満員電車コンサルタント

Too Funk To Die

満員電車コンサルタント・押合ゆらり、参上!(脚本)

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〇駅のホーム
  満員電車って美しいと思いませんか?

〇電車の座席
  乗客それぞれに、それぞれの人生がある

〇電車の座席
  この人波に揉まれながら仕事に行く──

〇駅のホーム
押合ゆらり「これこそが社会に生きているという証左だと、私は思うのです!」
京子(何言ってるのか全然わからん)
  絶対に遅刻できない、月曜日の朝。
  新社会人の私は、「満員電車コンサルタント」と名乗る、変な人に絡まれていた──

〇電車の座席
  ──時間は少し巻き戻り
  A.M.7:00
  山ノ手線 内回り
京子(うう、満員電車狭い)
京子(毎朝毎朝やだよぉ・・)
サラリーマン「は、ふぁ・・」
京子「ん?」
サラリーマン「ぶえっくしょおーいっ!!」
京子「ぎゃあー!!」
サラリーマン「ふー、すっきり」
京子「何するんですか!?汚いなぁ!!」
若い男性「おい、うっせーよ」
京子「ひゃいっ!?」
若い男性「俺の貴重な睡眠時間奪うんじゃねーよ」
京子「ご、ごめんなさい・・」
京子(なんで私が怒られるの・・?)

〇駅のホーム

〇駅のホーム
京子「・・サイアク過ぎて、途中で降りてしまった」
京子「これじゃ、会社に着く前に体力使い果たすわ!」

〇黒
???「そのお悩み、私にお任せいただけませんか?」

〇駅のホーム
京子「誰!?」
押合ゆらり「どーも!私、こんな者です」
京子「満員電車コンサルタント、押合ゆらり・・?」
押合ゆらり「・・最近こんな言葉をよく聞きませんか?」
押合ゆらり「「オフピーク通勤」「満員電車ゼロ」「働き方改革」」
京子「あ、聞いたことある!もしかして、満員電車を緩和するために・・?」
押合ゆらり「実に嘆かわしい!!」
京子「え?」
押合ゆらり「満員電車は楽しい!満員電車があるから社会生活が充実する!!」
京子「え、ええ?」
押合ゆらり「そうした想いから活動しているのが、私たち満員電車コンサルタントなのです!」
京子「初っ端から考えが相いれねー・・」
押合ゆらり「聞けば、まだ満員電車をエンジョイできていないご様子」
押合ゆらり「私にお任せいただければ、めくるめく満員電車の世界を今すぐお楽しみいただけますよ!」
京子(丁重にお断りしたい・・)

〇電車の中
京子「で、言われるがまま、また満員電車に乗せられたけど・・」
京子「一体あいつ、何を・・?」
  ──ガタンッ!!
京子「きゃあっ!?」

〇黒

〇電車の中
京子「いったぁ・・」
イケメソ「大丈夫?」
京子「えっ?」
京子(な、なんか私好みのイケメンが話しかけてくれた・・?)
イケメソ「この辺りはよく揺れるから、危ないよ」
イケメソ「さあ、僕の腕に掴まって」
京子「あ、ありがとう、ございます・・」
押合ゆらり「ふっふっふ、狙い通り!」
押合ゆらり「これこそ私のコンサルその①──」
押合ゆらり「『満員から始まるラブロマンス!恋の特急列車、通過待ったなし!』です!!」
京子「すると、このイケメンは・・?」
イケメソ「もちろん仕込みさ!」
京子「貼りついた笑顔で言うんじゃねーよ」
押合ゆらり「せっかくですから、あなただけの恋愛特急をお楽しみくださーい!」
京子「ネタバラシされたら冷めるだろ・・」
  サワサワ
京子「ん?」
  サワサワサワ
京子「なんか・・お尻に変な感触が・・」
???「お嬢ちゃん楽しそうだねえ」
すけべジジイ「おいらたちも混ぜてよw」
京子「な、何このジジイたち!?」
京子「これも仕込み!?」
押合ゆらり「いえ、彼らは・・お二人の熱気に集まってきた痴漢のようですね」
押合ゆらり「一度に三人もの痴漢が集まるなんて、興味深い!」
京子「私は樹液を塗っといた木か!」
すけべジジイ「いいケツしてんなぁ〜」
京子「こ、来ないで!!」
すけべジジイ「うがっ!?」
京子「と、とにかく一旦降りなきゃ!」

