RN『錆びた風』

太陽を掴んでしまった男

RN『錆びた風』(脚本)

RN『錆びた風』

太陽を掴んでしまった男

今すぐ読む

RN『錆びた風』
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇田舎の学校
  高井高等学校──
  生徒たちが続々と登校している。
  その中に、イヤホンをしてニヤニヤしながら歩く吉岡清四郎の姿。
吉岡清四郎「くっくっく・・・」
  周りの生徒たちが怪訝な顔をして、清四郎と距離を取る。
  イヤホンからラジオの音声が漏れ聞こえる。
  ”続いてのコーナーは秘密。皆さんの秘密を送ってもらっています。えーラジオネーム『錆びた風』”
  "僕は嫌いな先生の授業を受けるときにスマホからモスキート音を流して、他の生徒もその先生を嫌うように仕向けています"
  "ハッハッハッハ、やり方が陰湿過ぎる
  まぁでも面白いから、エンジェルバッチあげましょう"
吉岡清四郎「くっくっく・・・」

〇まっすぐの廊下
  プリントの束を抱えながら歩いている清四郎。
  !!!!
  星崎里帆、桜井もも、朝霧真琴の3人が教室が出てくると、歩き去っていく。
吉岡清四郎「あれは・・・」
  チャイムが鳴る。
吉岡清四郎「おっと時間がやばい・・・」
  教室に入る清史郎。

〇教室
  教卓の上にプリントの束を置く清史郎。
吉岡清四郎「ふう、これで一仕事終わったぜ」
吉岡清四郎「ん?」
  机の上にキラッと光る物体がある。
  その机に近づく清史郎。
吉岡清四郎「これは・・・」
吉岡清四郎「さっきまでここにいたのは・・・ まさか・・・」

〇フェンスに囲われた屋上
  歩いてくる清史郎と三輪悟。
三輪悟「おい、こんなところまで呼び出して何の用だ?」
吉岡清四郎「これを見ろ」
  清史郎が差し出した手のひらの上には、
  エンジェルバッチ。
三輪悟「お前! 何でエンジェルバッチを?」
吉岡清四郎「空き教室で拾ったんだよ」
三輪悟「しかもよくよく見ると最新版だな 一体誰が・・・?」
吉岡清四郎「これを拾った教室に誰がいたと思う?」
三輪悟「・・・検討もつかないな」
吉岡清四郎「いたのは・・・三大女神だよ」
三輪悟「さ、三大女神だと!?」
吉岡清四郎「あぁ」
三輪悟「・・・ちょっと待て! お前・・・」
吉岡清四郎「気付いたか・・・」
三輪悟「三大女神のうちの誰かが『錆びた風』ってことか?」
吉岡清四郎「先々週発表された新エンジェルバッチ そして、それからバッチを獲得したのは『錆びた風』だけだ」
三輪悟「まさか・・・」
吉岡清四郎「俺は学校の事情には疎い 俺に三大女神のことを教えてほしい」
三輪悟「・・・分かった」

