エピソード7(脚本)
〇ゴシップボックス_ゴシップボックス・内(ライティング白)
室井秀明「六股ぁ?」
田中あい「二股なら聞いたことありますけど、六股って・・・」
薬師寺透「なんかもう、妖怪みたいな響きですね」
青木谷さち「うちの旦那、自分は会社の女と好き放題やってるくせに、私に対してはものすごい束縛する人で・・・」
青木谷さち「・・・毎晩七時に、私が何してたかラインで報告させんのよ」
室井秀明「業務報告かよ」
田中あい「うちの親より過保護・・・」
薬師寺透「でも、そんなにこまめに報告させられてたら、不倫なんかしようがないんじゃないですか?」
青木谷さち「報告は細かくやらせるけど、自分はいっつも会社のことばっかりだから、日曜以外はほとんど家にいないのよ」
青木谷さち「だから、報告のレポートさえちゃんと出せば、実際誰と何やってたかまでは確認できないわけ」
室井秀明「にしたって・・・六股なんてどうやってやるんだよ。相手間違ったりしねえのか」
青木谷さち「あぁ、それはない。曜日で男分けてるから」
田中あい「曜日で、男を、分けてる?」
青木谷さち「月曜はバーテンダーの黒川さん。 火曜は大学生のやまとくん。 水曜は不動産業の大石さん」
青木谷さち「木曜はパチプロの高坂くん。 金曜はフリーライターの川瀬さん、土曜は若手起業家の伊沢くん」
青木谷さち「会う曜日と業種、メッセするアプリも男ごとに分けてるから、間違う心配はないの」
青木谷さち「会う場所と時間は、スプレッドシートでリスト化して管理してる」
薬師寺透「なんか、めちゃくちゃ仕事できる人みたいですね」
室井秀明「やってること不倫だけどな」
田中あい「でも、それじゃあ、私たちの共通点って・・・」
青木谷さち「不倫よ。つまりこの部屋は・・・不倫を自白するまで出られない部屋なの」
室井秀明「なんだその、地獄みたいな部屋は」
青木谷さち「私の予想はこう」
青木谷さち「この部屋は、自分のパートナーが不倫してると気づいた人たちが結託して、不倫を犯した人を閉じ込めた部屋なの」
青木谷さち「だから、みんなが不倫を打ち明ければ、きっと出られる。それぞれのパートナーに説教された後にね」
田中あい「でも・・・私、不倫なんてしてないですけど」
青木谷さち「え?」
田中あい「うちのグループ、恋愛禁止なんです」
田中あい「パフォーマンスが不純だから、普段はめちゃくちゃ清純にしようって方針で・・・」
室井秀明「俺も今は完全フリーだ。仕事が恋人みたいなもんだし、借金でそれどころじゃねえし」
薬師寺透「僕は・・・恋愛禁止でも、仕事が恋人でもないですけど、普通に彼女いないです」
青木谷さち「なにそれ・・・みんな、もっと恋しなさいよ! 一度きりの人生なんだよ?」
室井秀明「いや、あんたが恋しすぎなだけだろ」
薬師寺透「僕も、恋愛とか面倒くさいんでパスですね。ソシャゲで推し育ててたほうが楽しいし・・・」
田中あい「私も、勉強とアイドル活動で手一杯なので・・・」
青木谷さち「なにそれ・・・じゃあ私、ただただ自分の恥ずかしい秘密、暴露しただけってこと?」
室井秀明「安心しろ、この部屋じゃみんなそうだ」
薬師寺透「でも・・・さちさんの秘密も違うとなると、僕らの共通項って、本当に何なんですか?」
田中あい「このままじゃ私たち、ずっと閉じ込められたままですね・・・」
青木谷さち「わかった! じゃあ好きなもの! フェチと言えるくらい好きなものは?」
青木谷さち「私から行くね! 私は手。 男性のゴツゴツした男らしい手が好きで」
青木谷さち「あいちゃんもそうじゃない? そうでしょ?」
田中あい「・・・まあ、嫌いではないですけど・・・?」
青木谷さち「だよね! 薬師寺くんは、綺麗な手の女の人って好きでしょ? 好きだよね?」
薬師寺透「そうですね、どっちかっていえば好きかな・・・」
青木谷さち「ほらきた3人! 室井さん、室井さんも好きでしょ!」
室井秀明「俺は・・・腋だ」
青木谷さち「腋・・・?」
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