怪人ちゃんは繁栄したい(脚本)
〇繁華な通り
極彩夜蝶「うわぁあっ!」
極彩夜蝶「貞操を奪われたっ!」
田井中圭太「待たんかっ!」
極彩夜蝶「近寄るな淫行野郎っ!」
「淫行っ!?」
「なんだなんだ!?」
田井中圭太「誤解を招く言い方をするなぁっ!!」
極彩夜蝶「うるさいっ!! 私は・・・私は・・・!!」
極彩夜蝶「うわあぁん!!」
田井中圭太「あぁくそ! 何でこんなことに!」
話は数時間前に遡る
〇散らかった部屋
田井中圭太「後は部屋の電気を消すだけ・・・」
俺はこの時、映画を見ようとしていた
〇黒
雰囲気作りのために部屋の電気を消したが
テレビの様子がおかしかった
田井中圭太「故障か?」
田井中圭太「ヒッ!?」
田井中圭太「消えない!?」
田井中圭太「何だよこれ──」
その時だった
奴が現れたのは
〇白
田井中圭太「うわぁあ!?」
「ニンゲン、ユルサナイ」
田井中圭太「ヒィイイッ!?」
極彩夜蝶「ユルシテナルモノカァッ!」
田井中圭太「ごめんなさいぃ!」
極彩夜蝶「シネェッ!!」
極彩夜蝶「・・・」
田井中圭太「何?」
極彩夜蝶「あれ?」
極彩夜蝶「お、お前を呪い殺し──」
極彩夜蝶「ちょっ!? 頬を引っ張るはぁ!?」
そうである
テレビから変な奴が出てきたのだ
〇散らかった部屋
田井中圭太「んで?」
田井中圭太「何だお前は?」
極彩夜蝶「頭が高いぞ人間! 私は誇り高き怪人族──」
極彩夜蝶「いひゃい!? 頬を引っ張るひゃあ!」
田井中圭太「怪人族だって?」
極彩夜蝶「よくぞ聞いてくれた!」
極彩夜蝶「ならば教えてやろう!」
田井中圭太「机に乗るな!」
極彩夜蝶「うるさいぞ人間! 話を聞け!」
田井中圭太(このクソガキッ!)
極彩夜蝶「私の名は極彩夜蝶! 誇り高き怪人族の生き残り!」
田井中圭太「極・・・何だって?」
極彩夜蝶「お前の名前は?」
田井中圭太「え? あぁ自己紹介?」
田井中圭太「俺は田井中圭太」
極彩夜蝶「田中?」
田井中圭太「田井中な!」
極彩夜蝶「ふーん。変な名前だな」
田井中圭太「お前が言うなっ!」
極彩夜蝶「まぁいい。特別に私の目的を教えてやろう!」
極彩夜蝶「私はな、人間を憎んでいるのだ!」
極彩夜蝶「故に、私は奴らを滅ぼしたいんだ!」
極彩夜蝶「あ、お前だけ特別に殺さないでやるぞ? 命乞いするならな」
田井中圭太「はぁ。それで?」
田井中圭太「誇り高い怪人様には 力がなかったみたいだか?」
極彩夜蝶「う、うるさい! そんなもの後でどうとでもなる!」
極彩夜蝶「そうだ! 怪人族を復活させるために私は──」
極彩夜蝶「子供を作るのだ!」
田井中圭太「お、おい! そういうこと大声で言うな!」
極彩夜蝶「何故だ? 人間もすることだろうが?」
田井中圭太「いやそうだけども」
極彩夜蝶「とにかくっ! 私は人類滅亡のために怪人族を復活させる!」
極彩夜蝶「そしてゆくゆくは!」
極彩夜蝶「私達の時代が来るのだっ!」
田井中圭太「そんな所で踊るな!」
極彩夜蝶「あっ!」
田井中圭太「危な──」
危機一髪、受け止めることができたが──
勢い余って
ブッチュンした
田井中圭太「はっ!?」
田井中圭太「すまん!」
田井中圭太「あの。夜蝶さん?」
田井中圭太「どこにいくんだ!?」
〇繁華な通り
そして現在に至る
田井中圭太(つか、あんな言葉どこで覚えたんだ!?)
「とにかく待てポンコツ怪人!」
田井中圭太「はぁ、はぁ」
田井中圭太「どこまで逃げるんだよ!」
極彩夜蝶「うるさい!」
田井中圭太「悪かったって!」
極彩夜蝶「謝罪で済むものではない!」
田井中圭太「そこまで!?」
田井中圭太「確かにファーストキスは大事だ!」
田井中圭太「安心しろ! 俺も罰ゲームで同性に奪われたから!」
極彩夜蝶「貴様の事情など知らん!」
田井中圭太「ちょ、慰めてんのに!」
田井中圭太「大体なぁ!」
〇岩山の崖
田井中圭太「ここどこだよ!?」
田井中圭太「映画でもこんな場面転換ねぇよ!」
極彩夜蝶「知るか!」
極彩夜蝶「やはり人間はクズだ!」
極彩夜蝶「よりにもよってこんな貧弱な奴と」
田井中圭太「貧弱で悪かったな!」
極彩夜蝶「こんな」
極彩夜蝶「こんな奴の子どもなど孕みたくなかった!」
田井中圭太「はぁっ!?」
極彩夜蝶「うわあぁん!!」
田井中圭太(まさか・・・)
田井中圭太「あの、夜蝶さん」
極彩夜蝶「何だ淫行野郎っ!」
田井中圭太「つかぬことを聞きますが」
田井中圭太「子どもの作り方って知ってます?」
極彩夜蝶「知れたことを!」
極彩夜蝶「キスをすればできてしまうだろうが!」
田井中圭太「あーなるほど」
田井中圭太「なら教えよう」
田井中圭太「子どもはキスではできない!」
極彩夜蝶「う、嘘をつくなっ!」
田井中圭太「嘘じゃねぇっ!」
田井中圭太「子どもはな──」
〇岩山の崖
極彩夜蝶「なぁ!?」
田井中圭太「これが真実だ」
極彩夜蝶「うう嘘をつくなぁっ!?」
田井中圭太「真実だ!」
田井中圭太(というか知識偏りすぎだろ)
極彩夜蝶「うぅ──」
極彩夜蝶「うわぁあっ!!」
田井中圭太「危ねぇ!」
極彩夜蝶「死んでやる!」
田井中圭太「落ち着け!」
田井中圭太「怪人族を復活させるんじゃないのか!」
極彩夜蝶「あんなことできるかぁ!」
田井中圭太「何故、人を嫌う?」
極彩夜蝶「そんなの決まっている」
極彩夜蝶「親が、奴らに殺されたからだ」
〇黒
夜蝶
あなただけでも逃げて
極彩夜蝶「ママは!?」
私は大丈夫
いきなさい
極彩夜蝶「いやだよ」
お願い
絶対に迎えに行くから
極彩夜蝶「うぅ」
かかってきなさい!
