第3話:般若心経(脚本)
〇草原
〇山の中
宗純「降って来てしまったか」
ララ・フォーレ「困りましたね」
ララ・フォーレ「夜が深まれば魔物が出てくるかもしれません」
宗純「・・・ん?魔物?獣ではなく?」
ララ・フォーレ「はい。暗くなれば魔物が徘徊するようになるので大変危険なんです」
宗純「妖怪、のようなものか・・・?」
宗純「ふーむ、奇奇怪怪な世界よのぉ」
〇魔物の巣窟
もしこの世界が三千世界
(仏教における広大な世界)なら
魔物が現れる世界など六道しか思いつかん
なら私が今いる場所は──
私は地獄に落ちたのか──?
〇山の中
宗純「もっとこの世界について 知見を広めなくてはならんな」
宗純「ララ・・・」
ララ・フォーレ「はい」
宗純「キミたちの宗教について教えてくれないか?」
ララ・フォーレ「いいですけども・・・」
宗純「この世界のことを少しでも知りたいのだ」
ララ・フォーレ「・・・分かりました」
〇教会内
先ず私たちが信仰する宗教は『ナビア教』と言います
ナビア教には様々な神が居ます
戦いの神、光の神、愛の神、商業の神...
それぞれに合った神様を選び
信仰するものです
私の神の名はヒュギエイア
健康や衛生、薬学を司る女神です
神への信仰は人々に恵みを与え
特に信仰心の高い者、選ばれた者には神の力の一部が与えられます
〇魔王城の部屋
神の力を与えられた者を『センズ』と呼び
12人のセンズを集めた『12議席』が
ナビア教の最高権力者になります
〇山の中
ララ・フォーレ「基本的なナビア教の方針は 12議席によって決められているんですよ」
ララ・フォーレ「宗純さん?」
宗純「神の御業が・・・」
宗純「直接人に力を与える・・・だと・・・」
ララ・フォーレ「仏教の神様は力を与えることはないんですか?」
宗純「仏様は心に寄り添うもの」
宗純「直接的に手を貸すものではない」
宗純「そんなことが・・・許されるのか──」
ララ・フォーレ「寄り添うと言うと・・・?」
〇幻想
善人も悪人も信仰心に関わらず全ての生き物に仏性(ぶっしょう)が宿ると言われている
仏性とは仏となることのできる性質のこと
仏心(ぶっしん)、覚性(かくしょう)とも言う
信仰心に関わらず、ですか
うむ、例え悪人であっても
内には慈悲の心がある
それに気付き、悟りを得たなら
誰もが仏・・・神と言った方がいいな
神になることができるのだ
〇山の中
ララ・フォーレ「誰もが神に・・・」
宗純「無論、その道は遠く険しいもの」
宗純「どれだけ尽くし、内に耳を立てようとも 神の声を聞くことは至難である」
ララ・フォーレ「ある意味信仰心の無い人にも優しく」
ララ・フォーレ「信仰心のある人には厳しい神様って感じですね」
宗純「はっはっは、なるほど」
宗純「そういう見方もあるか」
宗純「うむ、そうだな・・・面白い」
〇新緑
この世界の視点は
私に多くの学びを与えるかもしれんな
〇山の中
宗純「それにしてもなかなか止みませんな」
ララ・フォーレ「そうですね 多少濡れても歩いた方がいいかも──」
宗純「ララ?」
ララ・フォーレ「シッ、少し静かにして下さい」
ララ・フォーレ「宗純さん!急いで隠れて!」
宗純「お、おう?」
〇けもの道
???「シー、シー、シー」
アレは・・・アレが魔物か!?
アレはゴートサッカー
沼地に巣食う魔物です
雨雲を夜と勘違いして出てきたのかもしれません
このまま静かに隠れてやり過ごしましょう
えっ?
〇山の中
ヘビ「シャー!」
ララ・フォーレ「キャッ!」
〇けもの道
気付かれたか!こんな時に・・・!!
