「私じゃなきゃ聞き逃しちゃうね」(脚本)
〇ファミリーレストランの店内
ハイゼーンZZ「お食事を、お持ちしましたニャン」
私「オロロロロ」
ハイゼーンZZ「お食事を、お持ちしましたニャン」
私「スピーカーの質が悪いし、ちょっと子供声出しているけど」
ハイゼーンZZ「まだ、お皿が残ってるニャン」
私「これ1000%、ショウ君の声だ!」
ショウ君こと、八王子ショウはデビューしたて絶賛売出中の声優。
かつ、今の私の最推し!
私「この前のイベントで、なんかのアナウンスボイス撮ったって言ってた・・・」
私「これか、これだわ、これだニャン」
ハイゼーンZZ「まだ、お皿が残ってるニャン」
私「はわわわ。 ショウ君が私にご飯持ってきてくれてる」
ハイゼーンZZ「はよ取れニャン」
私「ショウ君がイラついている! 私のせいで、ショウ君が心を乱している!!」
私「嬉しすぎるんだが!?」
ハイゼーンZZ「ボクの声が聞こえてニャイの?」
私「てかバリエーション多くない!?」
ハイゼーンZZ「お食事、楽しんでニャン」
私「オロロロ」
私「ショウ君、クール系イケメン枠を目指しているのに」
私「仕事選ばないのエラいよ!」
ハイゼーンZZ「これがボクの生き甲斐だニャン」
私「ショウ君の涙が見える気がする!」
私「それにしても、結構な種類のボイス収録しているんだなぁ」
私「ショウ君、5種類以上のボイス録ったことないって、この間もネタにして・・・」
私「いや違う!」
〇ラジオの収録ブース
八王子ショウ「この間、初めてってくらいの数の台詞録ったんですよー」
〇ファミリーレストランの店内
私「言ってた! ショウ君、言ってた!」
私「確か・・・全部で12種類!」
私「お祝いに12本ローソク立ててケーキ食べたもん」
ハイゼーンZZ「道を、開けてほしいんだニャン」
私「全部で12種類のボイス・・・」
ハイゼーンZZ「いらっしゃいませ。 お好きな席へどうぞだニャン」
私「今ので8だよ! とっくに自己新越え! 絶対これだ!!」
ハイゼーンZZ「仕事じゃなきゃ、こんなことしないニャン」
私「9! そしてショウ君、というか中の人の本音漏れすぎじゃない?」
ハイゼーンZZ「注文取るのがタブレット。運ばされるのがボクだニャン」
私「その台詞要る? いったい誰の心の声?」
ハイゼーンZZ「猫の手も借りたいニャン」
私「その想いから生まれたロボじゃないの!?」
私「あわわわ、ショウ君が働いてるように見えてきた」
私「推しがハンバーグプレート運んでる」
私「ん? ここまで聴いたのが・・・・・・11種類?」
ハイゼーンZZ「これがボクの生き甲斐だニャン」
私「やっぱりあと1つあるってこと、だよね」
ハイゼーンZZ「猫の手も借りたいニャン」
私「なんか、私の聴いたイラつかせボイスってレアだったのかな」
私「私以外に使ってるの聞かないんだけど」
私「普通の接客業ボイスと、接客業の本音ボイスみたいのはよく聴くけど」
私「あれかな? イラつかせみたいな、特殊条件系だな?」
私「えー、飲食店で? ホールで言いそうな台詞-?」
私「滅多にないシチュエーションってなんだ?」
ハイゼーンZZ「仕事じゃなきゃ、こんなことしないニャン」
私「あと1種・・・・・・」
ハイゼーンZZ「仕事じゃなきゃ──」
私「ショウ君もうやめて!」
私「ごめんね、ショウ君」
私「でも、望まぬ仕事に勤しむ姿なんて見てられなかった」
ハイゼーンZZ「・・・・・・」
ハイゼーンZZ「──ニャンてことだ」
私「危なかった」
私「真にショウ君を思う人じゃないと、聞けないボイスだったとは・・・」
私「・・・愛と悲しみのボイス回収率100%」
私「自分の気持ちを押し殺し、仕事に向き合うショウ君」
私「これからも、応援するニャン」
ハイゼーンZZ「仕事じゃなきゃ、こんなことしないニャン」
推しの声を認識→耳が幸せ→全ボイスコンプリートという、ソッチの女性の鏡と言える行動に笑ってしまいました。主人公さん、愛と業が深いですね
おそろしくバリエーションの多いセリフ。
俺でなきゃ聞き逃しちゃうね。
本気で会話したらあの女の命すらわけなく落とすだろう。