
韋駄天丸茂三「はい、「ゴン太かっこいい」、「ゴン太しかかたん」などの賞賛の声がほとんどでした」
  ーあの世自然管理委員会ー
  そうか、では今回議題の1年16日後の富士山噴火は102年後に見送りだな
韋駄天丸茂三「そうですね、今回の噴火で被害を受ける予定の家族ですからね」
韋駄天丸茂三「では富士山には後102年我慢するよう伝えてきます。因みにゴン太は家族が来るまで待つそうです」
  ーあの世自然管理委員会ー
  そうか、では転生手続きは見送りという形だな。
韋駄天丸茂三「はい、ここでの1年はあっと言う間なのですぐに家族と再開できるでしょう。あの世仲介管理委員会にも伝えておきます」
  ーあの世自然管理委員会ー
  ああ、ご苦労だった。今日はお前の愛犬パグ助権三の誕生日なんだろ早く帰ってやるといい
韋駄天丸茂三「はい、ではお言葉に甘えて帰らせていただきます。失礼致します」
  ーあの世自然管理委員会ー
  あれほど今回の富士山噴火に賛成だったあいつが急にプレゼンをするとは・・・
  ーあの世自然管理委員会ー
  ・・・まさか愛犬と名前が似てるから・・・
  ・・・まさかな・・・

コメント

  • 自然管理委員会の仕事ぶりが私情の入りまくった不自然管理だったことに笑ってしまいました。でも「ゴン太しかかたん」には納得。日本中の飼い主思いの犬たちが自然災害を防いで日本の未来を救うかもしれないですね。

  • ゴン太と家族の心温かい物語と、自然管理との因果関係があるとは……、この設定、とっても面白いです!御殿場を舞台にしたのも納得です!

  • あの世を楽しく想像することができました。こちらがわにいるうちはなかなか、アチラがわがよく見えたりしますが。ゴン太の活躍がこの家族を平和に導いていて感動しました。

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