宗純「こっちじゃバケモノ!」
〇山の中
ララ・フォーレ「宗純さん!」
〇けもの道
宗純「コイツは私が引き受ける!」
宗純「ここから離れるからその隙に村に帰るんだ!」
ゴートサッカー「シーーー!」
〇けもの道
ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・
ゴートサッカー「シー!シー!シー!」
よし、追いかけて来ているな
ララはこの森に慣れてる
1人でも帰れるだろう
後は私がどうやって逃げ切るか・・・
宗純「うおっ!」
ゴートサッカー「シー!チッチッチ!」
宗純「前にも!?」
ゴートサッカー「シー!チッチッチ!」
宗純「これは・・・マズいぞ」
「シーーーーーーー!」
宗純「くっ!南無三!」
〇黒
・・・・・・・・・
ん?
〇魔法陣2
宗純「何だ・・・これは?」
〇けもの道
ゴートサッカー「ぐるるるるるる・・・」
ヤツ等、円の外にいてコチラに近寄ってこない・・・
〇魔法陣2
宗純「コレは結界か!?」
宗純「何故そのような・・・」
宗純「私は一体何をした・・・」
〇けもの道
宗純「くっ!南無三!」
〇魔法陣2
宗純「ま、まさかな・・・」
宗純「・・・南無三宝!」
宗純「仕組みが分からんが、これならもしや──」
〇黒
仏説摩訶般若波羅蜜多心経
〇黒
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時
照見五蘊 皆空 度一切苦厄
舎利子 色不異空 空不異色
色即是空 空即是色 受想行識 亦復如是
〇空
舎利子 是諸法空相
不生不滅 不垢不浄 不増不減
〇空
是故空中 無色無受想行識
無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界
乃至無意識界 無無明 亦無無明尽
乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道
無智亦無得
〇空
以無所得故 菩提薩埵
依般若波羅蜜多故 心無罜礙
無罜礙故 無有恐怖
遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃
〇新緑
三世諸仏 依般若波羅蜜多故
得阿耨多羅三藐三菩提
故知般若波羅蜜多 是大神呪
是大明呪 是無上呪 是無等等呪
能除一切苦 真実不虚
〇魔法陣2
宗純「故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰 羯諦 羯諦 波羅羯諦・・・」
宗純「波羅僧羯諦 菩提薩婆訶 般若心経!」
〇けもの道
〇西洋の街並み
ララ・フォーレ「お願いします! 早くしないと宗純さんが──!!」
アベル「あぁ、分かってる お前等準備できたな?行くぞ!」
ユハ・ラスク「あの、あれ見てください あの人が宗純さんですか?」
ララ・フォーレ「え?」
宗純「おお、これはこれは・・・」
宗純「随分と心配を掛けてしまったようだな」
ララ・フォーレ「宗純さん!し、心配したんですから!」
ララ・フォーレ「なんで一人で行っちゃうんですか!」
ララ・フォーレ「うわあああああああああああん」
宗純「イヤ、ハハ・・・ あれが最善かと思ったのだが・・・」
アベル「聞いたぜ兄ちゃん」
アベル「薬師ちゃん助けるために 囮になったんだってな」
アベル「見た目の割に度胸あんじゃねぇか!」
宗純「あいたた・・・ 逃げ足だけは早くて助かりましたな」
アベル「ガッハッハ!そういうことか!」
アベル「何はともあれ無事で良かったぜ!」
〇児童養護施設
〇暖炉のある小屋
ララ・フォーレ「今日はもういろいろ疲れました・・・」
宗純「そうだな、メシを食って早々に休むとしよう」
ララ・フォーレ「よーし、明日は休みにしよー」
ララ・フォーレ「宗純さんのおかげで薬草もいっぱい取れたしね」
ララ・フォーレ「当分はダラダラできるかな」
宗純「うむ、休養は必要だ 明日しっかりと休むとしよう」
ララ・フォーレ「ラ~ララ~ン♪」
宗純「・・・・・・・・・」
〇山の中
信仰心の高い者、選ばれた者には
神の力の一部が与えられ
その者を『センズ』と呼ぶ
〇沖合
神の御業(神への信仰心)が
形となって具現化する世界、か・・・
とんちで切り抜けるかと思ったらなんかつおいパワーが!
これはテッペン目指す展開に……?
バトルも出来る一休さん!?
お経の打ち込みお疲れ様でした。(写経?)
仏教よくわからんので、楽しく勉強出来る❤