極彩夜蝶「ママ・・・」
〇岩山の崖
極彩夜蝶「結局親は迎えに来なかった」
極彩夜蝶「絶対とか嘘だ」
極彩夜蝶「馬鹿が」
極彩夜蝶「アホが」
〇病院の廊下
田井中圭太「え?」
田井中圭太「今、何て」
ごめんな圭太
母さんはもう
田井中圭太「どうして」
田井中圭太「母さん」
田井中圭太「早すぎるよ!」
・・・
本当に
ごめんな・・・
〇岩山の崖
田井中圭太「夜蝶」
極彩夜蝶「何だ人間」
田井中圭太「俺を殴れ」
極彩夜蝶「気でも狂ったか貴様!?」
田井中圭太「いいから!」
田井中圭太「人間、憎んでるんだろ?」
極彩夜蝶「貴様・・・」
田井中圭太「かかってこいよ!」
極彩夜蝶「うぁあああ!!」
〇散らかった部屋
田井中圭太「痛ぇ」
「何故だ」
田井中圭太「ん?」
極彩夜蝶「何故あんなことを」
田井中圭太「情が移った」
田井中圭太「それだけだ」
極彩夜蝶「田中」
田井中圭太「田井中な?」
田井中圭太「夜蝶」
極彩夜蝶「何だ」
田井中圭太「お前、寂しいだけだろ?」
極彩夜蝶「そ、そんなことは──」
田井中圭太「それなら俺を殺してるはずだ」
田井中圭太「お前は変な奴だ」
田井中圭太「でも悪い奴じゃない」
田井中圭太「復讐は手伝えないけど」
田井中圭太「仲間探しなら俺も手伝う」
田井中圭太「それならどうだ?」
極彩夜蝶「よろしく頼む! 中井!」
田井中圭太「田井中だ」
極彩夜蝶「早速行こうではないか!」
田井中圭太「早いって」
極彩夜蝶「善は急げだ!」
田井中圭太「はーい」
警官「おはようございます」
田井中圭太「な、何か?」
警官「少し聞き込みをしていましてね!」
警官「最近事件が多いものですから」
警官「例えば窃盗とか猥褻とか!」
〇繁華な通り
極彩夜蝶「近寄るな淫行野郎っ!」
〇散らかった部屋
田井中圭太「た、大変っすねぇ」
警官「困ったものです」
田井中圭太「あはは」
警官「ところで」
警官「君、変わった格好してるね?」
田井中圭太(まずい!?)
警官「妹さんですか?」
田井中圭太「えっと──」
極彩夜蝶「違うが?」
田井中圭太(合わせろ馬鹿!)
警官「え!? じゃあ一体──」
極彩夜蝶「教えてやろう!」
極彩夜蝶「私は極彩夜蝶! 怪人族の生き残り!」
警官「なるほど?」
警官「じゃあ、この人との関係は?」
極彩夜蝶「関係か」
極彩夜蝶「初めてを経験した仲だ」
田井中圭太「言い方ぁ!?」
極彩夜蝶「強引だが嬉しかったぞ?」
田井中圭太「主語を入れろ主語をっ!」
警官「少し、話を聞かせてくれませんか」
田井中圭太「こ、これには訳が──」
「いやぁああ!?」
〇空
こうして怪人族との生活が始まった──
極彩夜蝶「おい青帽子! 中井をどうする気だ!」
極彩夜蝶「コイツはいい奴だぞ!」
極彩夜蝶「貴様知ってるか!」
極彩夜蝶「例えば子どもの作り方を──」
極彩夜蝶「いひゃ!? 何故引っ張る!」
いや
始まる前に終わってるかも
極彩夜蝶「頬を引っ張るひゃあ!!」
ラブコメアニメを見ているようで楽しかったです!怪人ちゃんの魅力がたっぷりつまっていました🙌
夜の街からサスペンスな崖まで逃げる夜蝶ちゃんと追いかける中田くんが面白かったです、欲を言うならばお巡りさんに詰められる中井…くん? 田中くん…だったっけ? 彼をもっと見てみたかったです😆
「いひゃい…」の表情いいですね😆
どんなお話になるのかと思ったら、テンポ良く読ませていただきました!
楽しかったです。