〇薄暗い谷底

〇神殿の門

〇地下の部屋
「クソッ!!」
タリス「クソッ、クソッ、クソッ!!」
タリス「何なんだよ、アイツら!!」
タリス「な～にが、魔法少女だっ!!」
タリス「アイツらのせいで、こっちは飯を食いっぱぐれたっつーの!!」
タリス「大人には怒られるしよぉ・・・」
タリス「アイツらが出てきてから、ろくなことがないぜ・・・」
タリス「ヒーローの兄ちゃん達の方が、こっちが子供な分やりやすかったのによぉ・・・」
タリス「・・・聞いてるのか、海音!!」
海音(うみね)「・・・・・・・・・」
海音(うみね)「お腹、空いた・・・」
タリス「聞いてねぇのかよ。いや、俺も腹は減ってるけどさ・・・」
タリス「・・・ごめんな、俺のせいで飯の量も減ってるんだろ？」
海音(うみね)「大丈夫、気にしないで」
タリス「そう言うわけにはいかねぇよ！」
タリス「俺はいずれ幹部になるんだ！」
タリス「そうだよ、あんな奴らには負けてられないんだ・・・！」
タリス「そうと決まったらさっさと寝るか！寝る子は育つって言うもんな！」
タリス「待ってろよ、海音！すぐに腹一杯飯食わせてやるからな！」
海音(うみね)「・・・うん！」
タリス「じゃ、お休み！」
海音(うみね)「・・・」
海音(うみね)「・・・・・・・・・」
海音(うみね)「魔法少女・・・コスモ・プリズム・・・」
海音(うみね)「タリス虐める、許さないの・・・」

〇ビルの地下通路
「舞桜さんっ！舞桜さんでっしゃろか!?」
青海舞桜(おうみまお)「はい？」
弁田一郎(べんだいちろう)「いやぁ、おひさしゅうですな！ワシですがな！」
青海舞桜(おうみまお)「・・・えーっと・・・何処かでお会いしているかしら？」
弁田一郎(べんだいちろう)「そんな薄情な・・・あんさんの恋のキューピッドでやんすよ？ワシ・・・」
青海舞桜(おうみまお)「キューピッド・・・？」
弁田一郎(べんだいちろう)「仕方ないですなぁ、しゃーない、一瞬だけだすよ？こっちの影の方で・・・」
モブ敵①「ラ・・・ベェンダァァァ・・・」
弁田一郎(べんだいちろう)「・・・どうですん？わかりました？」
青海舞桜(おうみまお)「ベンダァ一号!!」
弁田一郎(べんだいちろう)「今は弁田一郎と名乗らせて貰ってます！」
青海舞桜(おうみまお)「やだ、久しぶりね！」
青海舞桜(おうみまお)「私には頼らず人として生きてみる～って言ってから音沙汰が無かったから、どうしたのかと思っていたわ・・・」
弁田一郎(べんだいちろう)「あちこち放浪してた所を、あんさんの旦那に声をかけられたんどす！」
弁田一郎(べんだいちろう)「スパイ活動にヒーロー兵器の実験台、ここで何でもやらせてもらっとるき！」
青海舞桜(おうみまお)「あら、あの人そんなこと一言も言ってなかったわ・・・」
青海舞桜(おうみまお)「私が心配してたの知ってるんだから、教えてくれても良かったのに・・・」
弁田一郎(べんだいちろう)「繋がりがあることを知られたくなかったんでしょうな！」
弁田一郎(べんだいちろう)「クールに見えて愛情深い、いい旦那様だと思いますぜ！」
青海舞桜(おうみまお)「流石ベンダァ・・・いえ、弁田・・・さん？だっけ？分かってるじゃない！」
弁田一郎(べんだいちろう)「そうですやろ！伊達にキューピッド役じゃあらんねんで！」
青海舞桜(おうみまお)「・・・それにしても、酷い言葉遣いね？なんかこう、ごちゃごちゃよ？」
弁田一郎(べんだいちろう)「そうだべか!?まぁ、あちこち走り回ってる故、色んな方言が混ざっとるかもしれんが・・・」
弁田一郎(べんだいちろう)「まっ、細かいことは気にしなさんな！」
弁田一郎(べんだいちろう)「ここで会えたのも何かの縁、またよろしくたのみ申す！」
青海舞桜(おうみまお)「えぇ、よろしくね！」

〇教室
「今日は皆に転校生を紹介するぞ！」
天杜水音(あまとすいね)「・・・」
「えー、天杜水音さんだ。みんな、仲良くするようにな！」
天杜水音(あまとすいね)「よろしくお願いします」
「席は・・・えーっと、青海の隣だな！」
青海光李(おうみひかり)「はいっ！」
青海光李(おうみひかり)「よろしくね、天杜さん！」
天杜水音(あまとすいね)「うん、よろしくね」
天杜水音(あまとすいね)「・・・青海さん」