〇教室
  何者かが教室に入ってくる。
「・・・ない、・・・本当にない」

〇フェンスに囲われた屋上
三輪悟「まずは・・・」
三輪悟「星崎里帆だ」
吉岡清四郎「あぁ」
三輪悟「あの星崎ホテルグループの令嬢だ 性格は穏やかで、 誰にでも優しいって評判だ」
三輪悟「部活は特に入ってないはずで ただ、ピアノの腕は相当だって聞いたことはある」
三輪悟「まぁ典型的な良いとこのお嬢さんだな」
吉岡清四郎「ふむ 『錆びた風』の印象とはかけ離れてるな」
三輪悟「あぁ あの強烈な悪口や下ネタだからな」
吉岡清四郎「良いとこのお嬢さんに書けるとは思えんな」
三輪悟「だな・・・」
吉岡清四郎「とりあえず次だ」
三輪悟「次は・・・」
三輪悟「桜井ももだ」
三輪悟「彼女といえば陸上部のエースで、 全国大会の常連だ」
三輪悟「性格的には裏表がなくて、 言いたいことははっきり言うタイプらしい」
三輪悟「それが女子生徒、男子生徒から偏りなく支持を集める要因になってるらしい」
吉岡清四郎「なるほどな」
吉岡清四郎「こっちもこっちで 『錆びた風』の印象とはかけ離れてるな」
三輪悟「そうだな」
吉岡清四郎「『錆びた風』から感じる陰鬱さがない」
三輪悟「ただメンタリティ的には星崎より遥かに『錆びた風』に近い気がするな」
吉岡清四郎「うむ、確かに・・・」
三輪悟「ただ彼女は毎日部活をしてる あの精緻なメールを書く時間があるかは疑問が残るな」
吉岡清四郎「なるほど・・・」
三輪悟「最後にいくか?」
吉岡清四郎「あぁ」
三輪悟「最後は・・・」
三輪悟「朝霧真琴だ」
三輪悟「彼女に関しては 正直言うとほとんど情報がない」
三輪悟「他の生徒達もそうなんだろうが そのミステリアスな部分が彼女の一番の魅力になっているみたいだな」
三輪悟「部活は入っていないようだが 星崎里帆のように部活外で何かやっているという噂もある」
三輪悟「というように 朝霧に関してはとにかく謎が多いんだ」
吉岡清四郎「ふむ 正直一番『錆びた風』に近いと思ったな」
三輪悟「印象がはっきりしない分そうなるか」
吉岡清四郎「うーん・・・」
三輪悟「メールを書く時間という観点で言うと 星崎」
吉岡清四郎「あのメールを書けるようなメンタリティを持っていそうな桜井」
三輪悟「その両方を兼ね備えている可能性が高い 朝霧か・・・」
吉岡清四郎「・・・」
三輪悟「・・・」
吉岡清四郎「結局分からずじまいか・・・」
三輪悟「・・・そのバッチどうするつもりだ?」
吉岡清四郎「今日のうちに元の場所に戻しておくさ」
三輪悟「見張っていれば 誰か取りに来るかもしれないぞ」
吉岡清四郎「そこまでして正体を暴こうとは思わない」
三輪悟「そうだな・・・」
吉岡清四郎「帰るか・・・」
三輪悟「あぁ・・・」

〇教室
  里帆の手のひらの上には
  エンジェルバッチ。
星崎里帆「昨日はなかったのに・・・ よかった〜」
桜井もも「本当になかったの? 見逃してただけなんじゃないの?」
星崎里帆「本当の本当になかったの!」
朝霧真琴「まぁまぁ 見つかったのなら良かったじゃない」
星崎里帆「そうだそうだ!」
桜井もも「まぁ私はなくなっても全然良かったけどね」
星崎里帆「え〜!」
朝霧真琴「正直私も」
星崎里帆「え〜!! 2人とも何でそんなこと言うの?」
桜井もも「だって・・・」
朝霧真琴「私たち3人が力を合わせれば エンジェルバッチをまたもらうなんて楽勝じゃない?」
星崎里帆「真琴〜! もも〜!」
  笑い合う3人。

コメント

  • こういうギャップはたまりませんね!3人のうちの誰かじゃなくて3人ともだったなんて!こういう裏の顔を共有できちゃう友情こそ本物ですね♪今は遠いところに住んでいる親友に会いたくなりましたよ。私に、親友しか知らない裏の顔があるかどうかは秘密。

  • まったくありえない人ほど…っていう感じですね。
    まさかの3人ともだったとは!
    誰かな?と思いながら読んでいたので、オチにびっくりしました!

  • 一体誰が!と正体を暴いていく方向に向かうかと思いきやまさかのどんでん返しにやられました。それぞれ個性的で面白かったです。個人的に清史郎の詳細が知りたくなりました。

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