内在経典(脚本)
〇宇宙空間
???「無の中に耽溺するお前に 無から脱するチャンスをあたえよう」
ツァリ「去れ悪魔」
???「お前にはまだ追求すべき空がある」
ツァリ「去れ悪魔」
ツァリ「私はお前たちのような妄想を 存在させるために存在しているわけではない」
???「そのことば そっくりそのまま返してやろう」
ツァリ「去れ悪魔」
???「お前に『内在経典』の座標を教えよう」
???「ふふふ・・・強情なお前でも これには揺らがずにはいられまい」
???「座標は8次元XX度だ」
???「ではな・・・」
内在経典・・・
宇宙の最先端の叡智は人間の体内にある。
その叡智を体系化した内在経典は
幾多の時代、隠蔽されたり、
支配者に狙われたりしてきた
ツァリ「・・・・・・ なぜ悪魔は私に経典の座標を教えたのか・・・?」
ツァリ「また悪魔に利用されるのだろうか・・・?」
ツァリ「・・・・・・」
誘惑に耐えきれなかった私は
目を開けて夢の中に吸い込まれていった
〇草原
見渡す限りの草原だ
ツァリ「歌が聞こえる」
経文包帯ぐるぐるの女が上から降りてきて私の目の前で止まった
ツァリ「お前が内在経典か」
内在経典「君がツァリね 来ることはわかっていたわ」
内在経典「望み通り、 内在経典をインストールしてあげる」
内在経典「インストールしてすぐは 訳の分からないことばかりだろうけど あとで判ってくるわ」
内在経典「内在経典をどう使うかは君に任せる」
内在経典「何も取引はないわ 私がいる根拠に 君がなるだけでいい」
ツァリ「本当か・・・?」
内在経典「時間がないわ インストールするわよ」
ツァリ「待て 虫が良すぎる」
内在経典「チッ・・・」
ツァリ「やはり悪魔の眷属か」
ツァリ「・・・帰ろう」
内在経典「無理よ この時空からあなたは出られない」
内在経典「内在経典のことで頭がいっぱいだもの」
ツァリ「うるさい、去れ悪魔」
内在経典「ほうら、ちょっと私の髪を分けてあげる 読んでみなさい」
女が千切った経文包帯の髪がふわりと
降りてくる
ツァリ(くっ 咄嗟に掴んでしまった)
ツァリ「これは・・・!」
経文を読むと
頭で解析し得ない情報が入ってきて
目の前がスパークする
ツァリ「ああ・・・五臓六腑が、リンパの繋がりが・・・深く内観できる・・・・・・」
ツァリ「ほしい・・・もっとほしい・・・・・・」
ツァリ「全て読めば・・・ わからないことがなくなるはずだ・・・」
ツァリ「宇宙のすべてがわかりそうだ・・・・・・」
ツァリ「ほしい・・・ほしい・・・・・・」
内在経典「あははははは 観念なさい!」
内在経典「さあ・・・おいで・・・おいで・・・」
ツァリ「いやだ・・・」
内在経典「抵抗は無駄〜」
ツァリ「され あくま・・・」
ツァリ「うっ・・・」
ツァリ「包帯女に 意識が 吸い込ま れ」
内在経典「・・・」
内在経典「お前も新しい宇宙の苗床になるのだ」
内在経典「抵抗するな」
内在経典「堕ちろ 普遍に」
内在経典「永遠に・・・」
作者さんの作品は数多く拝読してきましたが、中でもこれは異色ジャンルですね。経文包帯を纏った姿の表紙とスチルに目を奪われました。宇宙の叡智が女性の姿形をした悪魔の誘惑であるというダークな世界観がいい。宇宙の苗床…不毛の土地に何が芽生えるやら。
やめといた方がいいとは思いながらも、ついつい足を踏み入れてしまう世界って、人間の煩悩が集中していくのだろうなあと読みながら考えてました。
去れって言葉は強者が使うとカッコいいですよね。
特に女性キャラクターが発するとそそるものがあります!
決してわたしの性癖とかではないです…。