〇川に架かる橋
青海光李(おうみひかり)「じゃあ、天杜さんはお兄ちゃんが居るんだ？」
天杜水音(あまとすいね)「うん。学校は違うんだけど」
青海光李(おうみひかり)「いいなぁ～、お兄ちゃん！私一人っ子だから憧れちゃう！」
天杜水音(あまとすいね)「口うるさいだけだよ～」
青海光李(おうみひかり)「それだけ心配してくれるって事だよ～」
天杜水音(あまとすいね)「心配・・・確かにそうかも」
天杜水音(あまとすいね)「お兄ちゃんは、何時も私を気にかけてくれる・・・」
天杜水音(あまとすいね)「そのせいで無茶をするから、心配何だけど・・・」
青海光李(おうみひかり)「天杜さんも、お兄ちゃんのこと好きなんだね」
天杜水音(あまとすいね)「・・・うん、大好き！」
天杜水音(あまとすいね)「あ、私の家、こっちなんだ」
青海光李(おうみひかり)「そうなんだね、道は大丈夫？」
天杜水音(あまとすいね)「うん。じゃあまた明日！」
青海光李(おうみひかり)「うん、また明日ね、天杜さん！」

〇通学路
「水音！」
天杜水音(あまとすいね)「・・・様」
天杜宵子(あまとよいこ)「こら！今はあんたのお母さんなんだから、ちゃんとそう呼びなさい」
天杜水音(あまとすいね)「あ、すいません」
天杜宵子(あまとよいこ)「うーん、その謝り方もよそよそしいわね・・・」
天杜水音(あまとすいね)「・・・ごめんなさい」
天杜宵子(あまとよいこ)「まっ、そのうち慣れるでしょ！」
天杜宵子(あまとよいこ)「あの娘とも上手いことやれそうだし・・・」
天杜宵子(あまとよいこ)「タリスだっけ？あの子の力になるんでしょ？ふふ・・・しっかりやるのよ！」
天杜水音(あまとすいね)「・・・はい！」
天杜宵子(あまとよいこ)「青海光李・・・そして、青海舞桜・・・」
天杜宵子(あまとよいこ)「ふふ、楽しみね！」
天杜宵子(あまとよいこ)「組織を裏切った事・・・私を裏切った事・・・後悔させてやるんだから・・・」

〇住宅街の公園
「君、コスモちゃんだよね？」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「はい？」
「ぼっ、ぼく、コスモちゃんのファンなんだ・・・!!あっ、握手して貰ってもいいかな・・・!?」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「あの。すみません・・・そう言うことは政府から禁止されていて・・・」
「なっ、なんだよ!!少し位いいだろ!!?」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「ひゃっ！」
「おっ、俺はコスモのグッズも沢山買ってるんだぞ!!」
「お前なんか、俺が応援してやらなかったらプリズムに負けてるんだからな!!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「そんな、こと・・・言われても・・・」
「そんなことって何だよ、あぁっ！ !?」
「何で黙ってるんだよ何か言えよ!!?」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「ふぇ・・・誰か・・・」
「君の方こそ黙るべきだな？」
「あぁ!?」
「大丈夫かい？」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「あ、ありがとう・・・ございます・・・」
火神楽直道(ひかぐらなおみち)「気にしなくていいよ、怖かったよな？」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「うっ・・・く・・・はい・・・凄く・・・怖かった・・・!!」
火神楽直道(ひかぐらなおみち)「よしよし、ごめんな～、いい大人が・・・」
火神楽直道(ひかぐらなおみち)「心配だし、家まで送ってあげるよ」
火神楽直道(ひかぐらなおみち)「あ、でも今の御時世家までってのもアレかな？お母さんかとかに連絡できる？」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「あ、電話、します・・・」
火神楽直道(ひかぐらなおみち)「うん、可能ならそうしてくれると助かる。お母さんが来るまでは一緒に居るから安心してな？」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「ありがとうございます・・・！」

〇住宅街の公園
赤城桃子「秋桜っっっ!!!!!」
赤城桃子「・・・って」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「本当ですか!?直道さんすごーい！」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「あ、お母さん！」
赤城桃子「ええっと・・・秋桜、大丈夫なの？」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「うん！直道さんが助けてくれたの！」
赤城桃子「えーっと、貴方が娘が電話で言っていた方でいいのかしら？」
火神楽直道(ひかぐらなおみち)「はい、家まで送ろうかとも思ったのですがこんな御時世ですし・・・」
火神楽直道(ひかぐらなおみち)「その、警察沙汰も良くないかなって・・・」
赤城桃子「それは・・・、そう、ですね。お気遣いありがとうございます・・・」
赤城桃子「あっ、秋桜を助けて頂いて本当にありがとうございました・・・!!」
火神楽直道(ひかぐらなおみち)「いえ、正義のヒーローとして当然の事をしたまでです！・・・なんてね？」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「あはは！じゃあ、直道さん、ありがとうございました！」
火神楽直道(ひかぐらなおみち)「うん。じゃあ、お母さん。俺はこれで失礼しますね！」
赤城桃子「はい、本当にありがとうございました！」
赤城桃子「・・・」
赤城桃子「直道さん・・・って、ひょっとして・・・？」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「お母さん、どうかしたの？」
赤城桃子「ううん、何でもないの。いいひとが助けてくれて良かったわ。怪我はない？」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「うん、大丈夫！」
赤城桃子「怖かったわよね、ごめんね」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「怖かったし困ったけど・・・」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「直道さん、かっこよかったよ！」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「私もあんな風に困っている人を助けられるようになりたいな～！」
赤城桃子「秋桜だって、もう沢山の人を助けているじゃない」
赤城桃子「貴方は立派なヒーローよ、自信を持ちなさい」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「・・・うんっ！」
赤城桃子「さ、帰りましょう」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「うん!!」
赤城桃子（私の考えが当たっていれば・・・）
赤城桃子（秋桜と直道さんは、また会えるかも知れないわね）