読切(脚本)
〇黒背景
碧「僕は親友に嘘を付いている。親友だからこそ、嘘を付いているのだ」
碧「この友情を続けるために。この絆を途切れさせないように・・・」
〇広い公園
碧「痛てて・・・」
日向「おーっす、碧! お待たせ―って、どうしたんだよ、そのアザ!」
碧「ああ、日向。なんでもないよ。いつものことだから」
日向「また、イジメかよ! マジでイラつくな! 今度、俺がそいつ、ボコボコにしてやるよ!」
碧「いや、いいんだよ、別に。あんなのに関わってる時間の方が勿体ないって」
日向「まったく、碧は人がいいっていうか、お人よしっていうかさ」
日向「そんなんじゃ、いつまでたってもイジメから抜け出せないぞ」
碧「ははは。僕、平和主義だから」
日向「にしても、碧が体育で活躍するのが生意気って意味わかんねー。単なるやっかみじゃねーかよ」
碧「いやあ、僕が全力を出すのが悪いんだよ。ちょっと手を抜いて、負ければよかったんだけどね」
日向「お前、すごい大人びてるな。・・・ホントに小学生か? まさか、変な薬を飲んだ、高校生じゃねーだろうな?」
碧「違うって。ちゃんと頭も子供だよ。それに、勝負ってなったら本気になっちゃうから、まだまだ子供なんだと思う」
日向「いやいや、その発言がすでに大人っぽいって」
碧「それにしても、日向、今日は遅かったね」
日向「ん? ああ、今日は学校終わった後、ピアノのレッスンだったからさ」
碧「あ、そっか。日向、ピアノ習ってたんだっけ?」
日向「ああ。親がやれってうるさくってさ」
碧「へー。親に言われて習ってるんだ?」
日向「なんかピアノをやれば、少しは・・・・・・あっ」
碧「ん? どうかした?」
日向「いや、なんでもないなんでもない!」
日向「なんか、母さんが、昔、ピアノをやってたみたいでさ。それで俺にも進めてきたってわけ」
碧「ふーん。でも、よっぽど日向の方が大人だよね」
日向「なんで?」
碧「普通さ、興味ないものを、親の勧めだからってやらなくない?」
日向「まあ、これくらいはな。それ以外は結構、我儘きいてもらってるし」
碧「あははは。やっぱり、日向も大人っぽいよ」
日向「そうかな?」
碧「うん。クラスの男子とかヤバいくらい、子供だよ。本当に同じ年かって思うくらい」
日向「あー、わかる。あれはヤバいよな」
碧「よく、あんな下品なことで盛り上がれるよね」
日向「笑いのツボが謎だよな」
碧「かといってさー、クラスのおん・・・」
日向「ん? どした?」
碧「ううん。なんでもない。話が合うのって日向だけだなーって思ってさ」
日向「俺もだよ。クラスじゃなんか、浮いててさー」
碧「うん。僕も同じ。だから、いっつも早く学校終わらないかなーってばっかり考えてる」
日向「学校、楽しくないよな」
碧「・・・中学生になったら、変わるのかな?」
日向「ん? クラスで浮くってところか?」
碧「うん。そこもあるけど・・・。日向がクラスに友達ができるのかなって」
日向「なんだよ、その言い方。俺に友達が出来たら嫌ってことか?」
碧「あ、いや、そうじゃなくて・・・。ううん。そうじゃないのかも」
碧「日向に友達ができたらさ、こうして僕と遊ぶこともなくなるのかなって思って・・・。ちょっと怖いんだ」
日向「あのなー。怖いのはお前だけだと思うなよ」
碧「え?」
日向「俺も思ってたよ。こうやって碧と遊べるのも小学校までかなって」
碧「そんなことないよ! 僕はずっと、日向と友達でいたいって思ってる」
日向「俺だって・・・そう思ってるよ」
碧「でも・・・難しいのかな・・・」
日向「・・・・・・」
碧「僕さ・・・思うんだ。ずーっと、このまま小学生のままでいられないかなって」
日向「・・・そうだな」
碧「ネバーランドに行きたいなぁ」
日向「ピーターパン症候群になるのが限界だよな」
碧「ぷっ! それだと単に痛い人だよ」
日向「あはは。そうだな」
碧「やっぱり、現実は残酷だよね。希望も奇跡もないもん」
日向「いや、もう奇跡は起こってると思うぞ」
碧「え? ホント?」
日向「俺は、お前に会えたことが奇跡って思ってる」
碧「・・・日向」
日向「・・・・・・」
碧「・・・ぷっ! なに、それ? クサイセリフ! プロポーズかと思っちゃった」
日向「う、うるさいな! 俺も言ってみて、恥ずかしかったよ!」
碧「でも、本当に奇跡かもね。違う学校なのに、こうやって、出会えて、毎日遊んでるんだもん」
日向「だよなー。今まで学校でも、家の周りでも、碧くらい気が合うやつはいなかったからな」
碧「僕もだよ・・・」
日向「家の中でもさ、なんか気を遣うっていうか、意識を変えないといけないっていうか、とにかく疲れるんだよな」
日向「自然にいられるのは碧の前くらいだよ」
碧「僕もだよ」
日向「だから、俺は、ずっと碧と友達でいたい。・・・この先も、ずっと・・・」
碧「うん・・・」
日向「・・・・・・」
碧「ねえ、日向。男女の友情ってあると思う?」
日向「なんだ? 急に? お前、好きな人でもできたのか?」
碧「あ、いや、そうじゃなくてさ。よく言うからさ。男女の友情なんてありえないって」
日向「うーん・・・。男女の仲って、恋愛が入るから、友情はないって話だろ?」
日向「でも、俺・・・正直、恋愛とかまだ興味ないからわからないな」
碧「そうだよね・・・。実は僕もなんだ」
日向「あって欲しいよな」
碧「え?」
日向「男女の友情」
碧「そ、そうだよね! あるよね!」
日向「きっとあるさ」
碧「・・・あ、あのね。僕、さ」
日向「なんだ?」
碧「う、ううん。なんでもない」
日向「えー、なんだよ、それ! 気になるじゃん。言えよ」
碧「やっぱり、秘密―」
日向「ちぇっ!」
碧「いつか、言うよ」
日向「絶対だぞ」
碧「うん・・・絶対」
〇黒背景
碧(こうして、日向との友情は小学校を卒業するまで続いた。その頃には、いつの間にか日向の前でしか、僕と言わなくなった)
碧(結局、日向に付いていた嘘を告白せずに終わってしまった。・・・そして、私は中学生になり、当然だけど、中学校に行くことになる)
〇広い公園
日向「あっ!」
碧「あっ!」
日向「ちょ、その制服・・・。お前、女だったのか!」
碧「いやいや、日向こそ!」
日向「ぷっ!」
碧「ふふっ!」
日向「あはははははははは!」
碧「あはははははははは!」
碧(結局、男女間の友情があるのかはわからなかったけど、今でも日向との友情は続いている)
終わり。
結末よんでよかったなーが、正直な感想。
女の子でも一時期ぼくと言ったりする子もいる。現に私がそうだった。
成長しても友情が続くとよいいいな。
なるほど、なるほどなんだけど、終わってみたらそうだったのかのなるほどです!
確かに小学校の頃よく遊んでいた友達も、中学生になったら遊ばなくなったなぁとか、ふと思い出しました。