読切(脚本)
〇無機質な扉
管理人「ようこそいらっしゃいました」
部屋に入るとスーツを着た女性が、
奥から出てきた
イツキ「あの・・・、 チラシを見て来たんですが・・・」
俺は数日前に投げ込まれた、
カラフルなチラシを女性に見せた
【高額報酬!!!】と赤い字で書かれたチラシを女性に見せると女性は少し微笑んで、
管理人「かしこまりました。 こちらへどうぞ」
女性は奥の扉を開いて中に招いた
〇カジノ
案内された部屋はカジノのような場所だった。
管理人「こちらへどうぞ」
指定された椅子に腰かけると女性は机の下から書類の束を出した。
管理人「本日は弊社の、求人にご来社いただきましてありがとございます」
イツキ「あ、いえ・・・」
管理人「弊社の【ファミリーポーカー】にご参加の意思かあるということで、よろしいでしょうか?」
イツキ「はい・・・」
大学を卒業し、就職できなかった俺は金がなかった
そんな時、ポストに投函されていたのがあのチラシだった
うさんくさいチラシだったが、1件30万からのバイトは非常に魅力的だった
管理人「かしこまりました。では、ご説明を、」
彼女はそう言って、書類をめくった
管理人「弊社の【ファミリーポーカー】では、【出張サービス】を行っていただきます」
イツキ「出張サービス?」
管理人「はい、ご依頼人のご家族になってその家庭の問題の解決、」
管理人「または、要望を叶えていただきます」
イツキ「・・・家事代行みたいなものですか?」
管理人「そのように考えていただいてかまいません」
相変わらず胡散臭いが、人身売買のようなものではないようだ
管理人「ここまではよろしいですか?」
俺はうなずいた
管理人「では、」
彼女はそう言うと、カードを4枚、机の上に並べた
管理人「ご依頼は、こちらのカードからランダムに選んでいただきます」
ただのトランプのように見える4枚のカードを見る
管理人「ご依頼を複数受けていただければ、その分報酬の額が上がります」
イツキ「これがポーカーということですか?」
彼女は微笑むだけで答える
管理人「もし、ご辞退されるようでしたら、カードを引かずにご退室ください」
管理人「ご承諾いただけるようでしたらカードを、」
俺は少し考えて手を伸ばした
イツキ(高額の報酬、家事は得意だし大丈夫だろう)
俺は、そう考えて1枚のカードを引いた
そこに書かれていたのは
イツキ「姉・・・?」
鵜元家「姉」という文字だった
〇一戸建て
スグル「ようこそ、イツキさん」
サヤカ「初めまして!よろしくお願いします!」
二人は明るく迎えてくれた
イツキ「よ、よろしくお願いします・・・」
女装された俺を・・・
〇オフィスの廊下
管理人「では、こちらへ」
カードを引いた俺は、別の部屋に案内されていた
イツキ「あの・・・姉って・・・」
管理人「はい、イツキ様には鵜元様のご家庭に姉として加わっていただきます」
特に表情も変わらず彼女は淡々と進めていく
イツキ「あの、変えることはできないんですか?」
そう尋ねると、彼女は少し頭を下げて
管理人「申し訳ありません。 公正をきすためのカードですので、変更はできかねます」
イツキ「でも姉って・・・」
管理人「性別に関してはこちらでなんとかいたします」
イツキ(なんとか?)
疑問に思ったが言う通りになるまま進めると、
イツキ「マジかよ・・・」
管理人「よくお似合いです」
管理人「鵜元様の家に行く際にはこの格好をお願いいたします」
有無を言える空気でもなく、あれよあれよと当日になった
〇一階の廊下
スグル「家にあるものは自由につかっていただいていいので、」
イツキ「あ、はい~・・・」
ふたりも特に疑問を持たずに受け入れてくれている
イツキ(特に気にしてないのか?)
考えていると女の子がこちらを見ている
イツキ「どうしたの?」
話しかけると彼女は笑って
サヤカ「お姉ちゃんが新しいお姉ちゃん?」
イツキ「そ、そうだよ」
イツキ(たぶん・・・)
サヤカ「やったぁ!遊ぼう!遊ぼう!」
無邪気にはしゃぐ彼女に慌てていると
スグル「よかった。サヤカも懐いたようで、」
お父さんの方もウェルカムな様子だった
スグル「すみません、仕事の内容としては、サヤカの面倒と家事をお願いします」
スグル「何かと家を空けることが多く、心配だったもので・・・」
イツキ(そんな子を男と二人にしてもいいのか・・・?)
イツキ「わ、わかりました」
こうして俺は【鵜元家】の【姉】としての生活が始まった
〇一階の廊下
サヤカ「お姉ちゃん!次はこれね!」
イツキ「はいはーい・・・」
サヤカちゃんと遊び始めて数時間が経った
イツキ(本当に遊んでるだけでいいのか?)
お父さんはすぐに仕事と言うことで出かけてしまった
イツキ(そろそろお昼か・・・)
時計を見るともうすぐ12時になるところだった
イツキ「ご飯つくろうか」
俺が声をかけると
サヤカ「うん!」
と元気よく返事をした。
キッチンに向かう途中ふと写真が目に留まった
そこにはサヤカちゃんとお父さん、もう一人女性が写っていた
イツキ(そういえば、お母さんって・・・)
そう思っているとサヤカちゃんが言った
サヤカ「お母さん、どっか出かけちゃったんだ!」
イツキ「え?」
サヤカちゃんは明るく言った
単なる家事代行やレンタル家族であれば、わざわざ女装させてまで姉にする必要はないし、高額報酬も謎ですよね。娘のサヤカが自然に接しているのも不気味な感じで。理由を知りたいと思ったところで終了。続きが読みたい!
さやかちゃんのお母さんもお姉ちゃんもどこに行っちゃったんでしょうか。そしてどうなればひとつの仕事が無事終了となるのかなど続きが気になります!