受け入れ難い現実 4(脚本)
〇公園のベンチ
無事に事情聴取を終えて一瞬家に帰ろうと思ったが俺にそんなことができるわけもなく。
あの家に帰ったらまたあの激しい絶望感が間違いなく襲ってくるからだ。
というかそもそもまだ家の中で警察の人達がいろいろと調べていて操作の邪魔をするわけにも行かない。
俺は気がつけばさっきまでいた場所のベンチに座っていた。
陸人「なんでなんでなんでなんでなんで!」
陸人「なんで・・・死んじゃったんだよ・・・茜」
今更口に出したところで何も変わらない言葉を口にする。
気がつけば俺は座っていたべンチから立ち上がり自分以外誰もいない公園の中でただただ大きな声で叫んでいた。
涙ぐんだ声で叫んでいた。
陸人「何で死んじゃったんだよ・・・」
さっきと同じ言葉を自分で胸元の部分の服を強く掴みながら言う。
湧き上がってくる悲しみを必死に抑えるように胸の服の部分を掴む。
陸人「俺を残して、もっと一緒に茜と一緒に楽しい思い出を作ろうと思ってたのに!」
悔しさと悲しみが混ざった声で小さく呟く。
それと同時に俺の頭の中に、もしこうだったらどんなに楽しかっただろうという映像が浮かび上がってくる。
陸人「一緒にご飯食べに行ったり、一緒にいろんなところに遊びに行ったり、 映画を一緒に見たり、水族館の魚を見たり」
そんないろんなことがまだ一緒にできたはずなのにそんなたわいのない日常を一緒に過ごせたはずなのに。
そんなもしもの思い出の中にいる茜は常に笑っていた。
陸人「一緒に笑ったり、泣いたり、怒ったり、喧嘩したり、することもできたはずなのに!」
陸人「そんな何気ない日常をふたりで遅れてもおかしくなかったはずなのに!」
そう思えば思うほど悔しさの感情が胸の中で膨れ上がっていく。
そして自分の目からは気づかないうちに涙が溢れていた。
陸人「うわーーー!!!」
そんな特に意味のない言葉を空に向かって大きな声で叫んだ。
俺は力が抜けたように再びベンチの上に座る。
だがすぐにまた歩き始める。
目的地のようなものが特にあったわけでもない。
ただただ目的もなく一歩一歩ゆっくりとどこかに向かって歩いていく。
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