ダーク・ボール~狂気のGM~

YO-SUKE

第七話「10月、グランプリファイナルシリーズ(後編)」(脚本)

ダーク・ボール~狂気のGM~

YO-SUKE

今すぐ読む

ダーク・ボール~狂気のGM~
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇シックなリビング
  警察が現場検証をしている中、
  清宮が刑事の犬伏から事情聴取を
  受けている。
犬伏「犯人の要求でもありますし、 清宮選手はファイナルシリーズに 集中して頂ければと思っています」
犬伏「奥様は必ず助け出しますから」
清宮泰助(相手は花ケ崎なんだ。 どんな手段に出るか わかったもんじゃない・・・!)
犬伏「清宮選手・・・?」
清宮泰助「す、すみません。 どうか妻のことをよろしくお願いします」

〇野外球場
  準備運動をしている清宮。
清宮泰助(結局、あれから花ケ崎は見つからないまま 初戦を迎えてしまった・・・ こうしている間にも由芽は──)
監督「清宮。顔色悪いが、大丈夫か?」
清宮泰助「だ、大丈夫です」
監督「奥さんのことは、 本当にチームに隠したままで行くのか?」
清宮泰助「当然です。個人的な事情で 迷惑をかけるわけにはいきませんから」
監督「わかった。これ以上は何も言わんよ」
清宮泰助「勝ちます・・・必ず」

〇野外球場
  大歓声の中で試合が行われている。
  守備位置に付き、
  祈るような顔をしている清宮。
清宮泰助(頼む・・・あと一人。 なんとか抑えてくれ・・・!)
  ピッチャーが渾身のストレートを
  投げ込むと、バッターがスイングをして
  ボールが清宮の横に飛ぶ。
清宮泰助(くっ・・・届け!)
  ダイビングキャッチをして、
  ボールを捕らえる清宮。

〇更衣室
  快勝して浮かれている選手たち。
若手選手A「相手チームの監督見たか? 面食らってたぞ」
若手選手B「ああ。明日の新聞の見出しは、 大番狂わせだな!」
  一人だけ強張った顔で着替えている
  清宮のもとに、若手選手が近づく。
若手選手A「キャプテン! お疲れ様でした!」
清宮泰助「あ、ああ」
若手選手B「いやぁ~、初戦からキャプテンの猛打賞! 痺れました!」
清宮泰助「・・・・・・」
若手選手A「この勢いなら四連勝だって行けますよ! もう優勝も同然──」
  清宮は怒ってバンッとロッカーを閉める。
若手選手A「え? あ、あの──」
清宮泰助「浮かれるな。たかが一勝しただけだ」
若手選手A「すみません・・・」
清宮泰助「4勝しなければ意味がないんだよ!」
  清宮の怒鳴り声に
  その場にいた選手たちが委縮する。
清宮泰助(3勝。あと3勝だ・・・!)

〇黒背景
  だがその後、ライナーズとバーズは
  互角の接戦を繰り広げた
  6試合終了時点で、互いに3勝3敗。
  そして勝敗は最終戦にもつれ込んだ

〇警察署の入口

〇大会議室
  捜査本部
  犬伏や刑事が集まっている。
  そこに入って来る、
  頬がこけて鬼気迫る顔の清宮。
清宮泰助「警察は何をやってるんですか!? まだ妻も花ケ崎も見つからないんですか!」
犬伏「・・・すみません」
清宮泰助「ご存じですよね? 3勝3敗で今夜が 最後です。もう後がないんですよ。 もし負けるようなことがあれば──」
犬伏「必ず見つけてみせます」
清宮泰助「花ケ崎はそんなに甘くない!」
犬伏「清宮選手・・・」
清宮泰助「試合が終わるまでに妻を見つけて安否を 教えてください。お願いします・・・」
  フラフラになりながら、
  試合に向かっていく清宮。

〇野外球場
  バッターサークルで歯ぎしりしながら
  試合を見つめている清宮。
清宮泰助(回せ・・・! 俺に打順を!)
実況「いよいよファイナルステージも大詰めです」
実況「最終回の攻撃、2点のビハインドを 追いかけるライナーズS。 2アウトからランナーが2人出ました」
実況「ライナーズとしては、 このシリーズで当たっている清宮まで なんとか打順を回したいところです」
清宮泰助(頼む・・・! もう後がない! 頼むから繋いでくれ!)
  だが、
  バッターがフライを打ち上げてしまう。
清宮泰助「ああっ!!!」
実況「打ち上げてしまったぁ! ライナーズ万事休すか!」
  ライトの選手がボールを落とす。
実況「あーーー! エラーだ! ここでチーム・バーズに 痛恨のエラーが生まれた!」
清宮泰助「た、助かった・・・!」
実況「さあこれで試合がわからなくなりました! 二点差ながら、一打同点の場面」
実況「このシリーズ絶好調の 清宮選手に打順が回ってきた!」
  バッターボックスに向かう清宮。
清宮泰助(打つ・・・何がなんでも、 命に代えてもランナーを返す・・・!)
  バットを構える。
  ピッチャーがボールを投げると、
  外角低めにストライクが入る。
審判「ストライク!」
実況「ピッチャー、 素晴らしいコントロールです。 清宮選手、手が出ない!」
清宮泰助(一振りだ! 一振りで決める・・・!)
  ピッチャーがボールを投げると、
  変化球が内角高めに決まる。
審判「ストライク!」
  ピクリと身体を動かすが、
  バットを出さない清宮。
実況「簡単に追い込まれた清宮選手! もう後がありません!」
清宮泰助(打つ・・・打つ打つ打つ!!)
  バットをきつく握る。
  その時、フェンス向こうの応援席に、
  花ケ崎の顔が見える。
清宮泰助「なっ・・・!」
花ケ崎健治「・・・・・・」
清宮泰助(花ケ崎ぃぃ!! なんでここにいるんだ!)
  動揺して辺りを見回す。
  だが誰も花ケ崎に気づいていない。
  花ケ崎は不気味に笑って口を動かす。
花ケ崎健治「打て」
清宮泰助「!」
花ケ崎健治「打って試合を決めろ」
清宮泰助「・・・っ!」
  清宮は行きかけるが、バッターボックスの
  中に踏みとどまりバッドを構える。
清宮泰助(くそったれ! 絶対に打ってやる!)
  ピッチャーが渾身のストレートを投げる。
  すると清宮のバットが唸りを上げて
  振りぬかれる。
  大歓声と共に、白球が空に舞う。
実況「打ったぁ~! 大きい、大きい! 入るか・・・入った~!」
実況「9回裏、まさかのグランドスラム! サヨナラ満塁ホームランが飛び出した!!!」

〇野外球場
  ホームに戻ってくると、チームメイトたちに揉みくちゃにされる清宮。
監督「よくやった・・・!」
清宮泰助「監督! いま観客席にGMが──」
監督「落ち着け。朗報だ。 奥さんが無事に見つかったぞ!」
清宮泰助「!」

〇警察署の入口

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

成分キーワード

ページTOPへ