掃除代行人オデット(脚本)
〇CDの散乱した部屋
いつもと同じ日常
今日もこのまま、終わるはずだった
ほんのさっきまでは、そう思ってた
俺の部屋は、銃を持った少女に占拠されていた────
オデット「まずは、その腹を裂いて内臓を取り出す!!」
〇黒背景
始まりは母からのメールだった
〇CDの散乱した部屋
恭介(あーぁ、だりぃ・・・・・・)
恭介(この部屋の散らかり様を見ると、勉強する気も失せる・・・・・・)
恭介(片づけない俺が悪いんだけど────)
恭介「誰だ?」
恭介へ
母さんです。
お誕生日おめでとう。
あなたも20歳になりましたね。
勉強の方はどうですか?
恭介は、片付けのできない子だから、勉強に身が入らないんじゃないかと心配です。
だからプレゼントを贈りました。
そろそろ届くと思います。
少しでも恭介の力になれたらと思って。
恭介「なんで母さんがメールを? 目が見えないはずなのに」
PS・父です。そう美知恵が言っていた
恭介「って、父さんかい!!」
恭介「え、贈ったって言うプレゼントが来たのか?」
〇古いアパート
恭介「はーーい!!」
オデット「田辺恭介だな?」
恭介「ひ、人違いです!!」
〇CDの散乱した部屋
恭介(えっ、どういう事!?)
「貴様が田辺恭介だということは、分かっている!!」
「今すぐ扉を開けろ!!」
「開けなければこじ開ける!!」
「3、2、1・・・」
恭介「待て待て、開けるから!!」
〇古いアパート
オデット「ゼロ!!」
〇CDの散乱した部屋
恭介「えっ、本物────」
オデット「うぁ、違う!! い、今のは間違いだ!!」
オデット「私はドアを開けようと────」
オデット「恭介に向けて撃ったんじゃなくて────」
恭介(泣いてしまった────)
恭介(この状況を見たら、完全に俺が犯罪者だ────)
恭介「と、取り敢えず中に入る?」
オデット「う、うん・・・・・・」
恭介(あれ────)
恭介(部屋にいれたから、よりマズイ状況になってないか?)
オデット「携帯が鳴ってるぞ」
恭介「あ、あぁ・・・・・・」
PS2:プレゼントは届いたか?
母さんが反応を気にしてる。感想を宜しく。
恭介(こ、これがプレゼント!?)
PS3:部屋が散らかってるからと思って、母さんが掃除代行サービスを贈った。
せっかくだ。
綺麗にしてもらえ。
恭介「掃除代行サービス?」
オデット「あぁ、掃除代行だ」
オデット「誰だ?誰を殺れば良い!?」
恭介(違う!! 掃除の意味が違ってる!!)
恭介(この娘、きっと殺し屋だよ!!)
恭介(なに贈ってくれてんの、母さんっ!!)
オデット「誰を掃除する!?」
恭介「こ、この部屋かな・・・・・・」
オデット「へ、部屋だと!?」
恭介「あぁ、俺の部屋だけど・・・・・・」
オデット「じゃ、じゃあ私は誰も殺さなくて良いのか!?」
恭介「そりゃ、誰も殺して欲しくないんだけど・・・・・・」
オデット「で、でも掃除をしないと、依頼が────」
恭介「だから俺の部屋を掃除してくれ」
オデット「へ、部屋の掃除か・・・・・・」
オデット「そう言えば、もう一つ依頼を受けていたぞ────」
恭介「ちょ、ちょっと待て!?」
恭介「なんでナイフを取り出す!?」
オデット「まずは、その腹を裂いて内臓を取り出す!!」
恭介「人を殺さなくて済むって言ったばかりだろ!!」
オデット「美知恵の二つ目の依頼だ!!」
オデット「恭介の胃を掴めと!!」
恭介「ちがーうっ!! 意味が違う!!」
恭介「それは物理的にじゃねぇ。 料理で相手を虜にしろって意味だっ!!」
オデット「りょ、料理────」
PS3:母さんは目が見えないから、その娘のことを誤解していてな────
お前の彼女にしたがってるみたいだ
元はと言えば、その娘が結婚出来る歳だって言ったのが原因なんだが────
恭介「結婚できる年齢って、お前いくつだよ!!」
オデット「私は捨てられたから年齢は知らないんだ・・・・・・」
オデット「で、でも結婚できる年齢は過ぎたって聞いたぞ!!」
オデット「途上国で3人に1人は十八歳未満で結婚してるって話だろっ!!」
恭介「悲しくなる話しをぶっこむな!!」
オデット「でも、そんな私をお前の親戚が拾ってくれたんだ」
オデット「そして、私を一人前の傭兵として育ててくれた」
恭介「まてまてまて!! ウチの親戚!?」
恭介「傭兵を育てられる親戚は聞いたことないんだけど!!」
オデット「100年以上前に、キューバに移民に行った中にお前の曾祖父が居た」
オデット「そしてその孫は、カステロと共に革命の為に立ち上がった────」
恭介「話しが壮大過ぎる!!」
オデット「そして私はパパに拾われ、傭兵として育てられた」
オデット「でも、パパは言うんだ────」
オデット「今後は戦争が起きるべきではないし、起きたとしても人が死ぬべきではない」
オデット「傭兵がいらない世界になるのが一番良いって」
オデット「でも、そうなったら私が生きる価値が────」
オデット「無いんだっ────」
PS4:オデットは新しい生き方を探す為に、キューバの親戚から預けられた
それを、お前に押し付けてしまって済まない
恭介「ホントだよ!!」
恭介「しかもさっきからPSに数字を足してくのを止めろ。ゲーム機の進化か!!」
オデット「私はここでも必要ないのか────」
恭介「なぁ、お前・・・・・・」
恭介「部屋の掃除は?」
オデット「苦手だ・・・・・・」
恭介「料理は?」
オデット「へ、蛇の丸焼きなら!!」
恭介「却下だ!!」
オデット「うわぁあああーん!!」
オデット「私は役立たずなんだあぁぁぁっ!!」
〇明るいリビング
美知恵「ごめんね、恭介」
美知恵「お弁当を作るのが下手で────」
美知恵「あっ!!」
美知恵「ゲーム機のコードに足引っ掛けちゃったのね・・・・・・」
美知恵「掃除もうまくできないお母さんで、ゴメンね────」
〇CDの散乱した部屋
美知恵「恭介?」
恭介「うん、プレゼントが届いた」
美知恵「どう、気に入ってくれた?」
美知恵「お部屋を綺麗にして、勉強を頑張ってもらいたかったの」
恭介「うん、うん、ありがと。 お礼、言いたかっただけだから」
恭介「また、電話するよ」
恭介「────そういうわけだ」
恭介「部屋を掃除するのを手伝え」
オデット「て、手伝う!!」
オデット「あの・・・・・・」
オデット「ありがとう」
オデット「ここに置いてくれて────」
恭介「それは言ってないだろ!!」
〇黒背景
傭兵としては凄腕っぽいのに家事はポンコツなオデットちゃんが可愛い!☺️
情報を小出しにしてくるお父さんに笑いました😂 笑
恭介くんの優しさで少しホロリとできるところも良かったです✨
最高でした!笑ったーwww
二人で仲良く苦手な『お掃除』している今が見えます🤣
コメディなのに親からの愛がしっかり見えるのが素敵でした😊
予選通過おめでとうございます!
コメディなのに、登場人物の背景にヒューマンを感じるし、読み切りなのに続きが気になる作品ですね。
強そうなオディットちゃんの、戦闘以外ダメダメ感もカワイイです。