〇駅のホーム
京子「な・・なんなの一体・・」
押合ゆらり「いやー、スリリングな満員電車でしたね!」
京子「スリリングすぎるわ!」
京子「これなら普通の満員電車の方がマシだよ!!」
押合ゆらり「まあ確かに、あれはあれで楽しいですよね!」
押合ゆらり「皆で鮨詰めにされると「一人じゃないんだ」って思えますよね!」
京子「満員電車ってドMしか乗ってないの?」
押合ゆらり「さて、せっかくですから、他のコースも体験してみませんか?」
京子「メンタル強いなぁ・・」

〇電車の座席
京子(で、また乗ってしまったけど・・)
京子(今度はなに・・?)

〇黒

〇電車の座席
京子「えっ!?ど、どうしたんですか!?」
京子「何この包丁?血がべったり・・」
OLさん「人殺しよー!!」
京子「ひ、人殺し!?どこに!?」
「・・・・・・」
京子「ひょっとして、私のこと・・?」
押合ゆらり「さあ困りましたねー!どうしましょう!?」
京子「コンサルさん、助けて!!私、殺人なんて・・」
押合ゆらり「走行中の満員電車って、完全なる密室なんですよ」
京子「はっ?」
押合ゆらり「その中で事件が起これば、それはもう密室殺人!」
押合ゆらり「これってサイコーに面白くないですか!?」
京子「ま、まさかこれ、アンタの仕業!?」
押合ゆらり「はい!私からのコンサルその②──」
押合ゆらり「満員電車で起こる密室殺人を解決する、『リアル脱出ゲーム』コースです!!」
京子「誰がやるか、そんなのー!!」

〇駅のホーム
押合ゆらり「もー、せっかく一生懸命考えたのに・・」
京子「別に頼んでないから!」
京子「私もう行くからね!!」
押合ゆらり「行くって、どちらに?」
京子「どこって、次の電車に決まって・・・あれ?」
  『渋谷〜渋谷〜
  お降りの方は足下に〜』
京子「・・・いつの間にか、着いてる!」
押合ゆらり「ね、こうしていたらあっという間に着いたでしょ?」
押合ゆらり「楽しい満員電車を過ごせば、通勤時間が短く感じる」
押合ゆらり「これが私のコンサルなのです!」
京子「確かにこれはすごいかも!」
京子「痴漢に遭ったり人殺しにされかけたことは忘れてねーけどな!!」
押合ゆらり「もしお気に召されましたら、またご連絡ください」
押合ゆらり「毎月1万円からの定額制サービスもありますから!」
京子「満員電車もサブスクの時代か・・」

〇渋谷のスクランブル交差点
  こうして、私の初・満員電車コンサルは終わった。
  大っ嫌いだった満員電車も、なんだか悪くないかなって思えたんだ。
  でも多分、2度と頼むことはないと思う。
  だって──

〇オフィスのフロア
  どうも、コンサルを受けている間に山ノ手線を何周もしていたらしく──
部長「日が落ちた後に出勤とは、いい度胸じゃあないか・・なぁ?」
京子「申し訳ありません、部長・・・」
  大遅刻してめちくちゃ怒られたのだった。
  おしまい

コメント

  • パーソナルスペースゼロの満員電車…逆に楽しんでしまおうとの発想には驚きですね。序盤の主人公の「何いってんだコイツ」みたいな態度に思いっきり感情移入してました。畳み掛けるイケメソと流血の展開に笑わせて頂きました😂😂

  • 長編終了以来、TooFunkさんのコメディ久々に読めました。やはりテンポがよくて楽しいです。このトリコンイラストで電車の話作られてる方見かけたので、割と想起しやすいのかもしれません。きっとあと数車両分ストーリーが用意されて文字数でカットされたのではないかと思いました。見たかったです。

  • 満員電車のコンサルって…そういうことかーい😂とツッコんでしまいました(笑)
    たしかにこの子、車掌さんにも見える…!!
    さすがの面白さでした😂

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